寝取られ宏介

ある

第1話 俺と彼女と4年と少し

 『だから、わからないかなあ。宏介と私じゃもう釣り合わないんだって!』


…ちょっと、言ってる意味がわからない…?


6月、入学から2ヶ月。高校生活にも慣れて来た時期。

俺は斉藤宏介サイトウコウスケ、高校一年生。

放課後、俺はいきなり彼女に呼び出され彼氏が出来たと伝えられた。

え?彼氏って俺じゃない?


俺は、中学入学から付き合ってる彼女の言ってる意味がわからない。

小学生5年生からずっと色んな事を語り合って、色んな悩みを相談しあって、信頼していた彼女だぞ?あんなに清楚で可愛い俺の…。


『…。』


俺は言葉が出ない、いや出せない。


『…またそうやってだんまり決め込んで?そんなんだから彼女奪われるのよ!』


綺麗な顔を俺への侮蔑で歪ませて吐き捨てるように言う彼女、



『…お、俺は、皐月のこと大事に思ってて…。』


皐月は苛立ちを隠さずに言い募る、


『じゃあ、なんで高校生になって、綺麗になっていく彼女にお小言ばっかり言ってたの?何が気に入らないの?』



皐月、三島皐月ミシマサツキは俺の彼女。

彼女は綺麗な人で目立つグループの脇役ポジといえばいいのか、そうゆう立ち位置の女の子だった。綺麗で優しくて、図書委員の大人しい可愛らしい女の子で俺の自慢だった。


中学生の頃から、もっと綺麗になりたい!って変身願望?もっとクラスの上のカーストに居たいって事は言っていた。

でも、俺は今のままの皐月で良い、いや今のままが良い!って言い続けていた。


でも彼女は俗に言う、高校デビューを果たした。

一緒に勉強して入った北翔高校は私立の中の上位の偏差値の高校。

スポーツにも力を入れてる新進気鋭の高校だ。特に野球とテニスに力を入れてる。

県内でも都会部に位置するこの高校へ俺と一緒に進学を決めた皐月は舞い上がって長かった髪の毛をカットして色も明るくした。ふわっとさせた今の髪型は正直可愛い。メイクもガラッと変えて男ウケするようなメイクと胸元を開けた制服。

話し方や異性への接し方など今までとガラっと変えた。

今までと全く違う皐月に戸惑い、注意はした。それは確かな事だ。



努めて冷静に言う、

『…で、でも、恥ずかしいからって俺と付き合ってるって事黙ってるのは我慢できるよ。

新しいクラスメイトと付き合いがあるって1ヶ月俺とのお出かけ断って!週5も男も居るグループと遊びに行ったり、俺のロイン無視したり、クラスでも他の男と馴れ馴れしくボディタッチしたり、そりゃ注意するでしょ。』



皐月の特に変わったのが男性との接し方。

男と話す時は基本ボディタッチを多用して、男の誘いには基本応じる。俺との予定があれば俺をキャンセル。

男の子に人気が無い女の子なんて何も言う資格が無いとまで言い切る様子に失望を禁じ得ない…。

それでも小学生からの付き合いだから、自分に言い聞かせていつかわかってくれるだろうって思いながら嫌がることでも言い聞かせてきた。



『私さ、宏介と同じ田舎の街で育っててさ、高校生になって初めてわかった。

新川中だったら宏介は格好いいし運動も出来るし、頭も良い方だけどさ?

ここだと皆んな同じ位頭良くて?みんなおしゃれで?話してても面白かったりみんな私をチヤホヤしてくれたりするんだよね。

全然世界が違うの!』



そんなこと思ってたのか…。


『だったら、もう宏介にこだわらなくても良いじゃん?

もっと背が高くて、格好いい男なんていくらでも居るよ?あはは!

公園でデートってー!小学生かよ!』



思ってたよりクル。


『私はね?宏介と違って自分を磨き続けたよ、だから今は色々なかっこいい男の子が私を求めてくれる。

今の私はあの頃の私じゃ無い!』



『…人間って変わっていくことと同じ位変わらないものを大事にするものじゃないのかな?』



皐月は軽蔑したように、

『私ね、昔からその説教っぽい臭い話し気になってたんだー。

昔は良いこと言うなあなんてバカな事思ってたけど、今聞いてもさっぱり胸に響かないな。くっさいはなしー!

あの親友といつまでもそんなこと語りあってれば?』


親友をバカにされた気がして腹が立つ。

俺は彼女を見誤っていたのかな?


『本当世間知らずだった。

宏介なんてただの無口な無表情じゃん!

もう話しかけてこないでね?』



前はクールで大人で考えて話しをするのカッコイイね!って言ってくれたのに。

ついこないだ、中学の卒業式の日に初めてキスした時には感激して涙を流してたのに…。



『宏介くん?ごめんな?

皐月に彼氏居るって知らなかったからさあ?』


ずっと黙ってたこいつは、サッカー部の山本正輝ヤマモトマサキ

同じクラスの背の高いイケメンでモテる男の典型的なタイプ。

中学の同級生にもこうゆうタイプ居た、まあ親友の敵として見てたから良さはわからないけども。


『…それでも、俺は皐月の事…!』



俺は情けないけど喰らいつく!

しかし、皐月は、



『実は、もう山本くんと付き合ってるのよ。

昨日、私の初めてあげちゃったの…♡』


もじもじくねくね。


ちょっと何言ってるかわからない…(2度目)

あの大人しくて素直な皐月が?

こんなつい最近知り合った男に?

目の前が真っ暗になった。


『最初に言ったでしょ?宏介じゃ私と釣り合わないのよ?

今なら『あの』香椎玲奈カシイレイナとだって勝負できるもん!』



香椎さんは中学の時の学校で一番の美人。完璧女子って呼ばれる女の子。

親友の想い人。

皐月は中学生になるまで香椎さん派閥に居たけどクラスが変わって香椎さん派閥から外れると思ってたより下のグループにしか入れない事を中学生の間中嘆いていたっけ。

でも香椎さんはちょっと特別でしょ?親友が香椎さん好きで接する機会が多かったからあの凄みがわかる。香椎さんグループの二番手の万能クールなメガネ美人でもあんなに勝負してかろうじて一勝が精一杯だよ?

どっちが上とかじゃ無いんだ、香椎さんは香椎さん。皐月は皐月って俺はいつも伝えてきたがどうやら正しくは伝わらなかったみたい…。



うぐ!遅れて来た。

もう正輝とヤッたんだ…。

それを想像してしまい、俺は急激な吐き気を催す。

俺の大好きな皐月が、このチャラそうなイケメンと?



『素敵だったよ?童貞の宏介にはわかんないだろうけど。

…どっかで私を愛してるんだろうけど私の保護者みたいな顔した宏介をバカにしてやりたいって思ってたのかも。

まあ、いいや。じゃあくれぐれも私と付き合ってたなんて黒歴史広めないでね?』


じゃあね、って山本が悪びれもせずに俺に声をかける。

山本と皐月は腕を組んで出て行った。



皐月が戻ってきた?



『さっきから吃り出てるよ?キンモー⭐︎』


ゲラゲラ笑いながら皐月は出て行った。

山本は少し引いてた。

俺は恋と、彼女と、プライドを失った。




☆ ☆ ☆

こんばんわ、作者のあるです。

『委員長に恋した自分の話』のスピンオフになります。


ラブコメ主人公親友ポジの宏介の外伝的な位置付けです。

気になった方はそちらもどうぞ。

宏介の高校生活は前半不幸続きです。鬱からのスタートでしばらく救いがありません(断言)それでもざまぁを楽しみにするか、宏介を見守ってやるよ!って方は是非お付き合いくださいな。

よろしければ♡、☆是非お願いします。

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