創生を語り継ぐもの
名無シング
異世界で亜人に 第一部
第1話 落第者
世間では、勝ち組とか負け組とかあるが、人は何かしらと差別を付けたがり、競争で追い落とした人間を見て満足する事が多い。
学校、会社、社交場、数を上げたらキリが無い。
無論、それは俺達も例外ではなかった。
現在、俺が所属する高校は進学校であり、成績優秀で学校にとって素行がいい者はいい者同士でクラスに編入する事が出来、逆に成績不順及び素行が不良な者同士でクラスに編入し、それぞれ格付けされている。
そして、俺と五人の女子生徒は、高校の中で一番最下級のE組に編入し、卒業一ヶ月前の修学旅行までの約二年間は面子が変わらず、最底辺の学校生活を送っていた。
学校一不良を通し、暴力沙汰で何時も揉め事起してる
成績不良で、典型的にいじめられっ子で先生から気に入られずに追い出された真面目な
不良仲間で、何時も冴子とつるんで悪さをする
協調性の余りの無さに、同じ学年の生徒とトラブルを起こし、担任から追い出された園芸大好きな
成績は常に上位に居るのにも拘らず、学校に危険物な発明を持ち込み、生徒と先生にトラブルを与え、隔離追い出された
そして、成績不順と奥村を助ける為にいじめていた学生に暴力で制裁し、やっていた部活を強制退部させられ、皆のクラスに入れられた、俺、
が、そんな環境なのか…俺含めて六人だけで居る時はいつも皆楽しく学校を満喫し、好き勝手にやりたい放題をしていた。
教室は元々使っていない旧校舎に隔離され、教師すらも相手されない環境であった為、授業は常に自習。
別に義務教育でもないから、自分達の興味を持った勉強を好き勝手にやり、空き教室も沢山あったので、好き勝手に運動もしていた。
ただ、そうでない奴等も沢山も居た…
俺達六人以外にも編入されてきた生徒は他にも沢山居たが…大抵は担任に泣き縋って成績を上げて脱出したり、逃げ出す為に他校に転入届を出したり、果ては退学届けを出し、このE組という学校人生の終わりから脱げ出したい奴らが大半であった。
よっぽどのマイノリティではない限り、このクラスに居る事すら辛いだろう。
有名な進学校の中で、最底辺のE組で卒業となれば、後の就職に響き、親からも罵られ続ける人生に嫌だろう。
まぁ、元から親が離婚して、下宿に放り込まれて生活していた俺にとっては、別にどうって事じゃないし、奥村を除く他の四人も親に対して冷たい態度で接してたし、奥村は親を亡くし、俺と同じ下宿先で生活していたから、割りとその方向に対してのメンタルは強かった。
まぁ、そんな前置きの長ったるい話ではあるが、六人仲良くE組で生活していたら、卒業前の修学旅行をお情けで全員参加だと。
俺含めて、他のクラスの連中…特に、奥村をいじめていた特待クラスのA組の連中の顔を合わせるのが嫌だったので、あまり行きたがらないが…
折角の旅行だから、六人だけで楽しむ事にした。
そう言うわけで、他のクラスが旅行バスとは違うマイクロバスに乗られ、バスガイドなしの運転手のみの七人の旅に出ていたが…
「なんていうかさぁ…なんで俺に密着してるんだ?」
いや、男子生徒が俺しかいないのは分かるんだが、席もそれなりにあるマイクロバスなのに、殆ど女子五人が俺中心に固まっているんだよ。
「別にいいじゃないか、錦治。どうせ私らが引っ付こうが良いだろ?」
「冴子、確かにそうだが…おい、直子。俺の上に乗っかるな」
「どうも車の座席って座り心地悪いんだよねぇ。ああ、ふかふかで良いわぁ♪あっ、こんな幼児体型に興奮したら駄目よ♪キシシ♪」
「おい、直子。抜け駆けはゆるさねぇぞ」
「おおっと、失礼姉御♪…まぁ、良子っちや美恵っちも分かるとして、加奈っちも珍しく寄ってるわねぇ」
「えっ?…なんて言うか、横山君の隣、安心するんだよね」
「…それ、分かる」
「ええ。むしろ、錦治君の弱肥満体型であるこの感触は癒しを感じるわね」
「そうかよ…」
…一般的に数人の女の子に好かれるハーレムとあるが、まさにこの事だろうが、たぶん俺以外の学校の連中が同じ経験をするなら、嫌でも逃げ出すだろうな。
性格の悪い俺だから居心地いいが、全員俺以外の連中にはすげぇ態度を取るぐらいに極悪という位に悪いからな。
特に雑賀に到っては、俺の側に他のクラスの女子が来るだけで、どぎつい眼力で睨みつけたり、俺が馬鹿にされるなどの罵られたと分かった瞬間、男女問わずにビンタしたり、急所を蹴ったりするほど凶悪さを出す。
…以前、奥村から借りたライト小説であった”ヤンデレ”という単語が浮んだが、その俗に言うヤンデレとは違ったりするからあれだけど、ともかく、雑賀、小川、小早川、土呂口の四人は、俺が何かあると直ぐに駆けつけ暴れてくるから、逆に宥めに駆けつける事が多かったな。
…むしろ、俺。こいつらの保護者じゃないかねぇ?
離婚して男遊びしてるお袋を見てきて、下宿に投げ込まれた身としてはそんな感情が分からないかもしれない。
ただ、そんな経験をしている以上は、護ってやりたいと言う気持ちが少なからずとも有る。
そう思っていたら、いつの間にか小早川の頭を撫でていたら、ふにゃ顔で蕩けていた。
ソレを見た四人もさり気なく催促してきたので撫でておいた。
その時である。
バスがトンネルに入り、暗闇の中を突き進み始めた時に、俺達六人全員に頭が響くぐらいの声が聞こえてきた。
”ようこそ、二度と戻れない異世界旅行へ”
最初に出てきたその言葉に、皆「は?」と声を上げて聞き続けていた。
”申し訳御座いませんが、貴方達高校の三学年生徒全員を異世界にご招待し、私が管理する異世界の住民になって貰う企画で、皆様をお招きいたしました”
「なっ!?ふざけるんじゃねぇ!?私らはただ旅行しに来ただけだろ!」
”ふむ、噂どおりの素行の悪い子達ですね。なるほどなるほど、これでは勇者にするわけにもいかず、かといって魔族にするのも不便ですね…。分かりました、貴方達の行き先は全員相応しい姿に変えて、送り届けましょう”
「な、何に変えるの…?」
”決めました♪神である私が貴方達を魔物でも底辺である亜人に変えてさしあげましょう!どうですか?うれしいでしょう?”
「うっわ、うっざ…こいつ、絶対性悪だわ」
”はいそこのチビメス餓鬼はゴブリンに決定。そこの小デブちゃんはオーク、なんかバサバサしてる子はオーガ、なんか根暗そうな子はトロールにでもしましょ、あとは…”
「好き勝手に言いたい放題ね。神と名乗っていて、恥を知りなさい」
”めっちゃムカついたから、そこのメガネ猿なメス餓鬼はサイクロプスに変えておこうか。あとは、そこの小デブ男は…”
「皆を好き勝手馬鹿にする言い方をしやがって…ふざけるな!!」
”あっ、良いや。適当にトロール・キングにしてやりましょう。それじゃあ、二度と戻れない異世界へご案なーい♪他のクラスの子に早々に殺されないでね♪お馬鹿さんたち♪キャハハハハハハ”
『うわああああああああ!!』
『きゃあああああああああ!!』
くっそ煩い笑い声と共に、俺達は光に包まれていった…
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