22 持病があるので



 クリスは気まずそうな顔になる。


「それが、施設の管理者には持病があって、その嫌がらせがあったときに倒れてしまうんです」

「そんな偶然ある?」

「だからこそ、ゲームのシナリオなんです。トラブルがなかったら盛り上がらないので」


 私は頭を抱えた。


 二コラと表立って仲良くなるわけにはいかない。


 彼等、攻略対象はヒロインとつながっているからだ。


 けれど、だからといって同じ学校の生徒の危機を見過ごすのは目覚めが悪い。


 だから、苦肉の策だ。


 私は、懐からいざという時のために忍ばせておいた覆面をとりだした。


 銀行強盗する人がかぶってるあれといえば、想像しやすいだろう。

 目出〇帽というやつだ。


「仕方ないわね。これで行くしかないわ」


 クリスは一つうなずいて、何かしらの答えにたどり着いたようだ。


「お嬢様、さてはバカですね」


 仕える主に向かってなんて失礼なことを。


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