日差しは窓越しにオフィスの内部を温めていた。水槽の中の金魚がゆったりと泳ぐ音、遠くから聞こえてくる電話のベル、それらは亮太にとって慣れ親しんだ音となっていた。

「亮太さん、今週もまた新しい問い合わせが増えていますよ。」健一がニッコリ笑いながら報告書を机の上に置いた。

「マジで？どれどれ。」亮太は興味津々で報告書を手に取った。ページをめくる手が震えていた。確かに、問い合わせの数は増加傾向にあった。アフターサービス強化を中心とした新戦略が、段々と市場で評価されていたのだ。

里美も報告書を覗き込む。彼女の顔には驚きと喜びが入り混じっていた。「これ、大手のI社からも問い合わせが来ている！」

亮太は息を呑んだ。「I社って、あの業界トップクラスの…」

「はい、そのI社です。」健一が確認する。

社員たちの間にはすでにこのニュースが伝わり、オフィス内はどんどん活気づいてきた。いくつかのデスクからは、歓声や拍手が上がっていた。

亮太は深呼吸をして、健一と里美の目を真剣に見た。「これは新しいチャンスだ。絶対に手を抜かず、最善を尽くして応対しよう。」

2人は頷き、亮太の決意を共有していた。新しい戦略がこれほどの反響をもたらすとは、彼ら自身が最も驚いているのかもしれない。しかし、その驚きも束の間、彼らにはこれからが本番だという気概があふれていた。

新しい日、新しいチャレンジ。橋本商事の未来は、ここからさらに明るくなることを約束しているようだった。

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