第11話 カーテン
宇多方について語ろう。
奈楽市の北部に
G物件だという噂もある。Gとはゴースト。つまり「幽霊が出る」というわけだ。
ずっと気になっていることがある。二階の窓に、ライトグレーのカーテンがかかっているのだ。元は純白だったが、長い年月を経て、くすんだグレーになったのかもしれない。
気になるのは、そのカーテンが時折、赤く染まることだ。真っ昼間だったので、西日が反射しているわけではない。明るい赤ではなく、深紅に近かった。黒味を帯びた不気味な色である。
ある時、奇妙な符合に気付いた。問題の日本家屋の周辺では、ひんぱんに神隠しが起こるのだ。新聞記事を調べてみると、年に数回のペースで、年齢性別に関係なく人間が消えている。もしかしたら、日本家屋に誘いこまれ、喰われているのではないだろうか?
もちろん、何の証拠も裏付けもない。僕の勝手な思いつきである。妄想だと言われても仕方がない。だが、それでも、「人喰い屋敷」なのではないかと考えてしまう。
なぜなら、カーテンが赤く染まる日に、日本家屋を見ると、ひどく満ち足りているような印象を受けるのだ。まるで、御馳走をたらふく食べた中年男性が、ベルトをゆるめてお腹をなでているように。
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