【筋肉で】能無しなら脳筋になるしかねェーだろッッッ!!! ~スキルが使えないのでひたすら筋トレしてたらいつの間にか最強になってました~ 【全て解決】
『ダンジョン攻略研究調査室』は国営の真っ当な組織なんだって
『ダンジョン攻略研究調査室』は国営の真っ当な組織なんだって
『ダンジョン攻略研究調査室』は国営の組織なんだって。皆知ってた? 俺は今知った。
「えっ、能見くん『ダンジョン攻略研究調査室』を本当に知らなかったの……!? 義務教育で習うと思うんだけど……少なくとも冒険者を目指すなら常識の範囲なのに……」
勇魚が宇宙人を見るような目で俺を見た。全く信じられないわ、高校生にもなってそんなことも知らない無知蒙昧な人って本当に存在したのね、希少だけど無価値な哀れで憐れむべき悲しきお人ね、とその目が言っているように見える。
「悪かったな、無知蒙昧で哀れな珍獣で……」
俺は拗ねた。子供のようにイジケた。
まったく朝から拉致られ変態に絡まれの踏んだり蹴ったりの上に勇魚にも馬鹿にされてしまうなんて全くなんて日だ。
まぁ、義務教育で習って常識の範囲なら、知らない俺が悪いといえば悪いかもしれないけど、何もそんな珍獣を見るような目をしなくてもいいじゃないか。こちとら一応あなたの命の恩人なんですけど。
「な、なにもそこまで思ってないわ……たかが常識を知らなかったくらいでそんな風に思うわけないじゃない。ちょっとだけ、アレなのかなぁ~って思っただけで」
アレってなんだよ。いや、聞かなくてもろくなことじゃないってことはわかる。
「そうか、君は『ダンジョン攻略研究調査室』を知らなかったのか。こっちはてっきり知ってる前提で話したのだが、なるほど、だから私に敵対心むき出しだったのだね」
変態こと一献寺香良はそう言うが、それはちょっと違う。どんな組織であっても、たとえそれが国営であってもいきなり拉致されたら警戒もするし、敵対心だって持つだろう。
「物を知らない
言われて、はいそうですか、と信用できるわけがない。こっちは麻酔銃で撃たれてるんだ。害獣駆除か眠りの探偵並の扱いを受けた身としては、一献寺香良の言葉をそう簡単に受け入れられない。
「能見くん、たしかに『ダンジョン攻略研究調査室』の連中は強引なところがあるけど、我々冒険者の味方なのは間違いないわ。『ダン室』の研究は冒険者にとって必須装備<デバイス>にも活かされているのよ」
勇魚が言うのなら間違いないのだろう。俺は一献寺香良とかいう変態は信じないが、あのとき身を顧みず先生を助けに行った師炉勇魚は信じる……、
「けどなぁ……」
「歯切れが悪いわね。どうしたの? 一体何をそんなに警戒しているの?」
「そりゃ麻酔銃で撃たれたからね」
「えっ……!?」
「麻酔銃で撃たれて拉致られて、変態にウザ絡みされた……」
「あ、あなたたち! そんなことをしたの!? いくらなんでもやりすぎよっ!」
勇魚は椅子から立ち上がり、机を叩き、顔を真っ赤にして怒った。
「やっぱり私が来て大正解だったわ! 『
勇魚が俺のために怒ってくれている。ありがたくて嬉しくてじーんとクるなぁ。軽く感動しちゃった。思わず涙がこぼれそうだ。
波乱の朝からようやく血の通った心の温かい話のわかる人間に会えて、俺はもう勇魚のことが好きになりそうだった。これも吊り橋効果の一種かな。
「勇魚くんに言われては仕様がないね。やりすぎを認めよう。すまなかった、能見琴也くん」
一献寺香良が腰を九十度に折って深々と頭を下げた。ちょっと前に目を覚ましたメン・イン・ブラックたちも同じように謝意を示した。
おお、俺はてっきり警察と同じでこの手の国営組織は意地でも謝らないものと勝手に決めつけていたが、意外や意外に素直な謝罪に驚きを禁じえない。
「能見くん、安心して、私が来たからにはもう『
俺の手を取る勇魚の手がほんのり温かくて俺はもう本当に涙が溢れてきて泣きそうになった。でもデカゴリマッチョが泣く姿を想像したら不思議と涙が止まった。
うん、やっぱりマッチョがおいおい泣くのはキモい。マッチョたるもの簡単に泣くべきじゃない。マッチョには女々しさよりやせ我慢の美学のほうが似合う。まったくマッチョもなかなか辛い。
「だから安心して、『ダンジョン攻略研究調査室』に協力しましょう」
勇魚はにっこりと微笑んで言った。ん……今協力しましょうって言った?
えっ、俺、こんなヤバそうな組織に協力しなきゃなんないの?
つか、決定事項なの?
なんか有無を言わせない感じがヒシヒシするんですけど……。
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