第2話 最終日午前:二人の最後のひと夏

昨日は遅くまできらりと話していた。外国の有名な映画を見たり、学校の話をしたり、俺の家にあった日本酒を少しだけ味見してみたり。気づいたら寝ていたのだろう。机に突っ伏して寝ていた。お酒のせいか、少し頭が痛いような気がするが、大丈夫だろう。きらりは…大丈夫そうだ。安心そうな顔で寝ている。俺はそっと起きると時刻を確認した。今は八時過ぎ。いつもなら遅刻だが今日はそんなことはない。だって、学校もなにも開いていないのだから。

軽くテーブルにあったものをつまんで朝食を済ますと、きらりも起きてきた。


「んー、おはよう光くん。…光くん⁉︎なんで私の家に⁉︎ってここ私の家じゃない…?」


「やっと気づいたのか。昨日の夜熱い一緒に過ごしたっていうのに。」


俺は少し面白くなってきたからちょっと茶化してみることにしよう。


「えっ、えーそんなことしましたっけ⁉︎」


彼女は記憶がないようにあたふたしている。実際に記憶はないのだが。なんだか可哀想になってきたので、そろそろネタバラシをしようかな。


「ああ。日本酒を飲んでものすごく体が火照って暑かったからな。」


「え?日本酒?私たち未成年じゃ?ああ、そういえばそうでしたね。」


やっと思い出してくれたようだ。よかった。きらりはすぐに冷静ないつものきらりに戻ってしまった。可愛かったのに。


「今日が最後ですね。光くん。」


「ああ。そうだなきらり。」


——世界が終わるまであと十六時間。


  ☆

 

俺らはのんびりと隣町まで来て、海沿いにいた。電車は全て自動で運転されているので特に問題もなく来れた。砂浜は温暖化の影響で幅が二メートルほどしかなくなっているが、それもこの世界が終わる原因なのだろう。僕らは海を眺めていた。僕たちはお昼ご飯を食べようと、街に歩き出した。が、コンビニやファミレス、スーパーなどは人がいないので開いていない。


 人がいるスーパーもあったが、その人はどうやら商品を盗難していたようだったのでそのまま通り過ぎたのだが。僕らはなんとか無人販売のコンビニを見つけ、おにぎりを買った。僕はおかかと鮭、明太子のおにぎりを買った。きらりは昆布といくらのおにぎりを買った。海辺で食べれるところを見つけ、そこでお昼にしようかと思っていた時だった。


「光か…?それに、え?きらりさん…?」


後ろから誰かに話しかけられた。


「ん?あぁ和也じゃないか。」


話しかけて来たのは俺の友達の三橋 和也だった。和也は家族と和也の彼女でどこかからの帰りのように見えた。僕が何をしていたのかを聞くと、彼らもご飯を調達していたらしい。


「そっちは何してたんだ?」


和也は俺らに尋ねた。俺らは最期の時を一緒に過ごすことを決めたことを話した。


「事情はわかったが、まさかお前ときらりさんがなぁ〜。結構クラスの中にきらりさん狙ってた人多かったからなぁ〜。でも俺には彼女いるから特に狙ってたとかはなかったけどな。まぁ、おめでとう。」


「あ、ありがと、な。」


僕はそんなことを言われるとは思っていなかったので、素直に嬉しかった。

その後、和也たちと一緒にご飯を食べた。そして、


「和也。僕みたいなやつと友達になってくれて、ありがとな。僕、地元離れてたから友達いなくて、嬉しかったよ。」


僕のありのままの言葉をぶつけた。これは本心だった。


「なんだよ、急に。俺だって、友達いなかったし、お前みたいな話が合う奴がいてくれてほんと嬉しかったよ。」


そっか。ぼくの高校生活も充実していたんだと改めて感じる。


「それじゃあな。もう会えないんだろうけど。」


「ああ。そうだな。それじゃ。」


二人とも「また会おう」なんて言わない。会えるかすらわからないのだから。そうして、僕らの最後の一日の午前中が過ぎていった。


——世界が終わるまで、あと十二時間。



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30分後に最後のを投稿して完結します。

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