第10話 side ミディア

 今日も私は女神の像に向かって祈りを捧げる。


「神様、アテネ様、ラルフが無事でいますように」


 完全に私情だが、無理矢理ここに連れてこられたのだから、このくらい許してくれるだろう。

 祈り終えると、何やら外が騒がしい。気になってしまったので、部屋のドアを開けると。


「聖女様! 大変です! 龍が我々の上空を飛んでいます」

「龍?」

「このままだと神殿が襲われるかもしれません。どうかお祈りを」

「わかった。大聖堂でいい?」

「はい。お願いします」


(ラルフが迎えに来なければいいのだけれど……)


 私は急いで大聖堂へ行く。大聖堂に着くと大司教から言われた。


「聖女様! 龍が火を噴いてこちらに来ています。このままではおそらく神殿が……」

「わかった。私はここで祈りを捧げます。皆は避難してください」

「しかしそれでは……」

「神が導いてくれます。召されるならば、それも運命でしょう」


(ラルフ、最後にあなたに会いたかった)


「司祭、神官から避難せよ。司教は内部に人が残っていないか確認せよ」


ドゴーン

ギリリ

バゴーン


 音のした方へ振り向くと、そこには大きな魔獣がいた。


「えっ! 龍だけじゃなくて……」

(あぁ、ここまでか……)

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