最後の贈り物

天風羅

第1話


見渡せば緑ばかり。

私、大沢夏(おおさわなつ)が住む白戸村(しらとむら)は、人口や建物が少ない。その為、一緒に遊ぶ友人も変わらなければ、見渡す景色も変わらない。何もかもが変わらない日常ばかりだ。




だが、この日を境に私の日常は一変した。




「伯母さん、今日から入塾します。」


私は今日から伯母さんが開講する塾に入塾する事になった。

決して勉強が苦手な訳ではない。だが私にも解けない問題くらいある。解けない問題を一人で黙々とやっても意味が無い、それに気軽に質問できる人が欲しかったのだ。


「塾のみんなね、新しい子が来るってすごく楽しみにしてたのよ。みんないい子達だから仲良くしてあげてね。」


「はい、よろしくお願いします」



伯母さんがドアを開けるとそこには、

10人ほどの生徒が黙々とプリントを解いていた。


私が教室に入ると、ザワザワと話し声がし始め皆、私に注目していた。



「大沢夏です。よろしくお願いします。」



そう挨拶すると、おそらく同じ年くらいの女の子がすぐに駆け寄ってきた。



「あたし、原田真希(はらだまき)!あたしの事は真希って呼んで。よろしくね」


「真希、よろしく。夏でいいよ」


「先生から勉強得意って聞いたよ。夏、あたしに勉強教えてよ!」


「お前は元々アホなんだから、教えて貰っても意味ねーだろ」


「うるさい葵!夏、この生意気面したバカが亘理葵(わたりあおい)。近寄んない方がいいからね」


「誰が生意気面だよ。俺、亘理葵。よろしくな。俺にも勉強教えてくれよ」


「あんたね、私が先に教えてもらうんだからあっち行っててよ!邪魔!」


「あはは。真希、葵、三人で勉強しよう」





こうして私は新しく二人の友人ができた。




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