星天のポスト
岡山ユカ
プロローグ 2つの手紙が語る日々
無名の投稿者
貴方はこう思うことはありませんか?
未来の自分は一体どうなっているのか……と。
どんな人になっているのか。どんな仕事についているのか。どんな人と結婚しているのか。色々、未来に思いを馳せる時期は誰にでもあるだろう。想像することを楽しいと思う人もいれば、どうなっているんだろうと恐怖を覚える人もいる。だからこそ、知りたいという欲望を加速させるのだろう。
じゃあ、本当に未来を知ることの出来る手段がこの世に存在していたら。〇〇市、〇〇町にある湖の桟橋にある、綺麗な青いポスト。そこに星空が見える時間帯と天候の時に、未来を教えてくださいと手紙を出す。すると、翌日、寝床近くに返信の手紙が来ている。そこに、自分の未来が記されている。しかし、それは絶対的な未来であり、変えることが出来ない。「大学受験に失敗する」という内容が書かれていたら、どんなに必死になって勉強しても落ちるという未来に行き着く。
絶望的な未来が書かれているのか、それとも希望に満ち溢れた未来が書かれているのか。それは見ない限り永久にわからない。
見ないという手段も残されている。実際、未来のことなど知らなくて良い。知ったところで、自分の人生に良い影響を与えることなどないのだから。
流星群が雨のように降り続ける肌寒い夜。水面は鏡のように星空を映し出していて、まるで宇宙にいるような神秘さを醸し出している。誰もいない静かな場所にいる私の目の前にあるのは、紺色に見える青い古びたポスト。これが、同級生や下級生、先輩など学校の生徒たちの間で話題になっている未来を教えてくれるポスト。突然、SNSで意味深な投稿がされ、都市伝説として人気となった。人気となったのは、人々が神秘性に惹かれたからというのもあるがもう一つ要因がある。その要因となったものを証明する2つのものを、私は大切に胸に抱きしめていた。それは、ある意味手紙と呼べるものだった。
私は開封済みの片方の手紙をもう一度開けて、中身を読んだ。もう既に内容は把握しているのに、熟読してしまう。一文字一文字に思いを馳せ、数日前のことを思い出す。断片ではなく、ちゃんとした録画した映像のように鮮明に脳内で再生される。なんてことのない日常を送っていたはずのあの頃。読むたびに、後悔が溢れてくるそんな内容。
これは2つの手紙が語るある出来事の話。
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