刹那の香り

吾名無き

彼女を一文字で例えるなら、それは『華』

可憐でそれでいて明朗な姿は

夜明けに力強く花開く花弁のよう

凛としたその色を咲かせているのに

時折か弱く倒れ込む

なんと愛おしいか言い様のない

支柱が無くとも色褪せることなく咲き誇っているのに

「支えがあれば尚綺麗に輝けるでしょう」

なんて巧く丸め込まれてしまって

けれどもそんな彼女が大好きで

その花の枯れるまで添い遂げたいと

むしろこちらが切望していて

弱い弱い瞼に優しく花蜜を注いでくれる

憂いを纏う中でも決して手を離さず

数知れない潤いを与えてくれた

「私は何時でも信じておりますから」

そう告げる貴女の胸の中で

愛しているよ、と心地良い微睡みに心を落とす

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