第18話 第一回新人魔法少女魔法戦大会二日目

 四月最後の水曜日。

 第一回だいいっかい新人魔法少女魔法戦大会しんじんまほうしょうじょまほうせんたいかい二日目ふつかめ

 大会二日目は、前日の敗者が一部のルールを変えることが出来る。

 二日目のルールは、ライアの意向により夜戦やせんになった。

 ライアは、四階。

 カラフルは、六階からバトルがスタート。

 最初に、ライアが右手でで仮面の鼻をつかんだ。

 そして、呪文を叫ぶ。

「ラカンスロープ! 」

 すると、ライアの頭に狼の耳。

 お尻から、モフモフの尻尾。

 腕が前足になり、白銀の狼となった。

「急いでカラフルの所へ行くぞ! 」

 狼になったライアは、四本の足を前後に動かして、駐車場の坂を駆け上がった。


 駐車場六階。

 ライアは、カラフルを探した。

 車止くるまどめと壁の間。

 車椅子の絵が描かれた駐車場も探す。

 しかし、カラフルの姿はない。

「うーん……」

 ライアは、お座りをしながら考えた。

 まだ自分に、『色彩カラフル・ファンタジア』の効果が残っているのかもしれない。

 ライアは、右足で自分の鼻を隠した。

 そして、呪文を叫ぶ。

「大魔法『白紙はくしほん』」

 すると、ライアの目の前に白い本が現れた。

 そして、ライアは狼から別の姿に変わる。

 赤いとんがり帽子と銀ショートヘアーと鼻が長い黒い仮面と白いベストと赤い短パン。

 ライアは、元の姿に戻った。

 ライアが使った『白紙の本』は、自分を対象とするものをなかったことにする魔法。

 すでにかかっている魔法も対象となる。

 一分ごとに白い本が一ページ消える。

 五ページ全てなくなると、『白紙の本』の効果を失う。

 ライアは、もう一度いちど六階ろっかいの駐車場を見た。

 やはり、カラフルはいない。

 ライアは、『カラフルは、最上階にいる』と予想した。

「脚力が落ちているが仕方ない」

 ライアは、坂を上って最上階へ行った。


 駐車場九階。

 ライアは、足がフラフラになりながら坂を上り終えた。

 ここは、天井がないからか、夜空が広く見える。

 月の場所がすぐ見つかるほどだ。

「月が美しい……白紙の本は……あと……いちページ……だが……おいらの勝ちは……決まりだ……うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 白紙の本の、最後のページが消えた。

『白紙の本』は、最大魔力の半分を使うため燃費が悪いのだ。

 ライアは、車止めと壁の間に尻餅しりもちをつく。

「いでででででででででででででででででででででででででででででででででででで……」

 すると、目の前にカラフルが現れた。

「また……その作戦……かぁ……二度目は効かんぞ……」

 ライアが、車止めの前で右足左足の順に立ち上がったその時。

「ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 ライアのお腹が、ぐぅーと鳴った。

 そして、後ろの壁に体めり込んで落下。

「……うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 ライアは、右手で仮面の鼻を掴むが呪文を叫ぶほど気力がなくなっていた。

「ま、魔法が……使えねぇ……詰んだ……」

 七階、六階、五階、四階、三階、ライアが下へ落ちていく。

「う゛うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 そして、頭からしげみに突っ込んだ。

 幸い、ライアは軽症。

 しかし、試合終了まで動けなかった。


 二試合目が終了。

 ライアは、一階。

 カラフルは、五階と言う結果となった。


 

 

 

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