ジョハリの魔法女王~バトル大好き魔法少女のダークな日常

セレンとセシウム

十一歳 初夏

四月 第一週

第1話 魔法女王ジョハリ

 裏世界うらせかい魔法少女市まほうしょうじょし魔王城まおうじょう

 廃デパートを改装かいそうして出来た、裏世界の城。

 ここの十五階の王座に、十一歳の魔法少女がいる。

 ジョハリだ。

 ジョハリは、金のおさげをしている。

 おさげの下は、赤と青と黒と白の四色のベスト。

 ベストの下は、桃色の短パン。

 桃色の短パンの上は、色が違うチェックのスカート。

 そのスカートは、白に赤のチェックと青に黒のチェック。

 チェックのスカートの上は、スケスケのレースのスカート。

 脚には、茶色いタイツと白と黒のブーツをしている。

 王座は、中古のカフェオレ色のマッサージチェアー。

 足下には、『開放』と書かれたバッグがある。

 ジョハリの二つ名は、『ジョハリの窓系魔法少女の窓娘』。

『○○○○○○○○○○系魔法少女の○○○○○娘』とは、魔法少女の二つ名。

 裏世界の人々に、魔法少女一人一人の違いを知ってもらうために、このルールが出来た。

 しかし、ジョハリはなぜ、魔王城廃デパートで暮らすことになったのか?


 二ヶ月と十日前。

 ジョハリは、メタンとツァイガルと共にフィロの電車で裏世界へ行った。

 この時のジョハリは、白と赤のフードと青と黒のワンピースをしている。

 ツァイガルは、銀のおさげと『剣』と書かれた赤いワンピース。

 腰に細長い剣を持った女剣士だ。

 メタンは、『氷』と書かれたとんがり帽子に白いツインテール。

 上に、水色と灰色のベスト。

 下に、青い和服した魔法少女だ。

「もう直ぐね」

「ああ」

「うん」

 フィロの電車が、シューッと音を立てて停まった。

 そして、目の前の薄黄色うすきいろの扉が左右にスライドして開いた。

 「ああ」

 「ああ」

 「ああ」

 「ああ」

 「ああ」

 すると、ジョハリ達を見た裏世界の人間が一人二人と頭下げる。

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

「魔法少女様! 」

 目の前の青いスーツの女性と黒いスーツの男性以外が、頭を下げた。

 青いスーツの女性は、ジョハリの二倍のおっぱいで茶色いショートヘアーをしている。

「ううん? 」

 青いスーツの女性は、周り見た。

 そして、『魔法少女』書かれた看板が目にとまった。

「ああ、なるほど……」

 青いスーツの女性は、思った。

 今現れた魔法少女は、神のような存在に違いない。

「魔法少女さん。少々お待ちよ」

 青いスーツの女性は、左手に持っているスマホカバーから三枚のカードを取り出した。

 そして、ジョハリ達に一枚ずつ渡す。

「わたしは、こう言うものです」

「おお」

「ほう」

「ううん? 」

 カードには、『魔法少女市市長まほうしょうじょししちょう 水葉みずば しょう』と書かれている。

 ジョハリ達がやって来たのは、魔法少女市。

 それで、目の前にいる青いスーツの女性は、蕉市長のようだ。

「この町のギルマスから頼まれました。開放のバッグの魔法少女を駅の外に連れて行きなさい」

「はい! 」

「はい! 」

「え、ええ? 」

 蕉市長の後ろにいる二人の黒いスーツの男性が、ジョハリの両腕をつかんだ。

 そして、蕉市長と共に魔法少女駅の外に出る。

「ジョハリ、連れてかれたなぁ」

「何か、悪いことしたのか? 」

「さぁ……」


 ジョハリと蕉市長は、魔法少女駅の外にやって来た。

 今にも、雨が降りそうな曇り空だ。

「魔法少女さん。お名前は、何ですか? 」

「ジョハリ」

「ジョハリさんですね。実は、この町には、ギルドというものがあるんです。そこのギルマスと言う人物から、『魔法少女が、降臨する』と言う予言がありました」

「へぇー。ここにもギルドがあるんだ」

「はい。それで、神のような存在であるあなたに、何かしようかと」

「何をするの? 」

 蕉市長は、黒いバッグから白い紙を出した。

「これは、魔法女王の城の計画書です。あなたには、魔法女王になってもらおうかと」

「そういことね」

 ジョハリは、たくさんある灰色の長方形のビルを見た。

「ジョハリさん。そこは、建設予定地けんせつよていちではありませんよ」

「いや、あたしはあそこがいい」

 ジョハリが指差したのは、一番高いボロボロの建物だ。

 蕉市長は、『その建物は、めて欲しい』と思った。

「ジョハリさんが選んだのは、今は使われていない廃デパートですよ。そこに住まれても……」

 ジョハリは、二本指で蕉市長の口を押さえた。

「だって、ボロボロの方が魔法で戦うにピッタリじゃない。あたしは、戦うのが好きだから」

「確かに、この町には廃デパートなどのボロボロの建物がたくさんあります。魔法少女が戦うには、相応しいかもしれませんね」

「でしょ」

「了解しました。廃デパートを城に改装いましょう」

 そして、ジョハリは、魔法女王となった。


 


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