そして羽ばたく僕等
ピッキー
今見える空は
ここから先に進む為の力はもう残されていないみたいだ。
生きてきた時間が同じでも、その先に待つステージに全員がせーので進めるわけじゃない。この世は不平等だ。神なんて信じちゃいないが本当にいるなら呪い殺してやりたい。同じ人として生まれたはずなのに何か一つ歯車が狂えばすぐに過去も未来も潰される。
あの日からずっと僕は壊れるのが怖い。恐怖という鳥籠を壊して外に飛び立つのが
羽ばたく為の翼を平等に与えるなら、前に進む為の力も与えて。
この願いはわがままだろうか。僕はまだわからないままだ
夏がもうすぐ終わる。まだ僕の翼は折り畳まれたままだ。
日が照り付ける中僕は外を歩いている。なんで歩いているのかもわからない。
快晴の中揺れている陽炎が僕を嘲笑っていた。
今の僕には何もない。みんなが前を向いて進んでいるのに僕は一人鳥籠の中で縮こまっている。僕は過去に吞まれている。こんな僕を両親はどう思うのか、蔑んでいてくれるだろうか、それとも励ましてくれるのだろうかその答えは知りたくない。
もう終わりたい こんな人生ならどうでもいい
何度も死のうと思った。でも死ねなかった。こんな事でさえ僕は、
自分の意志を自分で決めることもできなかった。
こんなだからみんなに置いて行かれたんだろう
道横の木で一匹の蝉が全力で鳴いた。僕を笑っていたのだろう。
蝉は最後の力を使い果たしたのか木からさかさまに落ちた。
それを僕は鼻で笑った。蝉という生き物を下に見た。
全力で生きた生き物を全力で生きることを諦めた生き物が
中身のない無駄に長いだけの僕の生と、限られた命で全力でなすべきことを行う蝉の生、どちらに価値があるのかそんなことも理解できないほど僕は腐っていた。
僕を照らす日差しは酷く暗く濁っていた。
もうすぐ夏がおわる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます