33:ジョアンナの誕生日
今日は、ジョアンナの誕生日だ。
夜には、ジョアンナのためにお祝いの席を
もちろん、ヴィンセントも参加してくれる。
昨日、昼食を終えて部屋に戻ると、彼からお祝いとして新しいドレスが届いていた。
贈られたドレスは、銀色を基調としていて、濃い紫色の刺繍や宝石が散りばめられている。彼の色を
ジョアンナは今夜の事を考えながら、少し浮かれた気持ちで【ログインボーナス】の画面を開き……驚きに動きを止めた。
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誕生日おめでとうございます!
「誕生日プレゼント」が届きました!
① ガチャチケット:10枚を手に入れました(有効期限:本日中)
② 本日の[10連ガチャ]は、全てR以上のカードが出ます
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ジョアンナは「またか」という思いに溜め息をつき、机に向かって歩いていくのだった。
手紙を書き終わった頃、侍女達が部屋に入ってきた。3人からお祝いの言葉とプレゼントを渡されて、ジョアンナは思わず笑顔になる。
昼食までは普段通りのため、のんびりと朝食を食べながらさっきの画面について考えている。
②の「全てR以上」というのは、なんだかとんでもない物が出てきそうで怖い。
これから誕生日の度に、こんな感じなのだろうか……。
ジョアンナは自分の誕生日が来ることが、少し怖いなと思うのだった。
「ジョアンナ嬢、誕生日おめでとう!」
昼食の時間になりヴィンセントの部屋に行くと、花束を持ったヴィンセントからお祝いの言葉が贈られる。花束はジョアンナの好きな白をベースに、ピンクなどの柔らかい色合いでまとめられていて可愛い。香りも良く、ジョアンナは自然と笑顔になってしまう。
昼食後にお茶を飲んでいると、ヴィンセントから綺麗に包装された箱を手渡された。
箱を開けてみると……紫色の宝石のついた首飾りと耳飾りだ。今日のドレスと合うデザインになっている。
「私からの誕生日プレゼントだ。もしよければ、今日の夜に着けてもらえると嬉しい」
驚いてヴィンセントを見ると、彼は頬を赤く染めながらそう言ってくれた。
ジョアンナもなんだか恥ずかしくなり、首を縦に振るので精一杯だった。
部屋に戻ると、侍女達が待機していた。すぐに服を剥ぎ取るように脱がされ、浴室で全身を洗われ磨かれる。
夕食の時間のギリギリまで、髪につける飾りなどを細かく調整されて、すでにジョアンナはくたびれていた。
正直、ジョアンナには侍女達が揉めている飾りの位置の違いが、何が違うのか全くわからなかった。そのため、静かに微笑んで彼女達にお任せすることにした。
そうして時間ギリギリに
肌には上品な艶があり、髪は少し巻いていて所々に紫や透明な宝石が付いている。動く度に光が揺れてとっても綺麗だ。化粧も派手ではないが、いつもより少し濃いのだろうか……目がパッチリと大きく見える。
素晴らしい仕上がりにジョアンナは自然と笑顔になり、頑張ってくれた3人に心からの感謝を伝えた。
食堂の前に着くと、ジョアンナの胸は緊張で高鳴っていた。
ヴィンセントは今日のジョアンナを気に入ってくれるだろうか?
さっきまで鏡を見てあんなに嬉しかったのに、不安になってくる。
コリンナが開けてくれたドアから中に入ると、すでに全員揃っていた。薬師のディーノも正装をして参加してくれている。
沢山の使用人も集まってくれていて、拍手でジョアンナは出迎えられた。
コリンナに手を引かれてヴィンセントの元へ行くと、彼がジッと自分を見つめている。ジョアンナは緊張と不安で動けずにいた。
「ゴホンッ!」
ケルヴィンの咳払いの音にハッとしたヴィンセントが、少し身を正した。
「すまない……あまりにも美しかったので、つい
そう言ったヴィンセントは耳まで赤くなっていて、ジョアンナも嬉しい思いが溢れるのと同時に、顔に熱が集まっていくのを感じた。
それから、ケルヴィン、セリーナ、ディーノに、次々とお祝いの言葉とプレゼントをいただいた。
ケルヴィンは、ジョアンナの瞳の色と同じ赤い宝石の付いた髪飾り。
セリーナは、隣国で人気のある花の入ったヘアオイルとボディオイル。
ディーノは、お手製のハンドクリーム。
贈られた物は、どれも心のこもった素敵な物ばかりで、ジョアンナはとても嬉しかった。
食堂やテーブルは沢山の花で
初めて食べるブラックオークという魔物の肉を使った料理。これが
美味しい料理を食べながら、大切な人達と一緒に過ごす誕生日。
こんなに素敵な誕生日を過ごすのは、母が生きていた時ぶりで……ジョアンナは涙が出そうなほど幸せだった。
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