36歳喪女がマッチングアプリで結婚した話
鴨野
第1話 プロローグ
「喪女」、それは孤高の女戦士の称号である。
「喪女」、それは悲しき運命の悪戯でもある。
初めまして、鴨野と申します。
私は正真正銘の元・喪女でございます。悲しき喪女歴は36年。人生も折り返しに差し掛かり毎日漠然とした不安や焦燥感と、おひとり様の気楽さの中で揺れ動く毎日を送っておりました。
だってこの先の事考えたら一生働き続けないといけないし、病気したって独り。老後働けなくなったら話し相手も居なくなって孤独死か……。なんていうネガティブな気持ちと、まぁでも今は趣味も楽しいし健康すぎるくらい健康だし。悩んだって明日死んじゃうかもしれないし!というポジティブな気持ちが入れ替わり立ち替わり。
基本、脳天気なんで深刻に悩むこともなかったけれど、楽しいことの裏側にはいつも影がひっついてちょこちょこ顔を出してくるみたいな、そんな感じ。
今回は、そんなどこにでもいる平凡な喪女がマッチングアプリで思いがけず結婚したお話を書いていこうかと思います。
さて、冒頭に戻りまして「喪女とはなんぞや?」と思った方に超ざっくり説明すると、“とにかくモテない”、“彼氏いない歴=年齢”のご婦人のことを指します。
「え~、私最近推し活忙しくて今彼氏とかいなくてぇ。めっちゃ喪女って感じ」
最近こういう眩しいお嬢様方もお見かけしますが、彼女等は喪女ではないのです。なぜなら過去に交際経験も有り、“今”彼氏はいない状態だから。
ちょっと分かりやすく書いたので例の感じが悪くなってしまいましたが、リアルが充実していて、その結果恋人がいない・作らない人は個人的に喪女に当てはまらないと思っています。なので、他にも仕事が大好きで、その結果おひとり様を自分で選んでいる方なども喪女には当てはまらないと思うのです。職業婦人、格好良い!
かく言う私はそんな選択をした訳でもなく、ただただ喪女。モテないし、彼氏いない歴は更新を続ける一方。どう足掻こうが真正の喪女であり、現旦那さんとお付き合いするまで彼氏がいたこともなければ、好きな人すらもうずっといない有り様。いわゆる高齢喪女と呼ばれるものです、えぇ。
自他共に認める孤高の女戦士、喪女。
親や親戚のプレッシャーに耐え、世間の常識に耐え……。それでも日々を楽しく、余裕はないけれど小さな幸せのある暮らしに満足していました。
いやはや、喪女ってそう言う面では図太くなっていくものよなぁ、なんてのほほんとしながらも、親に孫の顔を見せられないことは申し訳なく思っておりました。
ではなぜそんな私が婚期も逃しきったアラフォーになってマッチングアプリで結婚することなったのか。
もし今、結婚ということで悩んでいたり、喪女であることに劣等感を持って悶々とした日々を送っている方がいれば、少しでも何かの参考になれば幸いです。
暇潰し程度にどうぞ、ごゆるりと楽しんでいってください!
鴨野について。
カバと魚類を足して2で割ったような顔。どう頑張っても目に光が宿らない、死んだ魚のような目をしたアラフォー。
ヴィジュアル系バンドと園芸をこよなく愛するゴリゴリの陰キャ。細く長く同じものを好きでいる。一途というより面倒くさがり。暗いというより重々しい。
園芸は花から野菜まで興味ありだが、花が好き!というより成長過程を知りたい気持ちが強い。稲作は家庭菜園の最高峰と憧れを持ち続けていたところ、義実家が兼業農家のためめでたく稲作を教えてもらえることになった。ラッキー!
鴨が好き。プリプリのお尻がたまらんです。鳩も好き。ジャンキーで何を思っているのか全く分からないところがたまらない。くちばしの上の謎の白いボンボリにいつか触ってみたい。
現在旦那さんと、義実家で飼われていたミニチュアダックスフントのM嬢(お婆ちゃん)と義実家の敷地内で暮らしている。
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