470

 輝く剣による最後の一撃がデッドクラウンを縦に斬った。道化の仮面が割れ、床に落ちる。


 彼の顔は禍々しい髑髏だった。

 生を捨て不死になったおぞましい肉体だった。


 それが金色の光の中で塵になってゆく。

 陽の妖精アテン=クアが纏う輝きに、呪われた生ける躯は永遠に消滅するのだ。


「私の、もぉのぉだぁ‥‥」

 崩れゆく顎で呻き、妖精へと手を伸ばしつつ‥‥不死者は塵となった。


 魔物の消滅を見届け、妖精は君の肩に舞い降りる。白い扇を振り、前進するよう君を促しているようだ。

 小さく頷くと君は向かう。

 この最上階から降りる階段へ。

 君へ討伐の命を降した王へ、勝利を報告するために。


 奇しくもその時、山の峰を超えて陽が昇り、最上階に光がさした。それはまるで闇と光の時代の交代を天が認めたかのようだった。

https://kakuyomu.jp/works/16817330663030599833/episodes/16817330663788474009

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る