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 少女が飛ぶ。跳躍ではない、まるで風の精が躍るかかのように宙を動くのだ。そうしながら振るう爪は、目で追うのも難しい速さで君の血管を狙う。

 さらに幾種類もの魔術まで使い、敵を蹂躙するのだ。


 君はこの恐るべき魔物に剣だけで対抗するのは得策ではないと思い至った。よってニンニクの瓶を取り出していくらか頬張ると、残りは少女が迫った時を狙ってブチ撒けた。


【ニンニク を消すこと】


「オゲェー! オゲェー、臭っさ、臭っさあぁぁー!」

 大声をあげて少女が身悶えする。鼻と口を抑え、涙を潤ませて仰け反った。


 上手くいった。夜の貴族を自称する不死の一族が大蒜にんにくを苦手とする事‥‥昔どこかで聞いた知識だが、見事的中し、敵を弱体化させる事に成功した。

 発狂寸前の少女に、君は妖精の加護を得た剣を振り下ろす。


【吸血鬼の少女 戦闘力6 生命力12】


・勝利したら――

https://kakuyomu.jp/works/16817330663030599833/episodes/16817330663744369302

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