257

 君が降伏を勧めると、女は傷を抑えて膝をついた。

「ああ、きっと兄さんは貴方に退治されてしまったのね。もう私もお終いですわ」

 さめざめと泣きながら、女は君の脚にすがりついた。

「今さら恥知らずは承知です。しかしお情けをかけてください‥‥」


 女は部屋の隅に行くと、隠していた瓶とカップを取り出す。瓶の栓をあけると芳醇なワインの香りが漂った。

「私がさし出せる物と言ったら、私自身の体とこのとっておきの酒しかありません。この酒は醸造の神の神殿で造られた最高の品です」


 女は君にしなだれかかり、自ら酌をする。

 毒がないか、少しずつ口に含みながら味わってはみたが――確かにこれまでで一番美味いワインだ。

 また、普通の酒でもなかった。


 サイコロを3個ふり、出た目の数だけ【生命力】を回復すること。さらにその半分(端数切上)だけ【意志力】も回復できる。


 酒に満足していると、いつのまにか女は消えていた。酒を差し出したので体までは必要無いと判断したのだろう。

 別に構わないので、君は先へ進む事にした。

 入って来た物とは別の出入り口へ踏み込む。

https://kakuyomu.jp/works/16817330663030599833/episodes/16817330663472296821

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る