昔の推理小説

みなもとあるた

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「参ったよ探偵さん。俺の負けだ。俺があいつを殺したんだ」


 男は観念したように両手を上げた。その首は力が抜けたようにうなだれ、探偵からは男の表情がもう見えない。


「だが一つだけ聞いていいか?探偵さんはどうして俺が犯人だと分かったんだ?俺があいつを刺した時、あいつはもうすでに声も出せない状態だったはずだ。電話すら掛けられなかったはずなのに、あいつはどんな手段を使って俺が犯人だという情報を外に伝えたんだ?」


「簡単なことですよ。被害者は携帯電話のメールでダイイングメッセージを送っていたんです」

 そう言って探偵はポケットから静かに携帯電話を取り出した。その表面には、被害者の物と思われる血液が付着している。


「そうか…まさかよりによってあいつがメールみたいな今どきの物を使ってたとは、俺も運がなかったな」

 男は自身の油断を自嘲するかのように口角を上げた。


「絶対に外と連絡が取れないようにしたつもりだったのに。世の中、便利になるってのも良いことばかりじゃないな」

 そう言い残して、男は静かにパトカーへと乗り込んでいくのだった。





「参ったよ探偵さん。俺の負けだ。俺があいつを殺したんだ」


 男は観念したように両手を上げた。その首は力が抜けたようにうなだれ、探偵からは男の表情がもう見えない。


「だが一つだけ聞いていいか?探偵さんはどうして俺が犯人だと分かったんだ?俺があいつを刺した時、あいつはもうすでに声も出せない状態だったはずだ。電話すら掛けられなかったはずなのに、あいつはどんな手段を使って俺が犯人だという情報を外に伝えたんだ?」


「簡単なことですよ。被害者はポケベルでダイイングメッセージを送っていたんです」

 そう言って探偵はポケットから静かにポケベルを取り出した。その表面には、被害者の物と思われる血液が付着している。


「そうか…まさかよりによってあいつがポケベルみたいな今どきの物を持ってたとは、俺も運がなかったな」

 男は自身の油断を自嘲するかのように口角を上げた。


「絶対に外と連絡が取れないようにしたつもりだったのに。世の中、便利になるってのも良いことばかりじゃないな」

 そう言い残して、男は静かにパトカーへと乗り込んでいくのだった。





「参ったよ探偵さん。俺の負けだ。俺があいつを殺したんだ」


 男は観念したように両手を上げた。その首は力が抜けたようにうなだれ、探偵からは男の表情がもう見えない。


「だが一つだけ聞いていいか?探偵さんはどうして俺が犯人だと分かったんだ?俺があいつを刺した時、あいつはもうすでに瀕死の状態だったはずだ。隣の家にすら歩いて行けなかったはずなのに、あいつはどんな手段を使って俺が犯人だという情報を外に伝えたんだ?」


「簡単なことですよ。被害者は電話でダイイングメッセージを送っていたんです」

 そう言って探偵はポケットから静かにメモを取り出した。その表面には、被害者の死亡推定時刻の少し前に電話交換手がこの家からの電話を取り次いだ記録が残っていた。


「そうか…まさかよりによってあいつが電話みたいな今どきの物を持ってたとは、俺も運がなかったな」

 男は自身の油断を自嘲するかのように口角を上げた。


「絶対に外と連絡が取れないようにしたつもりだったのに。世の中、便利になるってのも良いことばかりじゃないな」

 そう言い残して、男は静かにパトカーへと乗り込んでいくのだった。





「参ったよ探偵さん。俺の負けだ。俺があいつを殺したんだ」


 男は観念したように両手を上げた。その首は力が抜けたようにうなだれ、探偵からは男の表情がもう見えない。


「だが一つだけ聞いていいか?探偵さんはどうして俺が犯人だと分かったんだ?俺があいつを刺した時、あいつはもうすでに瀕死の状態だったはずだ。隣の長屋にすら歩いて行けなかったはずなのに、あいつはどんな手段を使って俺が犯人だという情報を外に伝えたんだ?」


「簡単なことですよ。被害者はダイイング矢文を放っていたんです」

 そう言って探偵は懐から静かに矢を取り出した。その表面には、被害者のものとみられる血液が付着していた。


「そうか…まさかよりによってあいつが矢文みたいな今どきの物を使ってたとは、俺も運がなかったな」

 男は自身の油断を自嘲するかのように口角を上げた。


「絶対に外と連絡が取れないようにしたつもりだったのに。世の中、便利になるってのも良いことばかりじゃないな」

 そう言い残して、男は静かに馬へと乗り込んでいくのだった。





「参ったよ探偵さん。俺の負けだ。俺があいつを殺したんだ」


 男は観念したように両手を上げた。その首は力が抜けたようにうなだれ、探偵からは男の表情がもう見えない。


「だが一つだけ聞いていいか?探偵さんはどうして俺が犯人だと分かったんだ?俺があいつを刺した時、あいつはもうすでに瀕死の状態だったはずだ。隣の村にすら歩いて行けなかったはずなのに、あいつはどんな手段を使って俺が犯人だという情報を外に伝えたんだ?」


「簡単なことですよ。被害者はダイイング狼煙を使っていたんです」

 そう言って探偵は懐から静かに燃えカスを取り出した。


「そうか…まさかよりによってあいつが狼煙みたいな今どきの物を使ってたとは、俺も運がなかったな」

 男は自身の油断を自嘲するかのように口角を上げた。


「絶対に外と連絡が取れないようにしたつもりだったのに。世の中、便利になるってのも良いことばかりじゃないな」

 そう言い残して、男は静かに馬へと乗り込んでいくのだった。





「参ったよ探偵さん。俺の負けだ。俺があいつを殺したんだ」


 男は観念したように両手を上げた。その首は力が抜けたようにうなだれ、探偵からは男の表情がもう見えない。


「だが一つだけ聞いていいか?探偵さんはどうして俺が犯人だと分かったんだ?俺があいつを刺した時、あいつはもうすでに瀕死の状態だったはずだ。隣のピラミッドにすら歩いて行けなかったはずなのに、あいつはどんな手段を使って俺が犯人だという情報を外に伝えたんだ?」


「簡単なことですよ。被害者はダイイングヒエログリフを残していたんです」

 そう言って探偵はシェンティから静かに石板を取り出した。その表面には、被害者のものとみられる血液が付着していた。


「そうか…まさかよりによってあいつが文字みたいな今どきの物を使ってたとは、俺も運がなかったな」

 男は自身の油断を自嘲するかのように口角を上げた。


「絶対に外と連絡が取れないようにしたつもりだったのに。世の中、便利になるってのも良いことばかりじゃないな」

 そう言い残して、男は静かにラクダへと乗り込んでいくのだった。





【おまけ 未来の推理小説】



「参ったよ探偵さん。俺の負けだ。俺があいつを殺したんだ」


 男は観念したように両手とサイバネティック腕を上げた。その首は力が抜けたようにうなだれ、探偵からは男の表情がもう見えない。


「だが一つだけ聞いていいか?探偵さんはどうして俺が犯人だと分かったんだ?俺があいつを刺した時、あいつはもうすでに瀕死の状態だったはずだ。隣のコロニーにすらシフトできなかったはずなのに、あいつはどんな手段を使って俺が犯人だという情報を外に伝えたんだ?」


「簡単なことですよ。被害者はダイイングクァンタムペアを送っていたんです」

 そう言って探偵はオフチョベットから静かにテフを取り出した。その表面には、被害者のものとみられるバイオ血液が付着していた。


「そうか…まさかよりによってあいつがマブガットみたいな今どきの物を使ってたとは、俺も運がなかったな」

 男は自身の油断を自嘲するかのように口角を上げた。


「絶対に外と連絡が取れないようにしたつもりだったのに。世の中、便利になるってのも良いことばかりじゃないな」

 そう言い残して、男は静かにインジェラへと乗り込んでいくのだった。

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