TOEICとその界隈に潜む何かを見た 〜光と闇と英語ビジネスに飲まれてしまった一人の男の体験記録〜
一木 川臣
はじめに
皆さん、突然ですがTOEICという試験をご存知でしょうか。
全く試験に興味の無い方でも、一度はどこかで耳にしたことがあるかも知れません。
『あぁ、なんか……あれでしょ? 英語のテストみたいな。俺英語苦手なんだよね〜、横文字見るだけでもう吐き気がしそうだぜ。よくあんなの受ける気になるよな』
『履歴書に書くやつ?? 最近テレビでよく聞くけど、詳しくはわかんないな』
『今就活でとりあえず受けてるって感じ』
『お兄さん誰? 急に話しかけないでよ気色悪い』
街中で適当に誰かをとっ捕まえて、TOEICについて知っているかどうかアンケートを取ってみると良いかもしれませんね。多くの人が『なんとなく知っている』と答えるかと思います。
しかしながら、他の資格を受験している私の立場から見てみればこれ程知名度が高く、頻繁に(TOEICはほぼ毎月)行われ、多くの人が受験する(日本では年間200万人近く、世界では年間700万人ほどとのこと)試験は本当に珍しいと感じています。
国家資格でもない民間の資格なのに、ここまで知られている試験というのは、かなり限られています。(それこそ、TOEICと対をなす英検もメジャーですが……)
別にTOEICが自動車免許や税理士資格といった『その資格を持っていないと、運転や仕事ができない』といった、強い効力のあるものというわけでもないです。ただ単純に『英語力があるかどうかを試す』だけの試験です。
なのにも関わらずここまで全国で浸透しているというのは、改めて考えてみても、試験界の中においてTOEICは異質な存在であると感じます。
何故ここまで多くの人に受験されているのか?
それはなんといっても転職で役に立つ資格と見られているからです。多くの企業からTOEICは評価されており、それも相まって常に人気資格ランキング(噂ではMBAの次に評価されるとか……?)に食い込んでいます。
また、高いTOEICの点数がそれ程強いものであるのにも関わらず。人気である理由として
・比較的安価で受験が可能であること。
・数多くの教材が揃っていることこと。(書店に行けば鈍器のような本が棚に積み上がっている)
・働きながら勉強しやすいこと。(勉強アプリなども豊富)
・企業によっては出世のためTOEICの点数が求められていること。
・不況な世の中(資格需要そのものの高まり)
などが挙げられ、人気は加速する一方のように思えます。
そんなこんなでグローバル社会が拡大する我が国日本(TOEICの世界でもグローバル企業がトレンド)においても、TOEICの点数は求められているみたいで、その人気は拡散の一途のようです。
そのような背景もあり、TOEICという試験は色々なものを生みだすようになりました。関わる人が多い分そうなりますね。文化、専門用語、トレンド、ステークホルダー、その他諸々です……これを全部ひっくるめて、本作においては『TOEIC界隈』と指すことにしましょう。
これら『界隈』は決して良いものばかりでなく、怪しい存在(悪いものじゃないですよ!)をも生み出すようになってしまいました。
このようなTOEIC試験、および界隈における怪しい存在を本書では『闇』と称することにします。
TOEICにおける光と闇……本作ではこれらを中心に、私が感じた異質な経験をつらつらとまとめました。『ここが変だよTOEIC』なんて思ってないですよ。ちょっと『ん?』と感じたことです。
今までTOEICを受けた方でもそうでない方でも、これから受けようかと考えている方でも、一生受験しないと神に誓った方でも是非、ざっと目を通して頂くだけでも嬉しいです。
さながら、TOEICの長文を読むようにね。早く読まないと間に合わなくなりますよ。
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Q1:この文章において、TOEICはどのようなものと示されているか?
A:良くない人が多く受験する
B:筆者は不快なものであると感じている
C:長文問題が出てくる
D:試験運営会社が近々買収される
Q2:以下の中でアンケートに答えた人物はどれか?
A:医者
B:配管工
C:普段テレビを見る人
D:学生
Q1解説:答えはC。文章の最後に『さながら、TOEICの長文を読むようにね』とかかれていることから、それを言い換えたCが正解。
Q2解説:答えはC。本文前半において『履歴書に書くやつ?? 最近テレビでよく聞くけど、詳しくはわかんないな』と述べている奴がおり、これを言い換えたCが正解。
Dの選択肢において『今就活でとりあえず受けてるって感じ』といっている人がいるため誤ってしまった人がいるかもしれないが、そこまでいっていない。ハローワークに通っている非学生の可能性もあり、学生は言い過ぎ。
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