第15話 アレの肉のハンバーガーは高い
「ふと思ったのですが……
マクベスバーガー、高くなってませんか?
98円バーガーの時代はいずこへ?」
美知子が、そういうと壱が笑う。
「98円バーガーの時代は終わったよ。
安いものよりも多少高くてもいいものを食べたいと思う時代なんだよ」
すると梨麻が言う。
「そうっすか?
安くて美味いものが俺はいいっすけどね」
「んー。
安くて安全で美味しいものが一番だけど……
やっぱそれらを全部叶えようとするとその分だけコストがかかる。
だから、ここで言う『多少』というのが味噌なんだ。
高すぎず安すぎずそれでいて安全で味も美味しい。
安ければ安いで不安を仰ぐ要素になるからね……」
「あれじゃないっすか?
マクベスのバーガーはミミズの肉を使うとか……」
梨麻が、古い都市伝説を言った。
すると壱が、ニヤリと笑いメガネが光る。
「ふふふふふ。
言ってしまったね梨麻くん」
「え?なにをっすか?」
「ミミズはまず食用じゃない。
なので、まず食用ミミズを開発しなければいけない。
そして、98円のハンバーガーの肉の重さは約48グラム。
つまりどういうことかわかるかい?」
「え?全くわかんないっす」
梨麻は、熱弁する壱に少し引いていた。
そんなことなどお構いなしに壱は説明を続ける。
「そのうえ1日数百万個生産しなければ追いつかないマクベスバーガーのお肉。
その量をミミズで補おうと思うと必要となるミミズの数は――
うん、想像するだけでものすごい数になるよね。
だから、仮に食用ミミズでハンバーガーを提供するとなると。
1個数千円はすると思う。
それこそ牛ヒレバーガーの4000円を上回ると思うよ」
「そうっすか……」
「でもまぁ……
食糧不足になる未来の食事にはなるかもしれないね」
「……ミミズさんを食べちゃダメ!」
ピノがそういうと壱が驚く。
「え?」
「ミミズさんは土を良い土に変えることができるの!
ハンバーガーの美味しいレタスを作っているのはミミズさんなの!」
「そっか。
そうだね」
壱は、優しくピノの頭を撫でた。
「うん!
だから、ミミズさんを食べたらめーなの!」
「まぁ、俺は肉が美味ければいいっす。
と、あ……」
梨麻が、そう言って何かを思い出したようにスマホに目をやる。
「ん?どうしたの?」
「菜々緒に連絡入れるの忘れてた……」
「ありゃりゃ」
壱が、苦笑いを浮かべる。
「壱さん、すみません。
俺、ハンバーガーお持ち帰りにするっす!」
「うん!」
「お気をつけてくださいね」
美知子が、そう言って笑う。
「あ、はい。
美知子さんも壱さんに襲われないでくださいね!
では!」
壱は、そういうとハンバーガーを持つとそのまま駆け足でマクベスバーガー店を出た。
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