※きれいだね　しせんをそらし　さしたさき

｢きれいだね｣

つい、言ってしまった。

君とは長い間、ずっと友達だったから。

言えなかった、一言を、つい。

どうしよう。違うよ、と言うのもおかしいな。

ごまかすために、空を指さす。

空が晴れて、光が差してきたあの月のことだと思ってくれるかな。

あれ、君の顔、赤い？

あ、これだと、｢月がきれいですね｣になってしまうのかな。

どうしよう。

そうだった。

｢月がきれいですね｣は、｢愛しています｣。

｢素敵な言い方｣って、教えてくれたのは、君だったよ……。

※さす、に指す、と差すを掛けました。

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