第30話 ゴールデンウイーク最初の1日。
掲示板 【ダンジョン】品川ダンジョン攻略スレpart206
102:名無しの探索者さん
すみません
今日ダンジョンで外国の人を見たんですけど
外国の人ってダンジョンに入れるんですか?
103:名無しの探索者さん
いや探索者資格を取るなら日本国籍必須やぞ
日本国籍もってんじゃない?
104:名無しの探索者さん
あー俺も見たわ
しばらく前から来てるね
105:名無しの探索者さん
米軍なんじゃないの?
自衛隊と米軍で合同探索するって話あるやん
106:名無しの探索者さん
あれって野党の反対でまだ決まってないやろ?
107:名無しの探索者さん
反対するのは当然ね
お前ら小日本はいつまで米英の奴隷のつもりか
108:名無しの探索者さん
米軍は入れないけど米国の探索者なら入れるぞ
日米ダンジョン協定があるからな
日本じゃ銃が使えんからわざわざ来ないだけや
109:名無しの探索者さん
ほーん
なら俺らも米国のダンジョン入れるんけ?
110:名無しの探索者さん
海外のダンジョンは銃火器で戦うのが主流やぞ?
日本もダンジョンだけでも銃を解禁とか……無理やろなあ
111:自称天才探索者さん
なーにが銃やw俺のが強いわw
鬼畜米英死すべしw
112:名無しの探索者さん
小日本が搾取されるだけの奴隷契約ね
日米ダンジョン協定は即刻の破棄が必要ね
113:名無しの探索者さん
どうせ高LVモンスターには銃が効かないんやろ?
ダンジョンの外で悪用されるんを考えたら解禁する必要ないやろ
114:名無しの探索者さん
効かないわけじゃない
効きづらいだけだから>>111や>>112程度ならアサルトライフルで撃ち殺せる
115:自称天才探索者さん
>>114
んだコラやんのかコラ?
116:名無しの探索者さん
>>114
小日本の猿どもはほんと野蛮ね
私のようにもっと平和的にならないと駄目ね
117:自称天才探索者さん
>>116
てめーも小日本小日本うるさいんじゃ
小さいのはおめーの
118:名無しの探索者さん
>>117
フンガー! あなた失当で誹謗中傷だよ!
猿が4千年の歴史に敵うと思ってるのか!
119:名無しの探索者さん
はいはい2人ともNGいれてと……
ほんじゃ米国の探索者が何で品川ダンジョン来てるんやろ?
120:名無しの探索者さん
さあ? 日本観光じゃないの?
日本のダンジョンが珍しいんやろ
121:名無しの探索者さん
米国ダンジョン協会の関係者だと思うよ
受付のチーフが挨拶してるの見たし日本のダンジョンの視察やないの
122:名無しの探索者さん
まあマジで偉い人ならゴマすってコネ作るチャンスかもな
123:名無しの探索者さん
いつまでギブミーチョコレートするね?
いい加減に米軍基地を撤去して独立するね
124:自称天才探索者さん
>>123
チョコレートうめえw米軍基地最高やw
125:名無しの探索者さん
フンガー!
あなた米国が世界の覇者でいられるのも今のうちね
覚えておくね
126:名無しの探索者さん
すみません><
俺が変な話題を振ったばかりに荒らしが2人も……
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4月後半の土曜日。
ゴールデンウイーク最初の1日。
イモが開けた窓から2匹のネコが室内へ入り込む。
「よし。全員揃ったな。行くぞ」
「おー」「「にゃー」」
自宅ダンジョン探索の開始である。
地下1階。2匹のネコが先行して前を歩く。
「2匹とも妙にやる気があるが……大丈夫なのか?」
「だいじょーぶ。イモより先にモンスターに気づくんだよー」
猫は聴覚に優れた動物。聴力に関しては犬以上であり、遠く離れたネズミの足音を聞き取るのはもちろん、超音波をも捉えるという。
考えればトラもライオンも猫科の生物。手軽に雇えるハンターとして、野良猫は適任なのかもしれない。まあ、犬に比べて気まぐれなのが難点なわけだが……
前を歩くニャン子が突然に走り出す。
「チュー?!」
次いで聞こえるネズミ獣の悲鳴。
お腹が減っているからなのか、2匹がやる気でいてくれるのはありがたい。それにしても……
「イモ……魔石がそこら中に転がっているのだが?」
昨日、イモたちがモンスターを狩った戦利品なのだろう。洞窟内のいたる所に魔石がそのまま落ちて残されていた。
「うん。だって、ニャン太郎たち、お肉以外に興味ないんだもんねー」
猫に小判というだけあってそれは良いのだが、魔石を拾える人間が1人いるのではないだろうか……?
「イモが拾っても売れないしー? 魔石はおにいちゃんにお任せだよ!」
なるほど。荷物持ちは俺に任せて自分は戦闘に集中したい。そう言いたいわけだ。
俺とイモの戦闘力を考えるなら、確かにそれが最も効率的。
いつまでも子供と思っていたが、効率を考えて行動するようになるとは……お兄ちゃんとしては感慨深いものがある。
「ニャン太郎待ってー。イモの分も残してー」
2匹を追いかけ一緒に駆けまわるイモの姿。
効率など関係ない。本音はただ拾い集めるのが面倒なだけだろうと思わないでもないが……まあ良い。
俺は地面に転がる魔石をリュックに拾い入れながら2匹と1人の後に続く。
それにしても……この猫2匹。人並外れたというか、猫にしても並外れた動きをしていた。
2匹の猫を見て逃げるゴキブリ獣。それ以上のスピードで追いかけ追い付き、爪でもって殴り倒す。洞窟の壁を駆け登り、バサバサ飛び回るコウモリ獣に噛みつき押し倒す。
その身体能力はLV16である俺より上。
2匹のジョブは近接戦闘系で間違いはないだろう。
俺とイモの弱点はパーティバランスの悪さ。お互い後衛の魔法系ジョブであるため、前衛でモンスターと戦う者がいないという。その弱点が猫2匹により解消されたというわけだ。
「イモ。先へ進む前にモンスターゲートを掃除していこう」
「わかったー。じゃ、こっちだね」
俺の居ない間に潜っているだけあって道を覚えているようで、俺はイモの後に続きモンスターゲートの部屋へとたどり着く。
「ここは俺に任せてくれ」
品川ダンジョンでは人目もあって全力デバフは試せていないが……LVの上がった今。地下1階のモンスター相手に全力で挑むならどうなるか?
「発動。暗黒の霧。室内を闇で満たしたまえ」
通路から室内へ暗黒の霧を全力で流し込む。
霧を通して感じるモンスターの反応は、ゴキブリ獣。
モンスターゲート近辺にたむろするその数、ざっと30匹といったところか。
突如、室内に流れ込む暗黒の霧にゴキブリ獣が騒ぎ出すも、五感の異常に全能力減少。毒、麻痺、恐怖といったデバフのフルコース。
その後、部屋の外でしばらく様子を見守るうち──
「よし……終わったぞ」
さながら室内でバルサンを焚いたかのような惨状。ゴキブリ獣の群れは息絶えた。
「え?! ボーっとしてるだけに見えて、もう倒したんだー。すごーい! おにいちゃんは最強だー!」
やれやれ……少し本気を出しすぎたかな?
これぞバルサン作戦。少々時間はかかるが地下1階のモンスター相手なら暗黒の霧を撒くだけで。毒の継続ダメージにより倒せることが判明した。
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