顔が良くて可愛い女の子とその子が好きな女の子の短編

タナカァ

前編 30歳になったら結婚しよう

私には、私のことが好きな女の子の友達がいる





初めまして!可愛いね!



入った会社を1年で辞め、緊張しながら迎えた第二新卒入社祝い。二つの県に跨ってはいるが首都圏ではなく田舎の会社。私の他に2人の中途が入ったとの事で入社祝いとの懇親会が開かれた。



そんな中で初めましてなのに、可愛いねなんて声をかけてきたのがゆくゆく私の事が好きになってくれる存在だった。


自分で言うのも何だけど、私は初対面で仲良い人が出来にくい人物だ。身長は女性にしては高く、目が大きい自信はあるが吊り上がっている。


彼女は、最初女性だと分からないぐらい男の子っぽかった。ショートで運動やってたんだろうなってぐらい日焼けしていた。何杯飲んだのか、そんな焦げ茶色の肌が赤く染まっていた。

女性だと分かったのは、呑み会スタートぐらいから女性との距離が近くよく誰かに抱きついていた。



田中先輩〜!本当に可愛い!!

青ちゃんも可愛いね〜!今日も頑張ってたもんね!

先輩にとって新人が入っても、私が1番な後輩ですからね!



距離の近さでいうと社会人とは思えないぐらい。しかし、色んな人に抱きついたり男女分けら事なく色々な会話に混ざっている。

そんな彼女を見て、そんな雰囲気を見て、正直やっていける気がしなかった。



しかし、、



飲み会終わる頃には彼女は私に抱きついて、私の可愛さを力説していた。私も流されたのもあるが当たり前の距離感になるのが早かった気がする。同い年だったのもあるんだけど。、




正直…趣味読書です。なんて言う人が今まで友達でいなかったのにそんなことを言う人ばっかだった社員の中で、スポーツが趣味でコミュ力が高い彼女は付き合いやすかった。






入社後、小さい会社だからか年が近い社員で集まる事が多くなった。コロナ禍だったのでオンラインのみから、田舎でBBQ。そう言ったのは大好きだったのでフルで参加していた。

彼女は中心となる事が好きなのか、そういった企画とかやってくれていた。

彼女は私の事をすいてくれてたのか、よく誘ってくれたので基本参加していたのもある。

会う度に可愛いと言ってくれる彼女に心地よささえ感じていた。しかも、誰が1番の推しという質問には私の事を挙げてくれていたのも知っている。

私のこと好きすぎでしょ?なんてふざけて言うと、顔を真っ赤にしながら可愛いよね〜なんて言うものだから、そんなにストレートに可愛いっていう人珍しいなんて思ってた。



いくつかのイベントが終わり、ある日一つ上の笠井さんというよく遊んでた男の先輩から告白された。社内恋愛は嫌というほどめんどくさいのがわかっていたので、断った。



ただ一つ問題が起きた。彼女だ。田舎なのもあり社内の恋愛なんて一瞬で広まるからこそ、誰にも言っていなかったのに、ある日のオンライン飲み会で彼女が告白されたんでしょ?ってみんなの前で聞いてきた。

困るよ、断ったけどね。

なんて笑いながら言って、冷やかされながら別の話題に移ろうとしたのに彼女はやたら掘り下げて聞いてきた。


好きな人ってどんなタイプ?



めんどくさく無くて、面白くて一緒にいて楽しい人。


いつも言っている当たり障りのない答えを彼女は、私じゃん!そんな男より断然いいよ!なんて笑いながら言ってきた。


その頃には彼女から私への溺愛は会社内に広まっていたので、一緒に聞いていた同期も呆れたようにやめとけって声をかけた。



なのにその日から何かが変わった気がした。



元々仕事用の携帯が配布されているのをいいこによく話していたが、毎日のように電話がかかってきた。土日も遊びたがり、営業所の関係で県が違うのに少しでも会えればと2時間しかいれないのに私に会いに隣の県まで来ていた。

勿論、そこそこ仕事ができメンバーからも好かれている彼女に好かれるのは心地良かったが、だんだんと鬱陶しさも感じてきた。

私が何しているか、事細かに聞いて予定を立ててくる。付き合ってもいないのに




ある日、電話で何で好きになってくれないの?もっと会いたいって


なんて泣きそうな声で言われた。これだけ会っているのに?って疑問に思ったし、私も仕事が慣れてきて忙しくなったのもあり正直疲れると言ってしまった。



そうなんだ、ごめん


そうだよね。彼女はつぶやくような声で言った。罪悪感さえわかず、電話かかってきても無視する事が増えた。




ある日、彼女が会社で倒れたって聞いた。彼女が仕事で大変だというのは知っていたが、ここまでというのは知らなかった。

タイミング的に私にも責任がありそうだなって思って、久しぶりに電話をかけた。


久しぶりな電話だったのにすぐ出た彼女に思わず笑ってしまった。ちょっと声は疲れていた彼女だったが、そろそろ私の声聞きたくなったんだなって前向きに茶化すような声に、少し前の関係性に戻ったようで楽しく会話した。



そこから彼女は茶化すように好きという事が増えた。ある時はカラオケで歌に乗せて、ある時は理由が答えられなくて取り敢えず好きって言っとけみたいな。


そして、彼女から電話がかかってくる機会も、みんなを集めての呑み会もあまり無くなった。





ある時何気なく電話した時に、結婚の話になった。確か、彼女が初めて結婚式に行く時だった。結婚はどんなふうにしたいか語り合った後、子供の話になった。

私は2人ぐらい欲しいかなって言った。彼女が悲しむだろうなっては思った。思った通り少し言い淀みながらそうだよねって言われた。

少しぎこちなくなった空気を感じたのか、新居の話などすぐ話を変えてくれた。

そろそろ夜も更けて寝ようかなって時に、結婚いつまでにしたい?って聞かれた。


30かなって答えた。そしたら彼女は、30まで出来なかったら諦めて私結婚しよう、幸せにするよって茶化したように言われた。いつだったか覚えてないけど、花が好きって言った後にドライフラワーをプレゼントされた事がある。

あの時は、男2人と4人で遊んでたときなのに、男に揶揄われながらも顔を真っ赤にして一輪の紫の薔薇をプレゼントしてきた。あの時は人がこれ程までに照れた顔を初めて見たので、可愛いななんて思ったりした。30分ぐらい耳が真っ赤なのは変わらなかった。つい耳を触りたくなってそっと手を触れてみたら、冷め掛けた赤色が濃くなって泣きそうな顔でどうしたの!?なんてちょっと可愛かった。





彼女との関係は、年が経つにつれて疎遠になった。とは言っても遊びに誘うとどんな時でも来てくれる。私がいくつか告白を受けたのもあって、結局周りの社員も誘う事なく2人で遊ぶ事が増えた。前は週1で会っていたのが、月1ぐらいのペースになった。






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