フェイカー

光田光

導入

 この世界には、未知の『エネルギー』が存在する。

 この世界で生まれた全ての命あるものは、この『エネルギー』によって誕生した。

 例えば人間。高度な知恵と発展した文明を持ち、地球の霊長として長らく君臨している。そんな彼らも、初めは一ミリの受精卵に過ぎない。儚く小さな生命が、脈動し、大きくなり、人のかたちへと成長するのは、そこに大いなる力が働いたからだ。

 この『エネルギー』は、誕生した後も生命体に恩恵を与える。産声をあげ、一人で立ち、最低限の知恵と生きていく術を身につける。幼少期の発達の全てが『これ』に起因する。

 『これ』の正体は、即ち『星が生み出したエネルギー』。星は、星に生まれる全ての生命体に、自らが創り出した『エネルギー』を与えた。星に生きる生命体の生の営みは、彼らの目に見えない形で星に還元され、それは星が新たに『エネルギー』を創るための養分となる。


 この『エネルギー』に固有の名称はない。

 しかし、ある人物がこの『エネルギー』を指してこう言った。


 『ヴァイス』と。

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