ボク達が溺れる

篝火

青い海に溺れる

それは、子供の頃の約束…。


「大きくなっても一緒にいような!」


それは、性別を知る前の約束…。


「僕たちは、ずっと一緒だ!」


それは、幼い頃の青い思い出…。


「大きくなっても、ボク達は…」


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チッ、チッ、チッ、チッ、チッー、カチッ

「ん~、もう朝か…。」

懐かしい夢をみた…。

「誰と話してたか…?」

思い出せない相手との約束の夢…。

「もう、高校も卒業間近なのに、子供の頃の夢をみるとはな。誰だったかな?」


あの時の記憶が甦るとは思えないが、思い出せるのは、青色のみ…。

「とっ!、ヤベ遅れちまう!?」

今日から始業式にも関わらず、遅刻して皆勤賞を逃す事のないように、家を出ることにした。


道中ーーー

「誰と話してたか、やっぱり思い出せないな…。」

学校までの距離を自転車で移動しながら、夢のことを思い出そうとしていたが、青色以外に思い出せることはなかった…。


途中の信号で止まっていると、同級生の女子と遭遇したので、学校まで一緒に向かうことになるが、夢の事が気になっていたために、ろくな会話も出来ずに話し半分になっていた。

「ーちょっと、聞いてるの?」

「…あぁ。」

「おーい。」

「…。」



「危な…!!」

「…?」

いきなり、叫ばれた事に理解が追い付かず。

電信柱にぶつかる間抜けっプリを起こしてしまった俺は。

「ちょっと、大丈夫?」

「イテテェ…!?」

「大丈夫ですか?」

丁度、倒れた所に青年が近寄ってきて、手を差し出してきた。

「はい、何とか…!」


そこに現れた青年は、青い瞳をした美人な人、女性モノの服を着ていたら、女性と勘違いしてしまいそうな男だった。


「…どうしました?」

「…いえ、ありがとうございます…。」

「あ~、多分ですけど、アナタが凄く綺麗で見惚れてるんだと思います。」

「…おい…!?」

「ハハ、それは反応に困る問題ですね…。」

「とてもお美しくて、私も見惚れてしまいました!」

「アナタのような美人な方に比べたら、ボクなんて見劣りされますよ。」

そう言いながら、ウイングをする青年の瞳は、偽りのない本心をのべているようだった。


「あ…あの、助けてもらいありがとうございます。」

「困っている時はお互い様ですよ。」

にこやかに、返された笑みに、時間も忘れて見続けてしまった。


「…。」

「…?どうしました?」

「あ…いえ…綺麗な瞳だと、思ってしまい、目が離せませんでした…。」

「ありがとうございます。」

突然、黙って見続けてこられた青年の疑問は最もで、それに素直な感想を答えたことで、別の意味で笑顔を見せるのだった。


「確かに、青空の色で綺麗ですよね。」

「俺は、青い海の色だと思ったけどな…。」

「お2人共ありがとう。ボクは、どっちの表現も魅力的だと思うよ。」

2人の言い合いにクスクスと笑いながら、お礼をのべる。

「また、会えると良いね。」

「「はい…////」」

その笑顔は、2人を魅了して止まない。


2人は、その青よりも蒼い瞳の海に溺れるような恋をしたのであった。


               (完)

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