第234話 ドラゴンシートの乗り心地
今回は心愛たちが会議に行ってる間の希と日向の行動です。
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先輩は社長たちとなんか難しい会議に行っちゃったから少し暇になっっちゃった。
日向ちゃんもDライバーの本社で編集のお手伝いしてるしなぁ。
でも……グレッグとニコールさんは大丈夫なのかな?
あの状況で、どこかわからないところに消えて行っちゃったし、神様なんて本当にいるのかな?
ニコールさんのあの姿だって、いくらカジノだからってバニースーツってなんなんだろ……あれは、もし先に辿り着いたのが私たちじゃなくて、他の人だったとしてもおんなじ演出だったのかな?
でも……ニコールさんのメロンサイズのおっぱいがたわわに実っていて、本当にバニースーツから零れ落ちそうだったなぁ。
羨ましすぎるよ。
何食べたらあんなふうになるんだろうね。
杏さんのふわふわおっぱいとはまた違った迫力だよね。
重力を無視して突き出てるとかもう、万有引力の法則にケンカ売ってるとしか思えないし。
そんな事を考えていたら日向ちゃんが帰ってきた。
「ただいま希、先輩もいるの?」
「お帰り日向ちゃん。先輩は急に用事が入っちゃって出かけてるよ。結構遅くなりそうな感じだねぇ」
「そうなんだ。アメリカはどうだったの?」
「うん、無事にとは言えないけど攻略は出来たよ」
「無事じゃないって……なんか事件が起きたの?」
「なんか神様名乗る人が出てきて、他の神様の居場所教えろとか言い出して、終わり方がグダグダになっちゃった」
「うーん……意味不明すぎ、結局どうなったの?」
「グレッグとニコールさんが行方不明になっちゃった」
「えーっ。それって結構一大事じゃない?」
「うん。それで先輩は、なんか会議に連れて行かれちゃったしね」
「そっかぁ。無事に帰ってこれたらいいけどね」
「グレッグだしきっと大丈夫だとは思うんだけどね」
「ねー希、私金曜の夜からずっと名古屋に行ってたし、ダンジョン全然行ってないんだよね。希がきつく無かったらちょっと行かない?」
「そうだね、私も暇だからいいよー」
折角だから、この間手に入ったドラゴンシートの使い勝手も試したかったし、日向ちゃんと二人で下関ダンジョンの二十三層を目指して行く事にした。
そういえば……元々二十二層がボス部屋だったから、二十三層は初めて立ち入りするなぁ。
転移ゲートで金沢のダンジョン協会に行くと、すぐにダンジョンリフトで二十二層に降り立った。
流石にこの辺りの階層だと他の探索者もいなかったし、桃ちゃんを出すとドラゴンシートを取り付けた。
「桃ちゃん、痛かったり動きにくかったりする所は無い?」
桃ちゃんに問いかけてみると、嫌がったりもしなかったので早速乗ってみる事にした。
勿論、取り付けの様子から撮影しているよ。
「日向ちゃん、どう?」
「うん、なんだか包み込まれるような座り心地だし、大丈夫っぽいよー」
私も、前の席に座ってみると、いつも以上に安定した座り心地で、これなら槍を投擲したりする時でも安全だなって思ったよ。
「それじゃぁ出発ー」
桃ちゃんが二、三回羽ばたくとふわりと浮き上がった。
それから一気に加速を始める。
「うっわー、凄いねー超快適ー」
桃ちゃんの背中の上で、日向ちゃんが大はしゃぎしている。
二十二層を飛び回りながらお野菜タイプの敵が現れる中を飛び回った。
現れた敵は基本、桃ちゃんのブレスで倒していくよ。
私のワイバーンジャベリンは自動追尾機能はついてるけど、戻っては来ないから投げちゃうと取りにいかないといけないから、結構大変だからね。
日向ちゃんのミスリルトレイは自動で戻ってくるから、ちょっと羨ましいと思ったよ。
それでも魔法攻撃は普通に出来るから、そんなに困る事も無いんだけどね。
十分ほど飛ぶと二十三層への階段が現れた。
下関ダンジョンの二十三層は私たちも初めての侵入になる。
博多ダンジョンみたいに果物が取れたらいいのになぁ?
って思いながら降りたのが良かったのか、一面に広がる畑の景色の中にはイチゴやメロンがたくさん生っていた。
「日向ちゃん、美味しそうな果物が一杯だよー」
「そうだねー、あとで収穫して帰ろうね。でも……博多ダンジョンだと、いろんな果物がランダムで生えてたけど、ここってかなり広い面積が、一面メロンとイチゴなんだけど、もしかして魔物って事は無いよね?」
日向ちゃんが、そう言ったのがフラグだったのか地面からイチゴとメロンが大量に飛んできた。
「きゃぁ、これ全部魔物だよぉ。ストロベリートレントとメロントレントだね。魔法で迎撃するよ」
「了解」
私は火魔法で日向ちゃんが聖魔法で、そして桃ちゃんはブレスで襲い掛かるメロンとイチゴを迎え撃った。
「先輩なら喜んで『バッティング練習!』とか言いながら、撃ち落としそうなステージだね」
「だねー、でも、魔法で迎え撃つと甘い匂いが立ち込めてきたよね」
そう言ってると、急激に眠くなってきた。
「ヤバいよ、希、これ睡眠ガスみたいな効果があるよー」
「スピーzzz」
「って希、寝ちゃダメ。桃ちゃんは大丈夫?」
「クエッ」
どうやら桃ちゃんには耐性があるようだ。
日向は睡眠なら物理攻撃受けたら覚めるはずって思って後ろから希の頭を思いっきりはたいた。
「うーん……」
希が目を覚ますのを見ながら日向の意識が途切れた。
「いったー……日向ちゃん私叩いた? って寝てるし」
この階層は、睡眠耐性が無かったらとても危険なんだ……
日向ちゃん、後ろのシートにもたれかかって寝てるから手が届かないよ。
しょうがないからワイバーンジャベリンで日向ちゃんの頭を叩いてみた。
弱すぎたみたいで目を覚まさなかった。
もう少し強めに叩いてみたら、やっと日向ちゃんが目を開けた。
「いたいー」
日向ちゃんが目を開けて叫びながら頭を触った。
「ちょっ希ーたんこぶで来てるじゃん。酷いよー」
「ゴメン、手が届かなかったから」
とりあえずガスの届かない場所に避難しようと桃ちゃんの高度を上げた。
「この階層は睡眠耐性が無いとちょっと大変だから、このまま上空から地形の把握だけして帰ろう」
「わかったー」
端の方に行くと、桃やミカンの木もあったけど、このダンジョンではこっちも魔物っぽい。
風もないのに枝が動いてたからね。
今度は先輩と一緒に来てみようと思いながら帰途についた。
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