第183話 ホノルルへ
「日向ちゃん、先輩がいないと暇だね」
「だよねー、でもさ、ダンチューブの動画編集とかでやる事いっぱいだからね。希のダンマガ掲載に合わせて、桃ちゃんと狩りする希の動画も流すよ」
「それちょっと嬉しいかも。先輩が箒で桃ちゃんと一緒に飛ぶ姿も出すんだよね?」
「もっちろんだよ。きっと心愛先輩がTBを肩に乗っけて箒で飛び回る姿は、超バズると思うよ」
「私はぁ?」
「希はダンマガの記事もあるから、バズるのが当然だよね」
「でもさ、何気にミスリルトレイで狩りする日向ちゃんも、人気になる要素は十分すぎるくらいあるよね」
「でも、戦闘力とかの総合力じゃ先輩や希には敵わないから、私は別路線の方がいいと思うんだよね」
「例えばどんなの?」
「そうだねー、折角メイドのJOB持ってるんだし、メイドらしい行動アピール?」
「メイドらしさってどんなのかな? 『お帰りなさいませご主人様ぁ萌え萌えキュン』とか言うの?」
「それは、メイド喫茶だから……そういうんじゃなくて正統派メイド路線かな。折角JOBスキルでバフ付きの紅茶とか淹れる事出来るしね」
「でもさ、日向ちゃんのメイド服どんどんスカートの丈、短くなってるし、そっち系のメイドだとみんな思ってるよ……私も竜騎士らしい攻撃方法とかが欲しいなぁ」
「桃ちゃんの上からワイバーンジャベリンを使った投擲攻撃とかがいいかもね」
「よーし、ちょっと博多ダンジョンで練習してくるね」
「私も行くよ。折角だからバフ付き紅茶を飲んだ時のビフォー・アフター的な動画も欲しいし」
日向ちゃんと一緒に博多ダンジョンの二十六層に行くと、特務隊の人たちがいっぱい居た。
当然、美咲さんも居て声を掛けられた。
「あれ、今日は二人で来てるの?」
「そうなんですー、先輩はロジャーとグレッグに拉致られちゃってますから」
「そうなんだ。二人で大丈夫なのこんな深い階層なのに」
「大丈夫だと思います。日向ちゃんもカラーズになったし」
「へー、凄いね。っていうか学生服にメイド服ってその格好で大丈夫なの?」
「まー今更なんですけど、先輩が言ってたのは防御力ってあるじゃないですか? 相手がそれを上回る攻撃力じゃない限りは、大きなダメージは入らないから無理なボス戦をしたりしない限りは大丈夫って言ってましたよ。まぁ怪我はしなくても服は破れちゃいますけど……」
「そう言えば、攻撃力が上乗せされたりする武器はあるけど防御力が上乗せされる防具って見かけないよね。そのうち出てくるのかな?」
「先輩なら作れそうですけどね」
「今度頼んでみようかな?」
「どうだろ? 魔道具で作るとしたら値段が凄い事になりそうな気がしますぅ」
「そっか……あ、この階層だと今、特務隊がたくさん来てるから桃ちゃん出すと、間違って銃撃されちゃうかもしれないよ」
「えっ……それはヤバすぎます。二十五層に上がりますね」
「気を付けてね」
二十五層に行くと貸し切り状態だったので、日向ちゃんと撮影しながら狩りを楽しめた。
◆◇◆◇
「ロジャー、次はホノルルだよね」
「ああ、一日休んで明日の朝から始めよう。うちのチームはこのままホノルルに移動させておく」
「ハワイは初めて行くなぁ。ワイキキビーチとか行きたいけど、観光は駄目って約束だから残念」
「心愛、そんな事言うとフラグになりそうだな」
「何のフラグ? グレッグ」
「ダンジョンボスだよ。ワイキキビーチからジョーズとか襲ってきそうな気しかしないZE」
「ありそうだね……」
とりあえず冴羽社長も合流して、ハワイのパールハーバー・ヒッカム統合基地へとテレポで移動した。
「心愛、明日の朝までゆっくりしてくれ。サマーバケイションに入ったら、ゆっくり案内するから今日は基地から出ないでくれよ」
「しょうがないね。部屋でゆっくり錬金と魔道具作りでもしてるよ」
そう返事をしたら冴羽社長が希望を言ってきた。
「心愛ちゃん。転移ゲートを中心に作っておいてもらえるかな。マッケンジー長官と話してたら、アメリカと日本の間で本格的に転移ゲートを使った交通網を構築する計画が上がってるそうなんだ」
「それは日本のダンジョン省的にはOKなんですか?」
「マッケンジー長官はその辺りの調整能力に優れた人だから島大臣と綿密な打ち合わせを行ってるそうだよ」
「へー、具体的な話は聞かれてるんですか?」
「ああ、勿論だ。アメリカ国内の三十二か所のダンジョンをニューヨークダンジョンの隣にあるWDA本部と転移ゲートで繋ぎ、日本では金沢ダンジョンシティに転移ゲート専用の税関を作って、今後世界各国と繋がる事になる予定だね」
「凄く、大掛かりな計画なんですね」
「まぁ世界中の流通が混乱する可能性もあるから、当面はあくまでもダンジョン協会支部だけでの運用となるんだけどね」
「なんだか流通業界から、刺客とか放たれそうですよね……」
「そんな事は無いだろ? とは言えない意見だね」
「ええっ……」
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