第62話 下関で頑張る!

『希、お待たせ戻ったよ』

『先輩、お帰りなさいー聞いて下さいよ。潤がね私をメチャメチャ虐めるんですよ』


『何よいきなり?』


 話を聞くと先日、誕生日プレゼントで買って上げてたゲーム機の格闘ゲームの話だった。


 平和そうで何よりだね!


『先輩、おばあちゃんどうなったんですか?』

『うん、大丈夫だよ。すっかり治って元気いっぱいになったよ』


『良かったですねー、もう先輩の家に付きましたよ』


 と、言う返事と共に、玄関のチャイムが鳴った。


「希、歩きスマホは駄目だよ? 希はすっかり体も丈夫になってるけど、希にぶつかられた人は大けがしちゃう危険もあるんだからね」

「ゴメンなさい」


「早速だけど、ちょっとお料理食べてね」


 昨日のネギマ鍋とダチョウの味噌煮込みを取り出して、希に食べて貰った。


「身体強化、凄そうですね! 早速効果確かめに行きましょう!」


 転移で下関のマンションへと移動して、早速探索を始めることにした。

 勿論アクティブカメラはセットしているよ。


『ダンジョンリフト』で十五層に移動する。


 まずは金棒を取り出して、いつもの様に素振りをする。

 希もボーンランスを取り出して、ストレッチを始めた。


 ちゃんとストレッチをするとか、希も意識がプロっぽくなって来たよね。


「一応、情報があるのはこの十五層までだから、十六層以降は手探り探索になるからね」

「この階層は、単純に敵のパワーが上がってきた感じで、爬虫類系の敵が多いはずだよ」


「身体強化の確認をしたいから物理中心で行きますね!」

「私もそのつもりだったよ」


 現状でも二十パーセントアップの能力を発揮する身体強化は、圧倒的に有利な状況を作り上げた。

 物理縛りで戦っていても、レベル差もある現状では危険はほぼない。


 唯一、十メートルを超える全長で胴回りも一メートルを楽に超えるサイズの『タイタンボア』と言う蛇型の魔物は、打撃がほぼ効果が無くて氷魔法と雷魔法を使って倒したけどね。

 この敵は物理で倒すなら斬撃系の武器じゃないと厳しいかもね。


 こんなサイズの蛇さんだとの人間とか普通に飲み込んじゃうよね。

 十五層の中ボスは炎を吐くオオトカゲで『ファイアランドドラゴン』と言う名前だった。


 でも、この魔物の名前って不思議と鑑定も無い状態で、通称で呼ばれていた名前が、鑑定してみるとそのまま正式名なんだよね。


 これがどういう事かと言うと人の認識が魔物名を決定しているという事だよね。

 そうだとすると、このダンジョンという存在には人の意思が大きく反映されるシステムが組み込まれている。


 一体どういう事なんだろう?

 誰がその人の意思を汲み上げてシステムに反映してるんだろう?

 

 今はまだ誰も答えに辿り着けていない。

 きっとダンジョンをクリアして行けば秘密に辿り着くのかな?


 十六層に降りる前に一度ステータスの見直しと調整を行う事にした。


「希、希望の振り分けはある?」

「敏捷高めが、一番安定するような気がしますぅ」


「解った。じゃぁそれで調整するね」


真田 希 16歳(女) レベル31  ランキング  384,753,689位

HP  5000

MP   600

攻撃力   80  +16

敏捷性  100  +20


魔攻力   80

魔防力   50

知能    60

運    107


ポイント   0


スキル:【聖魔法】【水魔法】【氷魔法】【火魔法】【トラップキャンセル】【風魔法】【シークレット】【雷魔法】【身体強化】



柊 心愛 17歳(女) レベル36  ランキング  166,256,389位 


HP  5000

MP   700

攻撃力  120 +24

防御力   50 +10  

敏捷性   80 +16 

魔攻力  120  

魔防力   50  

知能    70  

運    122  


ポイント   0 


スキル:【鑑定】【超成長】【ステータス調整】【アイテムボックス】【聖魔法】【水魔法】【転移魔法】【火魔法】【トラップキャンセル】【氷魔法】【オーブ作成】【並列魔法】【風魔法】【シークレット】【雷魔法】【身体強化】


 こんな所かな。

攻撃力、防御力、敏捷性の横の数字は身体強化で+された数字だよね?


 十六層に降りると密林の様なステージで敵は引き続き爬虫類系だ。

 ここでも打撃中心で行動したけど、先程行ったステータス調整で更に力強くなって十五層より楽に感じたよ。


 十六層のボスはアイスランドドラゴンっていう氷系の能力を持つオオトカゲだったけど、これ絶対この魔物考えた人ミスってるよね?


 私の中で既にダンジョン内の魔物は自然発生では無く、何者かの意思で生み出されていると言う認識に変わって来ていた。


 変温動物のオオトカゲ系の魔物に氷能力持たせてるから、動きがとにかく遅かった。


「希、堅そうだからこの子は雷魔法にしておこうよ」

「了解です」


 希の放った雷魔法の一撃で消えて行った。

 今日一個目の宝箱が現れた。


 罠が有ったので解除をして獲得すると、見た目が細長い蛇にしか見えない気味の悪い鞭が入って居た。

 

【鑑定】を掛けると


『メデューサヘア』

 任意の長さまで伸ばす事の出来る鞭、先端部分の牙からは毒攻撃も行える。

 長さは使用者のレベル×一メートルの長さまで指定できる。


「希、凄い便利そうだけど使う?」

「ビジュアル的に無理です。うなされます」


「じゃぁ私が使うね。希のエロテロを受けた時はこの鞭でお尻を叩いてあげるよ」

「そのご褒美は、嬉しいような気もしますけど怖いです」


「先端の牙に毒あるみたいだから、希の胸とかに刺さったら腫れて大きくなるかもだよ?」

「それも興味はありますけど、そのまま腐りそうな気がするから遠慮しておきます」

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