第47話 社名決定

 希と一緒に学校に向かいながら、昨日希に頼んでいた事を聞いて見た。


「そう言えば希? 会社名は決まったの?」

「『D-CAN』ってどうですか? 読み方はドカンです」


「ん? 何でそうなったの?」

「へへぇDはダンジョンのDでCANは私達の名前の頭文字をアナグラムで当てはめました。造語ですけどごろも良いかな? って思って。先輩の魔物倒す時のイメージも『ドカーン』って感じだし、なんか良くないですか?」


「へぇ、ちゃんと意味があるんだね。いいんじゃない? 任せたんだから口は挟まないよ」

「やったー! 一発でOKは嬉しいです」


「魔法の発動の時の言葉は決まったの?」

「あれは、よく考えたら、最初から無詠唱でイメージだけで使えてるのに、態々言葉を付けるのは無駄だなって思いました」


「良かった。そこに気付いてくれて……他の人達に気づかれるリスクも高いし、やっぱり無言がベストだよ」

「ですよね……」


「早速、杏さんにメールで送っておくよ」

「先輩、決断も行動も早いですよね」


「ダンジョンの中では一瞬でも、とまどったりしたら、それだけ死んだり怪我をするリスクが増えるんだから即断即応を心掛けてるからね」

「そうなんですねぇ。やっぱりそういう所もステータスって関係するのかな?」


「あると思うよ」


 学校に付いたので、それぞれの教室に向かい放課後は心愛の家の食堂に集合する事にした。


 ◇◆◇◆ 


 授業が終わって家に戻る途中でスマホを確認すると、杏さんが仙台と水戸のダンジョンの写真と鑑定結果を送って来ていた。


「あ、解るって言うか見える。私にも……これはもしかして『鑑定』スキルもレベルの成長で更に対応範囲が広がったのかな?」


 急ぎ足で家に戻ると杏さんに連絡をした。


『杏さん、こんにちは、お疲れ様です』

『お疲れ様、メールは届いてるよね?』


『はい、大丈夫です。あのですね送って貰った写真で凄い事実が判っちゃって確認です。私は写真を見ると、ダンジョンが鑑定出来ちゃったんですけど、杏さんも同じ事出来るのかなって?』

『え、そうなの? ちょっと待ってね確認して掛け直すわ』


 三分ほど経ってから、杏さんから再び電話がかかって来た。


『心愛ちゃん、私はどうやら写真だけでは、まだ鑑定できないみたいね。鑑定スキルを鑑定出来ないからレベルアップでの効果がはっきり解らないけど、今の心愛ちゃんのレベルに達するまでの課程で写真での鑑定が可能となるとみて間違いなさそうだよね』

『解りました。杏さん予定通り全部のダンジョンを回って来て貰ったら、その後は杏さんにも写真鑑定が出来るくらいまでレベルを上げて貰います。私と一緒の場合はパーティ機能が本当の意味で使えるので、ラストアタック無しでもレベルアップ可能ですから、杏さんが戻ってくるのを楽しみに待ってますね』


『解ったわ心愛ちゃん。明後日には戻れるから、よろしくね。あ、会社名良いじゃ無い。熊谷さんにその名前で手続きを進める様に頼んであるので来週頭には設立完了できるよ』

『了解です。杏さんも無理をしない様にして下さいね』


『ありがとう、それじゃ次の現場の千葉に行くわね』


◇◆◇◆ 


仙台ダンジョン『NO426ダンジョン 階層数28 Dクラス 現在到達階数19』

水戸ダンジョン『NO125ダンジョン 階層数84 Aクラス 現在到達階数16』


 あ、もし自衛隊が仙台に部隊を展開したりしたら、クリア出来そうだね。

 なんか伝えてみたい気もするなぁ。


 水戸ダンジョンは深いよね。

 ここは当分放置でいいかな。


 鑑定ルーペも所持してないダンジョンだし、余り人も集まらないだろうから放置してても大丈夫だよね?


 そんな事を考えていると、希がやって来た。


「先輩、ただいまぁ」

「もう、すっかり希の家のような扱いだね。うちが……」


「違いますよぉ、先輩の居るところが私の帰るべき場所なだけですぅ」

「何か重いよ……希の存在が。もうちょっと距離感が合った方がいいかも」


「そんなぁ、私を捨てないで下さいよ先輩。そう言えば先輩ダンチューブの登録者二千人超えたっぽいですよ。再生時間数も基準を超えてるから来月には収益化の申請も通りますよ!」

「それはいいから、もうダンジョン行くよ」


 そのまま転移で西新のマンションに移動してダンジョンに向かった。


「今日は十一層をクリアして、十二層まで行くからね」

「了解です」


「十一層は火属性の敵が現れる可能性が高いらしいから、水魔法中心で行くよ」

「はい、魔法少女『希』出撃です!」


 私は、いつも通りにまず金棒で素振りをした。


『ブオン』


 うーん絶好調だね。

 攻撃力を結構上げたから、音もなんか凄い威力有りそうな音だよ。


 結局この階層は希と私の水魔法攻撃との相性が抜群で二時間ほどの狩りでドロップも八十個近く出た。

 ポーションⅢであればもう私達にとっては、そうレアなアイテムじゃ無くなって来たよね。


「希、ボスに行っちゃうよ」

「了解ですー」


 十一層のボスは『ファイアアリゲーター』名前を見てわかる通りにワニさんだ。

 アフリカではワニ料理も結構メジャーらしいけど美味しいのかな?


 (お肉出ろー)と念じながらアイスランスを脳天に突き刺すと、あっけなく黒い霧へと変わって行った。

 ドロップは希望通りに『アリゲーターミート』が出ていた。

 何だか見た目がいかにも足の形をしていて、ちょっとグロいけど鶏肉にも見えるような感じだよ。

 何を作ろかな?


 今日の心愛の順位は


 柊 心愛 17歳(女) レベル27 ランキング887,125,329位


 希の順位は

 真田 希 16歳(女) レベル21 ランキング 1,345,256,233位


 二人とも順調だよ!

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