第59話 女聖騎士の引退後プラン
護衛の任務で立ち寄った村の近くに、危険な
「しかし、見たところ兵士様や騎士様が来て下さっているようですし、そこまで心配ないのでは?」
依頼主のカークがそう口にするも、ギルド職員やマルコたちは暗い表情のままだ。
(ここは依頼を受けた者として、しっかり忠告しておくべきか)
俺はカークに語り掛けた。
「いえ、それでもAランク相当だという魔物はかなり危険です。用を済ませたら早急に村を離れるべきでしょう」
先ほど横をすり抜けていった騎馬隊集団の中には、開拓村で世話になった聖騎士見習いであるケイヤの姿もチラリと見えた。
ケイヤともう一人の男だけ他とは装備が違う事から、恐らく二人は聖騎士だ。彼女は無事見習いを卒業して、今はその任務中なのではないだろうか。
聖騎士はこの国の精鋭部隊だと聞いた事がある。階級的には同じ平の騎士よりも扱いが上で、当然実力者揃いのエリート集団なのだと開拓村の村長オイゲンが教えてくれた。
当時俺が彼女のステータスを尋ねた際、少なくとも魔力は6千以上だと自己申告していた。闘力に至っては更に上だとも言っていたので、俺のチート魔力は抜きに考えても、ここにいる誰よりも圧倒的に強い。
そんなケイヤでも返り討ちにあったのがAランクの魔物なのだ。とてもではないが楽観視できる状況ではない。
「イッシンの言う通りだぜ、カークさん。流石にAランクは洒落にならねえ」
「≪白鹿の旅人≫の試験中なので、私は口出しする気がなかったのですが、今回は別です。カークさん、≪三本角≫は相当危険な魔物です。できる限り近づかない方が宜しいでしょう」
「……どうやら、想像以上の化物のようですね」
俺たちの進言を聞き入れたカークは、それでも村との取引を中止にする事は出来ないと告げ、今日は予定通りで明日はかなり早めに村を発つ事に決めた。
一刻も早く離れたい気もするが、間もなく日も暮れてしまう。夜間にそんな魔物と遭遇するよりかは、兵士たちが駐屯しているこの村で予定通り一泊し、明日早めに出た方が安全だろうと話し合いの結果で決まった。
「大変なことになったね」
「ネームドモンスターかぁ。一度は見てみたい気もするけど……」
恐ろしい事を口にするシグネに、俺はやんわり注意しようと考えていると、背後から声を掛けられた。
「イッシン、久しぶりだな」
ケイヤであった。
彼女の隣には年配の男騎士の姿も見えた。
「やっぱりケイヤだったか。そっちも元気そうだな」
久しぶりに再会した俺たちは笑顔で挨拶を交わす。
「ランニス、知り合いか?」
横にいるもう一人の騎士が不思議そうにケイヤへ尋ねた。
(そういえば、フルネームはケイヤ・ランニスだったか?)
記憶違いでなければ、彼女はどこかの貴族令嬢でもあるらしい。家の階級は詳しく教えて貰わなかったが、三女という立場で好きにさせて貰っているのだそうだ。
「ええ、先輩。昔の知人です。少し話をしてもいいですか?」
「ああ、構わないぞ。今日はもう出動はないだろうからな」
そう告げると彼女の先輩だと思われる騎士は兵士たちが野営準備をしている場所へと去っていった。
「しかし見違えたな。少し雰囲気というか……貫禄が出てきている。今は冒険者なのか?」
確かに最初彼女と出会った頃の俺は、ごく平均的な日本男児であった。異世界で戦いを生業とする彼女から見たら、俺はヒョロくて頼りない男に見えたのだろう。
「ああ、こう見えてD級冒険者だ。んで、今丁度C級の昇格試験で護衛任務中だ」
俺が苦笑しながら答えると、ケイヤは少し感心したように声を上げた。
「もうC級に届くのか。君にはあまり戦闘のセンスはないかと思っていたが、どうやら私の目は節穴だったようだな」
うーん、そこはどうだろう? 相変わらず回復以外の魔法は制御が効かず、身体強化も徐々に出力を上げられてきているが、まだまだ遠く及ばずといった形だ。
俺たちが会話を続けていると、横で気になっていた佐瀬が意味深に咳をした。
「そろそろ私達にも紹介してくれないの?」
ケイヤは佐瀬たちの方に視線を向けると、またしても感心したように頷いていた。
「ほう、君は随分奥手だと思っていたが、まさかハーレムパーティを結成するとは思わなかった。彼女がイッシンの正妻か?」
「——んな!?」
日本では考えられない倫理観を持ち合わせているケイヤの発言に佐瀬は狼狽した。
「ち、違う! ただのパーティメンバーだ! ほら、
俺が慌てて弁解すると、何故か佐瀬の機嫌が悪くなった。何だよ? 恋人だと紹介しても、お前きっと怒るだろう!? これが正解じゃなかったのか?
「そうか、成程。確かチキュウと言ったか? よく見れば大分雰囲気も違うし、確か君の髪は元々黒色だったな。そこの二人は前の世界からの知り合いか何かか?」
ケイヤの視線がほんの少し鋭くなる。
「まぁ、似たようなものだよ」
「ちょ、ちょっとイッシン!?」
「ありゃ? この人には地球の事、教えてるの?」
佐瀬と名波が驚くのも無理はない。これまで俺は地球についての情報を極力隠してきたからだ。
ただ当時の俺は一人ぼっちだった上に、保護して貰っている立場だったので、ある程度の事情は開拓村の一部の人間には教えていたのだ。最早その生き残りも彼女一人となってしまったが……
「ああ、ケイヤには一通り説明してある。俺の
「「「——っ!?」」」
遠回しな表現だが、俺が蘇生魔法持ちである事は彼女も既に知っていると告げると三人は驚いていた。
……あれ? 俺、以前にそのこと話さなかったっけ?
『ちょっと立ち話するような話じゃないわね。念話に切り替えるけど、良い?』
佐瀬が気を遣って【テレパス】を発動した。
俺は頷いてケイヤにも念話越しに語り掛けると、彼女はとても驚いていた。
『これは便利な魔法だな。発動時の魔力も全く感じなかったし、隠密性や機密保持にも優れていそうだ』
『それはどうも』
佐瀬の雷魔法【テレパス】をケイヤはとても感心していた。どうやら雷魔法の使い手は聖騎士団でも殆どいないようだ。
俺たちは改めてお互いに自己紹介を進めていく。個々のスキルや魔法などは明かさなかったが、日本人コミュニティの存在や、ここに至るまでの経緯を簡単に説明していった。
初めは地球の情報を与えるのを快く思わなかった佐瀬たちだったが、俺はケイヤの事を信用しているので問題ないと思っている。その証拠に——
『安心してくれ。私もイッシンに命を救われた身だ。国を裏切るような真似はできないが、それ以外で君たちを売るような事もしない。出来得る限りで協力しよう』
——そう告げると三人の態度は軟化した。
ケイヤ側の事情も色々聞けた。
あの惨劇の後、ケイヤは赴任先の開拓村を守り切れなかったものの、その責は魔物を刺激したデルーム男爵の長男にあるとして、お咎めは一切無かったそうだ。
それどころかAランクの魔物相手に奮闘し生還したとされ、無事聖騎士団に入隊する事が叶った。
『やはりその装いは聖騎士団の鎧だったんだな』
『ああ、今は先任である先輩と任務中だがな』
そこで話は今回の一件へと切り替わった。
『それでケイヤ。改めて尋ねるけど、今回の≪三本角≫は騎士団でも勝てる相手なのか?』
その問いに彼女は顔を顰めた。
『倒せる。だが、今いる戦力では少しだけ不安だな。私たちはあくまで先遣隊だ。相手が本当に≪三本角≫なのか、だとしたら今はどこにいるかを調べるのが任務だ。討伐の命令は出ていない』
やはり現状では倒すのが難しい相手らしい。その話を聞くと一番驚いていたのがシグネであった。
あ、コイツ! さてはケイヤのステータスを視たな?
『だから万が一≪三本角≫が現れたら、イッシンたちは逃げろ。我々も魔物の気を逸らすか、民の避難誘導に当たるだけだろうからな』
彼女曰く、国の兵士は魔物を倒すのが仕事ではなく、あくまで対人用の集団で、その性質は守りに特化しているそうだ。
更に貴重な戦力でもある聖騎士たちや騎馬隊などは、勝てない魔物相手には逃げる選択肢も視野に入れて行動している。魔物と戦って敗れたとしても、それは名誉の戦死とは成り得ないからだ。
国の重要な施設や人物、または大きな街が襲われない限り、騎士団は基本、討伐に動くことがないらしい。今回は対帝国の要ともいえる城塞町の近くで発生した案件故、状況把握の為にケイヤたちも赴いてきたそうだ。
『でも、それじゃあ強い魔物が現れたら、国にも被害が出るんじゃないの?』
シグネが尋ねるとケイヤは苦笑しながら答えてくれた。
『当然、被害が大きくなれば騎士団も動くさ。ただし、幾つかの村が滅ぼされた後でだがな』
ケイヤの言葉にシグネたちは息を呑む。
この世界は地球とはあまりにも感覚が違いすぎる。人の命が軽すぎるのだ。しかし、それも国の為政者側からすれば仕方ない事なのかもしれない。限られた駒で安寧を得る為には、どうしても大を救う為に少数は切り捨てられる。
ただし、その少数に含まれた者たちからしたら、堪ったものではないだろうが……
それからも俺たちは念話を使って雑談を続けた。もしこちらの様子を伺っている者がいたとしたら、一言も喋らない俺たちのことを不気味に思ったかもしれない。
女性陣はすっかり仲良くなったのか、後半には俺抜きで色々と話し込んでいた。どうやら男には話せない女性の悩みについての相談らしい。
いよいよ日が暮れると、ケイヤはそろそろ野営地に戻ると告げた。
『もう少し話したかったが、今は任務中だからな。イッシンたちは朝にここを出るんだろう? なかなか機会はないかもしれないが、今度はゆっくり茶でも飲もう』
『ああ、そっちも気を付けてな。死にさえしなければいくらでも治してやるから、怪我をしたら俺を訪ねろよ?』
傍にいるのならば兎も角、流石に遠くで死んでしまってはどうしようもないので、俺は彼女に気を付けるよう忠告をした。死んで化けて来られても、俺は御祓いをする事もできない。寧ろ幽霊は苦手なので、ガチで逃げる。
……そういえば、アンデッド用の光魔法があるんだっけか?
『そうだな。傷物になったら私も騎士団を引退して、イッシンのハーレムパーティに加えてもらうとしよう』
『だからハーレムじゃねえし!』
ケイヤはこんなキャラだっただろうか?
すっかり話し込んでしまった俺たちはカーク商会の所に戻ると、彼らは既に食事を済ませて寝る準備を始めていた。
ちなみに商人の護衛依頼などは基本道中だけのお仕事で、こういった村などの宿泊施設がある場所では除外となっている。要人警護ほど気を配らなくていいので楽だ。
よって食事や寝る時間も自由なので、村にいる間は楽ができる。尤も明日はかなり早い時間での出立なので、さっさと寝た方が無難だろう。
俺は食後の空き時間で読書をし、やがて眠気を覚えるとそのまま横になった。
翌朝、何事もなく俺たちは村を発つ事ができた。
流石にまだ早い時間だったので、ケイヤに別れの挨拶も告げられないまま俺たちはキャメル村を出立した。
「ケイヤ
シグネはどうやら彼女も姉認定をしたようだ。
「大丈夫さ。俺たちよりもステータスは上だっただろう? 倒すのは難しくても、逃げる事くらいは出来るさ!」
シグネによると、あそこにいた兵の誰よりも彼女は強かったそうだ。同僚の聖騎士団の男よりも強かったと話していた。
流石に知り合いのプライバシーを覗くのはあれなので、ケイヤのステータスについては具体的な数値を俺は聞かなかった。
ただ他の兵士については別で、鑑定結果を尋ねてみると、大体一般兵が闘力1,000から2,000辺り、騎馬隊に2,000超えがチラホラいたらしい。
要塞町フランベールの副団長だというオズマは、なんと闘力6,000オーバーだそうだ。ここまで強い闘力の持ち主は見た事が……いや、確かギルド長は1万以上だったか?
俺はスキンヘッドの厳つい男の顔を思い浮かべていた。
その後も旅は順調で、少し早いが当初の日程より1日早く交易街ブルタークへと戻ってこれた。
「今回は大変お世話になりました。また次も宜しくお願い致します」
「ええ。ご縁がありましたら、また」
カークと当たり障りない挨拶を交わして別れる。先ほどはああ言ったが、俺たちは基本護衛依頼など受けずに、ダンジョン探索に討伐や収集依頼をメインとするつもりだ。
そこはカークにも説明しているので、先程のは単なる社交辞令だ。彼はこの後再びキャメル村に物資を運ばないといけないので、また冒険者ギルドに護衛依頼を出すのだろう。
マルコたち雷名の……風だっけ? パーティ名を忘れたが、teamコココにもカークは依頼の誘いをしていた程だ。≪三本角≫の一件が無ければ割の良い仕事なのだが、マルコの険しい表情を見るに多分断るのだろうな。
ギルド職員やマルコたちと共に冒険者ギルドの支部に戻ると、早速俺たちに結果が言い渡された。
「C級への昇級、おめでとうございます!」
「やったぁ! これで私たちもC級パーティだね!」
「よーし! S級目指しちゃうぞぉ!」
シグネの無謀ともいえる目標を聞いた周囲の冒険者たちは、彼女たちに視線を送る。一瞬絡まれるのではとも思ったが、彼らが向けていたのは温かい眼差しであった。どうやら子供の戯言と聞き流してくれたらしい。
それでも俺たちの事を知っている一部の人間たちが噂話をしていた。
「あんな小さな子がC級だって!?」
「知らないのか? あいつらオルクルダンジョンをたった10日間で20階層まで到達したって……」
「マジか!? でも、皆すっげー可愛いな! あの黒髪ロングの子なんか超美人じゃん!」
「馬鹿! 彼女は雷魔法の使い手だって噂だ!」
「怒らせると容赦なく雷を落とすらしいぞ?」
自分の噂話を察したのか、佐瀬が鋭い視線を冒険者たちへ向ける。慌てて冒険者たちは視線を逸らしたが、一部の人間は何故か頬を赤く染めた。Mか?
(佐瀬さん、そういうところだぞ)
どうやら彼女が女帝として君臨するのは最早時間の問題のようだ。
ギルド証は更新に時間が掛かるようで、一旦ギルドに預けた形だ。翌日以降受付で手渡してくれるそうだ。
「C級のギルド証って鉄から変わるの?」
佐瀬の疑問に答えたのは、ここまで同伴してくれたマルコたちであった。
「いや、同じ鉄製だがデザインが少し変わるぞ。ほれ」
マルコが自分のギルド証を佐瀬に見せた。
「へぇ、少し彫り物があるのね。なかなかお洒落ね」
どうやら佐瀬からは及第点を頂いたようだ。やるな! 冒険者ギルド!
「ねえ、この後打ち上げしない? この上に酒場があるんだけど……」
「「「賛成!」」」
ココナの提案に女性陣が食いついた。
俺もギルド2階の酒場は少し気になっていたので、今日はそこで夕飯を取る事にした。俺たちが席に着くと、ちらほらと若い冒険者たちの姿も見える。
「なあ、あんたたちC級昇格したって?」
「俺たちと同年代なのに、すげえな!」
彼らはE級やD級の冒険者のようだ。どうやらダンジョンについて色々と話を聞きたがっていたらしい。
俺たちは差し障りのない範囲でダンジョン探索について情報を提供し、相談やアドバイスを送る。
この場にいる者のほとんどがブルタークダンジョンの方を探索しているらしく、オルクルダンジョンの情報は彼らにとって新鮮だったようだ。
俺たちがダンジョン談議に花を咲かせていると、三人組の冒険者が声を掛けてきた。
「な、なあアンタ。アンタら二人、日本人だろ?」
「は?」
「ええと……」
声を掛けられたのは佐瀬と名波であった。
どうやら話し掛けてきた男ら三人も日本人のようで、ここらでは珍しい黒髪の容姿から判断して二人に声を掛けてきたようだ。
「ん? ”にほんじん”って何だ?」
「なに? あんたたちと同郷の人?」
マルコとココナが尋ねた。
「ええ、まぁ……」
佐瀬はお茶を濁しながら念話で話しかけてきた。
『ちょっと、こいつらどうすんの!?』
『流石にこの場で話す内容じゃないな』
俺たちが対応に困っていると、向こうはお構いなしに語り掛けてきた。
「ちょっとアンタたちに話があるんだ」
「どうだ? 向こうのテーブルで一緒しないか?」
流石にこの場で大っぴらに話すのは不味いと考える知能はあったのか、二人を別席へ誘導しようとしてくる。しかし、傍から見たら完全なナンパであった。
(もしくは本当にナンパ目当てか?)
「悪いけど、私たちには話す理由はないから、他を当たってくれる?」
かなり厳しい返答をした佐瀬だが、それも無理はない。仕事の打ち上げで楽しく飲んでいたら、突然同郷と思われる輩が自分の出自を暴露した挙句、ナンパ紛いの行動にでるのだ。そりゃあ警戒されるというものだ。
だが男たちはしつこく食い下がった。
「そんな冷たい事言うなよ! 俺たち同じ日本人だろう?」
「そうだぜ。色々積もる話もあるから、なあ?」
「この世界の事について、情報交換しようぜ!」
ああ、駄目だこいつら。これ以上ボロを出さないように止めた方がよさそうだ。
「あー、君たち。俺たちは今仲間内で飲んでいるんだ。悪いが他所を当たってくれ」
俺がやんわり忠告すると、三人組は顔を顰めた。
「それなら俺たちも彼女たちの仲間だ! 同じ日本人だからな」
「彼女たちとは大事な話があるんだ。子供は引っ込んでいてもらおうか」
(駄目だ、こいつら……全く話が通じそうにない。)
今の俺は白髪で見た目も若干若返っている。恐らく現地の青年とでも思われているのだろう。
(仕方がない。少し強引に——)
——バチバチ!
実力行使に出ようとしたら、どうやら佐瀬に先を越されたようだ。
彼女の周囲に雷がバチバチと放電していた。それを見た周囲の冒険者たちは息を呑む。
「アンタたち、いい加減目障りよ! 名前も知らないアンタらが仲間? 笑わせないで! これ以上私たち仲間同士の飲み会を邪魔するのなら、実力行使に出るわよ!」
佐瀬が席を立ちあがって吠えると、名波も席を立ちあがり三人組を睨みつけた。普段にこやかな彼女が睨むと、とても寒気を感じるのは俺だけだろうか?
「ひぃ!? い、いや俺たちは、だけど……」
それでもまだ言いたい事があるのか、三人組がしどろもどろに言い訳をしていると、遂にはマルコたちも動いた。
「おう、兄ちゃん。俺たちは気分よく酒が飲みてえんだ。事情は知らねえが、それ以上突っ掛かるのなら、俺たちも相手になるぞ?」
イケメン優男のコランコに小柄で陽気なココナはともかく、マルコは強面な上にガタイもいいので、知らない人からしたら普通に怖い。
三人組はマルコに気後れしたのか、慌ててその場を去っていった。
「……何だったんだ? あいつら?」
「さぁ、宗教の勧誘じゃないか?」
俺は適当な事を言って誤魔化した。
――女神アリスと地球の代表者たちによるQ&A情報――
Q:向こうにお酒はあるのでしょうか?
A:あります
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