第26話 予想外の襲撃者

 殺した男たちの遺体を人知れず森に捨ててきた次の朝、俺は日の出と共に起床した。昨夜の事は思っていたより引きずらなかったのか、ぐっすり眠る事ができた。


 ただし別の不安を抱えたままだ。ケプの実に関する情報を入手し、そう遠くない内にここの拠点が危機的な状況に陥る事が判明したからだ。


 新たに安全な場所を模索する為、準備を整え昼前にでもここを発つつもりだ。出立前に色々な雑事を済ませておく。佐瀬と名波の姿を見つけると、俺は二人に声を掛けた。


「よぉ! そっちも早いな」


「ええ、この世界に来てからはすっかり早起きね」


「そうだねぇ、暗くなったらやる事もあんまりないし……」


 日本と比べてこの世界の夜は暗すぎる上に外を出歩くのは危険だ。テレビもパソコンもないし、スマホはバッテリーが勿体ない。もう既に何人かはスマホの電池が切れて役立たずのオーパーツと化してしまっていた。


 夜の娯楽は少なく、自然と全員が早寝早起き生活となっていた。



 二人は今日も小川への洗濯班に付き添うようで、俺もそれに同行した。他の学生たちに聞こえないよう俺は小声で二人に話しかけた。


「二人には一応共有しておく」


 それは昨日森に捨ててきた冒険者たちについてだ。この件に関しては彼女たちも当事者だし、襲ってきた人間がどういった素性の者なのかは二人も知りたい筈だ。


 俺は奴らの冒険者証から分かった範囲の情報を伝えておいた。


「ふーん。あれがC級冒険者、ねぇ……」

「矢野君がほとんど倒しちゃったとはいえ、あんまり強くはなかったねぇ」


 名波の発言に俺は苦笑した。確かにあんなマジックアイテムで奇襲を仕掛けておいて、最終的には返り討ちに遭ってしまったのだ。名波においては1対1で一人倒してしまった程だ。彼女たちの評価が低いのにも納得だ。


「そうだ。そういえば、これを渡しておく」


 俺はマジックバッグから、件の襲撃者たちから回収したマントを二つ彼女たちに手渡した。


「丁度だから、それも洗濯すればいいじゃないか。約束通り、それは一人ずつ分配だ」


 身に着けて魔力を流すと姿を透明にし、気配もある程度消せるという代物だ。


 以前二人に渡そうとしたら、襲撃してきた男たちが寸前まで着ていたこともあって汗や血がこびりついていた。綺麗好きな彼女たちは嫌な顔をして受け取る事を拒否したのだ。


「……そうね。あんまり良いイメージないけど、確かにこれは便利よね」

「しっかり洗わなくっちゃね! 石鹸を用意してくれた子には感謝だよ!」


 二人は、それはもう懸命にマントを隅々まで手洗いしていた。




 今日も拠点で朝食をご馳走になる。町からの補給が増えた事により、心なしかおかずが豪華になっている気がする。


「矢野君にはホント感謝しているわ!」


 料理当番の中野から再び礼を言われた。彼女は備蓄管理の責任者なだけあって、今までジリ貧だった自給自足生活に誰よりも危機感を覚えていた。それがやっと解消し始めたのだ。


 初めて出会った時と比べると、まるで別人のように愛想の良い女性であった。


「今日は張り切って新作パンを焼いたの! 大奮発よ!」


 これにはコミュニティにいる全員が大喜びだ。小麦の栽培にもようやく目途が立ち始めたばかりで、あまり無駄遣いできる状況ではなかったが、町で大量購入できたことにより若干の余裕が生まれたのだ。


 俺は久しぶりに豪勢な朝食に感激しながらも、複雑な心境で周囲を見ていた。


(折角ここまで作った拠点なのに、なぁ……)


 学生たちだけで作り上げたにしては随分立派な集落だ。米作りこそ難航していたが、それ以外の農作物は概ね順調で、ある程度の生活基盤は整っている理想的な拠点だ。


 だが、いつまでもここに留まっている訳にはいかなくなったのだ。


(彼らの為にも、早急に安全な新天地を探し出す!)



 俺は急いで朝食を平らげると、佐瀬と名波にその事を告げた。



「そうね。確かにその意見には賛成!」

「早く新たな拠点場所を見つけて、皆を安心させてあげないとね!」


 佐瀬と名波はやる気に満ちていた。やはりご飯が美味しいと人は元気が湧いてくる。今後の明るい生活は俺たちの手に掛かっていると言っても過言ではないのだ。


 だが意気込んでいるところ恐縮だが、俺は二人に居残りを命じた。


「ちょっと! 何でよ!?」

「ええええっ!?」


 同行する気満々であった二人から批難の視線を向けられるが、ここは飲んで貰う他ない。


「昨日までは情報収集として余所者の俺だけじゃなく、君たち二人も町に連れて行った。だが、今回は全く未知の場所だ」


 外部の俺からの情報だけでは彼らも不安だろうから、その代表者として彼女らを同行させた。


 だが今回探すのは、あるかどうかも分からない安全な新天地だ。下手をすればデストラム級の魔物と遭遇戦をするかもしれないのだ。最悪、俺一人なら自爆技でどうとでもなるだろうが、二人に危険な真似はさせたくはない。


 佐瀬の【雷魔法】と名波の【察知】スキルはかなり有用だ。十分立派な戦力なのだが、それはCランクの魔物以下相手だったらの話だ。B以上の相手だと寧ろ足手まといになりかねない。


「二人の出番はまだ後だ。一度俺が単独で森を抜けてみる。それで問題無いようなら今度は二人にも同行を依頼するよ」


「……まぁ、そういう事なら」

「……仕方がないね」


 二人とも凄く不満そうではあったが渋々了承してくれた。


 この後もう一度花木たちと話し合って、昼前にはここを立つと佐瀬たちに告げた。もう食料などの準備はマジックバッグに詰め終えているので、荷物は一旦佐瀬たちの家に置かせてもらって、俺は花木たちを探し回った。






 久しぶりにパンや味の濃いおかずにありつけた僕は、腹こそ満たされたが心の中は複雑な心境であった。


 昨日、佐瀬さんたちが町から帰ってきた。あの男と佐瀬さんたちは、町から大量の食糧や衣類に使われる布などを仕入れて戻ってきたのだ。


 思った以上に早い帰還だったのと、しっかり務めを果たした彼女らを皆が褒め称えていた。そんな佐瀬さんたちを僕は遠目でこっそり【鑑定】した。




 名前:佐瀬 彩花


 種族:人族

 年齢:19才


 闘力:45

 魔力:1525


 所持スキル 【自動翻訳】【雷魔法】




 名前:名波 留美


 種族:人族

 年齢:20才


 闘力:78

 魔力:172


 所持スキル 【自動翻訳】【察知】




(闘力と魔力が上がっている!?)


 増える事自体は別に珍しくもない。僕も徐々にだが闘力や魔力が微増している。特に戦闘を好んで行う連中は総じて成長が著しい。多分、戦闘経験が成長を促しているのだ。


 だが、それにしても彼女たち二人の上がり方は異常であった。僕は隙さえあれば佐瀬さんのステータスを覗いていた。確かここを立つ前は、闘力が30前半、魔力は1300台だった筈だ。


 それがこの短期間で闘力が10ほど、魔力に至っては200以上増えた計算になる。そんなのおかしすぎるだろう!?


 俺は、あの忌々しい男のステータスをそっと覗いた。




 名前:矢野 一心


 種族:人族

 年齢:29才


 闘力:291

 魔力:9,999


 所持スキル 【自動翻訳】【回復魔法】




 魔力こそ相変わらずバグで正確な数値は視えないが、闘力が更に上がっている。回復魔法のスキルしか持たないこの男が、こんなに強くなれる訳がないのだ。とすれば恐らく――――


(町には何か秘密があるんだ! ステータスを上昇させるような、何かが……!)


 その恩恵をいち早く受けたあの男は、それを恰も自分の力かのように振舞って、佐瀬さんたちの興味を引かせているのに違いなかった。そう思うと抑えきれない感情が今にも溢れ出そうで我慢できなかった。


 僕は彼女たちから目を背けると、居住区の方へ足早に逃げていった。


(くそっ! くそっ! くそぉ! 僕に、もっと力があれば……っ!)


 僕は自分の手を見つめると【鑑定】を発動させようとした。【鑑定】は相手の顔をハッキリ見ないと直ぐに視る事ができない。身体の一部だけならば、時間を掛ければ視る事が可能だ。


 それは自分も例外ではなく、己のステータスを視るだけでも、こうして手をマジマジと見つめ続けなければならない。つくづく使えないスキルだ。




 名前:斎藤 龍也


 種族:人族

 年齢:20才


 闘力:15

 魔力:38


 所持スキル 【自動翻訳】【鑑定】




 彼女らと自分のステータスを比べると、あまりの貧弱さに惨めで涙が出てくる程だ。とてもではないが一人でここから森を抜け出て、町へ行くのは不可能だ。


 トボトボ歩いていた僕は、ふと見覚えのある家屋が目に入った。佐瀬さんと名波さんが寝泊まりしている家だ。この辺りは女性の居住区という事で、男は無暗に近づかないよう通達されている場所だ。


 気付かない内にそこまで踏み込んでいた僕は慌てて周囲を見渡すも、皆何かしらの仕事に従事しているのか、人の気配はまるでない。


「……ごくり」


 つい魔が差した。


 僕は再度人の目がないことを確認すると、彼女たちの家屋へと踏み込む。女性陣の居住区には簡易な内鍵が存在するが、外から鍵は掛けられていないのだ。中に入ると良い匂いがした。確か科学部が香水や匂い消しのようなものを開発していた筈だ。もしかしたらその匂いなのだろうか。


 僕は誰かに見つかる前に部屋を物色しようとしたが、ふと天井からぶら下がっている外套が気になった。見るからに彼女たちには似つかわしくない黒いマントだ。


(もしかして、あの男の!?)


 沸騰しかけたその頭は、思わずそのマントを鑑定して結果を見た瞬間フリーズした。




 名称:隠れ身の外套


 マジックアイテム:希少レア


 効果:装着者の身を隠す




「…………え?」


 初めて視る表記に僕は唖然とした。再度【鑑定】を試みるも結果は同じ。つまりこれは正真正銘マジックアイテムなのだ。しかも破格の性能だ!


「す、凄い! こんな物が実在するだなんて……!」


 興奮する僕であったが、大声を出したのがいけなかった。


「あれ? 佐瀬さん? 名波さん? 戻ってるの?」


 外から女の声が聞こえた。


(不味い!? こんな所で見つかったら僕はお終いだ!!)


 慌てた僕は吊るされているマントを奪い取る。大急ぎで羽織るも姿が消えているようには見えない。


(どうすれば……いや、こうか!)


 身体強化の情報は僕も耳にしていた。試しに少しだけ訓練していたのが幸いしたのか、マントにも同じ要領で魔力を送ると、徐々に僕の姿が消えていった。


「もしも~し! 開けるよぉ?」


 僕の姿が完全に消えたのと女の声はほぼ同時であった。遠慮がちに扉を開けて中を覗いてきたのは、確か巡回警備に勤しんでいる山岳部の女生徒であった。恐らく定期的に女性居住区を巡回しているのだろう。


「あれ? おっかしいなぁ。確かに声が聞こえたと思ったんだけどなぁ……」


 異常無しと判断した女はすぐに扉を閉めてその場を去っていった。危機を脱した僕は止めていた息を吐いてマントを外した。どうやら装着している間は魔力を消費していくらしい。


「ふふ、ふふははは! こいつはいいや! これなら、森を抜ける事だって簡単じゃないか!」


 よく見るとマントは全部で3着もある。洗濯でもしていたのだろうか、少しだけ湿っていたが、それに構わず僕はそれを全て頂く事にした。


(最低でも夕方にはこれを盗んだことはバレる!)


 ならば一刻も早く行動に移すべきだ。ついでにこの部屋から何か頂いていこうかと周囲を探ると、ある荷袋に目が移った。確かあれはあの男が何時も大事そうに持っていたものではなかっただろうか。


 それに気が付いた僕は再度頭に血が上る。


(そうだ! このマントにしてもアイツは隠していたんじゃないのか!? これさえあれば森を抜ける任務なんて簡単だ! そういう事か、あのペテン野郎め!)


 僕は奴の荷袋を拾うと、それに余分なマントを詰めて持ち逃げしようと考えた。そして袋の中に手を入れた瞬間、僕は再び信じられない現象に遭遇した。


「な、んだ……これ? 底が……ない!?」


 中に手を入れると、どこまでも広い空間があるようだ。それによく見ると、荷袋の中に更に巾着袋が入っていた。どうやら袋を二重で使っていたようだ。


 まさかと思い、僕は内側に隠されるように収められた巾着袋を取り出して【鑑定】をする。すると驚愕の鑑定結果が現れた。




 名称:マジックバッグ


 マジックアイテム:伝説レジェンド


 効果:見た目以上の物を収納できる




「…………くく、こいつはいい! 最高だ! いよいよ僕にもツキが回ってきたぞ!」


 僕はそこらにある物を根こそぎマジックバッグの中に詰め込むと、黒のマントで身を隠しながら急いで拠点から離れていった。






「そうですか。もう調査に行かれるんですね」


 花木の言葉に俺は頷いた。


「ああ、急いだ方がいいからな。もし万が一、俺が居ない間に危機が訪れたら、一先ず西側へ逃げるといい。佐瀬たちなら森の外に案内できる筈だ」


 そういう理由もあって二人は残す事に決めた。


 俺は花木と浜岡に出立の挨拶をすると、最後にもう一度佐瀬たちと話しておくかと二人の姿を探した。すると名波と中野が二人揃って森から戻ってきた。


「あ、矢野君! もしかして、もう行くの?」


「いや、名波と佐瀬にも挨拶してからと思ってたんだ。ほら、まだ荷物も持っていないだろう?」


 俺の荷物は彼女たちの家に置きっ放しであった。流石に声も欠けずに女性の家へ無断に上がり込む訳にもいかず、こうして最後の挨拶をしようと思ったのだ。


「何? 私には挨拶なしなの?」


 中野の皮肉に俺は苦笑した。


「ついさっき花木君たちの所に行っていたんだよ。中野さんもそこにいると思ってね」


「もう! 別に私は何時もあの二人と一緒に行動している訳じゃあないわよ?」


 それはそうだと、俺は改めて彼女とも挨拶を済ませた。


「彩花なら例の小川へ水浴びに行ったよ! 今から急いで向かえば覗けるかもね」


 悪い笑みを浮かべた名波が小声でそんな事を囁いた。それに俺は肩をすくめながら答えた。


「流石にもう【ライトニング】はこりごりだよ」


 最初の出会いで雷に若干トラウマ気味な俺は、大人しく彼女が戻るのを待つ事にした。






 佐瀬さんたちの家から急いで抜け出した僕は、森の中でマジックバッグの中身を物色していた。他に何か使える物はないかを探していたのだ。


「こいつ、他にもマジックアイテムを持っているじゃないか! 畜生、あのインチキ野郎が……!」




 名称:模写の巻物


 マジックアイテム:一等アンコモン


 効果:触れた文字を巻物に模写する




 名称:魔力封じの腕輪


 マジックアイテム:二等コモン


 効果:装着者の魔力を封じる




 巻物の方は微妙だが、≪魔力封じの腕輪≫は使えそうだ。一等級とか二等級とあるが、恐らくこれはマジックアイテムのランクなのだろう。希少級と伝説級がどれ程かは知らないが、マントやマジックバッグの性能を考えると、相当希少価値があるのだろう。


 僕はマジックアイテムだけ簡単に調べると、急いで西へと向かった。すると綺麗な小川が見えてくる。普段僕たちが利用している水源だ。そこに見慣れた女性の姿が遠目に見えた。


 僕は慌ててマントで姿を隠してゆっくり近づいた。間違いない、佐瀬さんだ。彼女はこれから水浴びをするのだろうか、衣服に手を掛けていた。


(おお!? これがあれば覗き放題じゃないか!)


 素晴らしい場面に出会ったと思ったのも束の間、どうやら彼女は水浴びを終えたばかりのようで、逆に服のボタンを留めていた。


(畜生! 折角のチャンスだったのに!)


 だが、そこで再びどす黒い感情が己を支配する。


 今、彼女は全くこっちに気が付いていない。これも≪隠れ身の外套≫の効果だろう。だが、これも使用時間に限度がある。


(残りは……まだまだ使える!)


 普段はあまり意識していなかったが、己の魔力残量は何となくだが把握ができる。


 だが、透明になって近づいたとしても、僕では彼女に太刀打ちできない。【ライトニング】を貰って一発アウトだ。どうしたら…………


 そこでふと、先程鑑定したばかりの腕輪の事を思い出した。


(そうだ! あれを使えば……!)


 憧れの彼女を手に入れられるかもしれない! そう邪念が頭を過った瞬間、僕は彼女の方へ駆け出した。






 水浴びを終えた私は一人、ため息をついていた。


 昨日までの外での生活は楽しかった。


 勿論、襲撃された時は怖かったし、不安な場面も色々とあったが、それ以上に、こう血沸き肉躍る感覚とでもいうのだろうか、私の中に眠っている冒険心が刺激されたのだ。


(私って、こんな向こう見ずな性格だったんだなぁ……)


 自分が気の強い難儀な性格をしているのは自覚している……つもりだ。


 だが、あんな死ぬ目に……いや、実際に死んだというのに、懲りずにまた彼と一緒に冒険したいと強く思う自分に心底驚いている。


 だから今回、居残りだと言われた時には少しだけショックだった。魔法使いとしてなら、ある程度戦えていると自負しているが、接近戦に持ち込まれると少々分が悪い。先の死闘では足手まといとなってしまった。


 それがとても悔しかった。


(これじゃあ、あの時と全然変わってないじゃない!)


 居残りを命じられるのも納得だ。ならばやる事は一つしかない!


(あいつが戻ってくるまで、もっと強くなる!)


 差し当たっては近接戦闘技術、即ち闘力を上げようと、意気込んだ瞬間――――


「――――取ったぁ!」


「……え? 何!?」


 突如背後から男の声がしたかと思った瞬間、私の腕にリング状の何かが嵌められていた。続いて衝撃――――私は正体不明の男に仰向けで組み伏せられていた。


「なっ!? あんたは……っ!?」


 私の上で馬なりになっている得意げな男を見て驚いた。【鑑定】スキルを持つ斎藤という男だ。斎藤は何故かあの透明マントを羽織っていたのだ。


「ひひっ、佐瀬ちゃーん! 遂に捕まえたよぉ!」

「んな!? こいつ……っ!」


 状況が全く理解できないが、私は咄嗟に【ライトニング】を発動……しようとしたが不発に終わった。


「う、うそ!? なんで……!?」


 焦る私に斎藤はにやけながらも律義にも答えた。


「無駄だよぉ! その腕輪は魔力を封じるんだ!」


「――――っ!?」


 どうしてこいつがそんな代物をと疑問に思うも、確かに魔力が上手くコントロールできない。【身体強化】すら不発に終わった。


 魔法を発動できないでいる私を見た斎藤は、満足そうに下卑た笑みを浮かべるのであった。






――女神アリスと地球の代表者たちによるQ&A情報――


Q:あちらの世界は紙幣や硬貨を使っているのでしょうか?

A:殆どの場所が硬貨か、物々交換です

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