第3.5話 修也勧誘の数時間前【聖女視点】

side 坂上 結奈(聖女)


「パパッ?!!!!!」


修也くんが去った後、私は街に戻ってパパに電話をかけていた。


『こちら。白光学園理事長の坂上です。結奈?プライベートでも一言目はパパではなく理事長と呼ぶように言っているはずだが』

「ご、ごめんなさい」


そう言われてシュンとなる。


でも、今は伝えたいことがある。


「私の配信見てたよね?!」

『もちろん。かわいい娘の活躍を一分一秒でも見逃したくないからね。はっはっは(親バカ)』


その言葉を聞いて私は本題を切り出すことにした。


「あの制服は低亭高校のものだよね?ガラ悪い高校だから覚えてるよ。でもあの人は違った。パパ一生のお願い。白銀くんって子を引き抜いて欲しい」


『分かってるかね?結奈。我が校は世間では名門と呼ばれている。そこに"ガラの悪い"高校の生徒を呼び込めば評価がどうなるかは』


「だからここで一生のお願いを使うの。無理言ってるのは分かってる」


『ふむ。お前がそこまで言うくらいだ。なにかビビッとくるものがあったのだろう』


そう言ってパパはこう答えてきた。


『仕方ないな。私は結奈の頼みを断れないからな!よし!手を回してみよう。君のお父さんが親バカで良かったね』

「やった!」

『楽しみにしていたまえ。どうにかして引き抜こう。私としても興味深いからね。彼は』


通話はそれで終わった。


(これできっと白銀くんは白光に来てくれる、と思う)


私の持つステータスチェッカーは実は特別なものだ。


ステータスチェッカーを取り出して履歴を呼び出してみる。


【白銀 修也様】と【坂上 結奈様】の相性


なんと、ステータスを読み込んだ人達の相性を計算してくれる!


そして私達の相性は



​───────9999%



この表示を見た時は壊れたのかと思ったけどたぶんちがう。

あの人はレベル9000の規格外。


だから


「修也くんはきっと、100%の限界を超えることだってきっとできる」


心の中の言葉が出てきてしまった。


それを聞いていたパーティメンバーが呆れていた。


「私はチェッカーが壊れているだけだと思うがね。結奈。それに100%より上は無いよ」


そう言ってきたのはパーティリーダーの女剣士。


「とりあえずそのチェッカーを貸してみてくれないか?」

「はい」


ピピピッ。

自分のステータスを読み取って、私との相性を見せてきた。


100%。


「壊れてないな。上限を突破していない」


首をひねりながら今度は


自分と修也くんのステータスで相性を計測していた。


結果は5000%


「なんで上限を超える?」

「ほら、壊れてないでしょ?」

「しかも5000%?なんでそんなに中途半端なんだ?」


私は答えてあげることにした。


「チェッカーくんには分かってるんだよ。私と修也くんの相性がこの世界で一番だってこと」


「どうやらそのようだな」


すっ。

チェッカーを返してくれたのでアイテムポーチに収納した。


パーティメンバーを見て口を開く。


「結婚式にはみんなのこと呼ぶから来て欲しい」

「いきなりな話だな。結婚相手が決まったのか?」

「今決めたの。修也くんと結婚する」

「「「ブフォッ!!!」」」


全員が吹き出してから「まじかよ、お前」みたいな顔で見てくる。


「も、もう結婚?!」

「私もう16歳だもん。余裕で結婚も考えるよ。それに修也くんの顔みた時分かっちゃった『この人しかいないんだ』って。修也様ぁ♡」


そんな私を見て顔を見合わせるパーティメンバーたち。


リーダーはこう言ってきた。


「まぁ、話が決まったら呼んでくれたらいい。大事な団員の結婚だ。駆けつけよう」


そう言ってくれてるけど一応念を押して置くことにする。


「配信は今まで通りでいくから。安心して欲しいの」

「当然だ。いきなり次の配信で結婚発表とかするなよ?」


呆れた目で見てくるリーダーに答える。


「しないよ。私だって500万のファンに喧嘩なんて売りたくないし」

「ならいい。今日は解散をすることにしよう。みんなお疲れ様」


そうしてパーティメンバーは解散していったので、私も家に向かって歩き始めた。



私が配信をしているのにはいろいろ理由があるけど、その中のひとつにこういうものがある。


【坂上家の女は常に優雅で上品にしていなければならない】


気持ち悪い(直球)コメントを受け取ってもそれに笑顔で応じられるようになれば坂上家の女として成長できる、配信はその練習になる。


修也くんとの出会いによってその成果が出そうでワクワクする。


(修也様♡私はあなたにふさわしい女になれているでしょうか?♡)


頭の中は修也くんのことでいっぱいだった!


たぶん配信のことを覚えてなかったらここで


『修也様ぁぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁあ!!!』


って叫んでたと思う。



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