いけいけ勇者様23

最上司叉

第1話

魔族の女の結婚式から数日が過ぎた頃だった。


街では食料の盗みが発生していた。


俺たちはまだその事件を知らずにいた。



「魔族の女凄かったな」


俺は唐突に口を開いた。


「そうだね…今頃どうしてるんだろ?」


「まぁ考えても始まらんさ」


とその時女が慌ただしく帰ってきた。


「魔王ちゃん大変!!街で盗みが頻発してるって」


「盗み?」


「そう、主に食料らしいよ」


「それは大変、家も気をつけないと」


とそこへドアをノックする音が聞こえてきた。


女ははーいと言いながらドアを開けた。


「突然すみません、私たち国王様の使いでございます」


「なんだ突然?」


俺は使いの人に聞いた。


「こちらで魔物の子を飼っていると通報がありまして」


「確かにいるがそれがどうした?」


「はい、最近街で頻発している盗みの犯人じゃないかという噂がありまして」


「この子はそんな事しない」


魔王は悲しそうな顔で答えた。


「では1晩預からせてください、悪いようには致しませんので」


「どうして?」


「なに簡単な話です、1晩国で預かりまた盗みがあるようならその時は犯人ではないとなり解放させていただきます」


「…」


「皆不安なのです、ご理解ください」


「分かった」


「ありがとうございます」


魔物の子は悲しげにキューと鳴いている。


「俺も行こう」


盗人もついて行くと言い出した。


「それは困ります、貴方は鍵開けができますので意味がありません」


「見張りをつければいい」


「困りましたね」


「…」


「分かりました、今回だけ特別に許可しましょう」


「ありがとう」


そして盗人と魔物の子は国の地下牢へ連れてかれた。


「大丈夫かな?」


「大丈夫だろ」


「そうだね」


「あぁ」


そして俺たちはいつもの通り魔物退治を終え眠りについた。



ガサガサ



俺は物音で目を覚ました。


物音のする方へ急いで向かう。


キッチンの明かりをつけながら誰だと叫んだ。


そこには知らない子供の姿があった。


「見つかった!逃げろ!」


「逃がすか!」


ものの数秒で子供を捕まえた。


「意外とすばしっこい奴だ」


「うるさい離せ!!」


「離せと言われて誰が離すか」


子供は諦めたのか大人しくなった。


「お前だな、最近の盗みの犯人は?」


「それがどうした」


「生意気なガキだ、警備兵に突き出してやる」


子供は泣き始めた。


俺は子供を連れて警備兵の駐屯所へ向かう。


「鬼!!泣いてるのに放ったらかしか!」


「お前みたいなのには慣れてる」


子供はそれを聞いて不機嫌な顔をしながら黙って俯いた。


「…」


「…」


「着いたぞ」


子供は黙ったままだ。


「どうしました?」


警備兵が俺に話しかける。


「最近街で頻発している盗みの犯人を捕まえた」


「その子供ですか?」


「あぁそうだ」


「ありがとうございます、早速取り調べを致します」


「じゃあな」


俺は警備兵に子供を引渡し家に帰って行こうとした。


「父ちゃんが病気なんだ!!」


「だからどうした?たとえ本当でも盗みをしていい理由にはならん」


子供は黙ったまま俯いた。


俺はそれを背に家に帰っていった。



そして翌日俺は魔法使いにあるお願いをした。


盗人と魔物の子は無事解放され家に帰ってきた。


「良かった」


魔王は安心して喜んでいる。


「じゃあ今日も魔物退治に行くか」


「うん」


俺と魔王は魔物退治に向かう。


「こっちは任せて」


魔法使いは俺に言って出かけて行った。


そして魔物退治を終え家に帰ってきた。


「できてるよ」


魔法使いが俺に話しかける。


「あぁありがとう、じゃあこれな」


俺はある物と引き換えにある物を渡した。




某街某所


ゲホゲホ


「邪魔するぞ」


「だれ…だ…?」


「騙されたと思ってこれを飲め」


「なんだ…これ…は?」


「じゃあな」


そして盗みは無くなった。

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