異世界プラモ〜異世界で巻き起こせ、プラモデルブーム!〜
ヒカリ
第1話
僕の名前は夏児究人(かにきゅうと)。母親の遺伝で髪色がちょっと変わってる事、あと顔が中性的だと周りから言われる事以外は普通の15歳の男子高校生だ。
趣味はプラモデル作成。お小遣いはほとんどプラモにつぎ込んでいる。
我が国日本のプラモ会社は、プラモデルだけでなく変身ヒーローや変身ヒロインの玩具や食玩やカプセルトイ、ハイエイジトイなどを作っている誰もが知る大手企業ヒノモトに、美少女プラモデル、通称美プラや独自の設定のメカのプラモデル、スケールフィギュアなどが主戦力の老舗の企業アルタリス。
僕は主にその2社のプラモを購入し作っている。
どっちの会社のプラモもクオリティが高くて、この2社には足を向けて寝られないな。
僕はプラモを作った後、完成品をSNSにアップして、僕のフォロワーさん達にそれを見せている。
そして学校で入っている部活はプラモデル同好会だ。
仲のいい部員達と一緒に、日々プラモデルについての研究をしたり、プラモを作ったりして活動しているんだ。
そんな僕の人生は、この日一変してしまった……。
8月の第3日曜日。僕は近所のスーパーにお菓子を買いに出かけたのだけど、道を歩いている時に、足元に魔法陣のようなものが現れて、その魔法陣から光が溢れ出し、あまりにも眩しかったのでつい顔を覆ってしまった。
その後目を開くと、そこは僕のいた街でも、県でも、国でもなくなっていた。
まるでお城のような建物の中で、鎧を纏った沢山の人と、高そうな服装の男性と女性、そんな人達の中心に僕はいた。
金髪の人や青色の瞳の人達がいる……これってアニメとかである、異世界って奴なのでは……?
「よくぞ私の召喚に応じてくれた!勇者達よ!我が名はヘイス・インゼル。この王国の国王だ。貴方達に、我が国に爆増するモンスターの退治を頼みたい!」
「え……?」
貴方達って言った……?と思って僕が後ろを振り向くと、そこには3人の女性が……。
3人とも若い外見の女性だ。特に1人は中学生ぐらいなんじゃないか?と思えるぐらい若い。他の2人は若いとは言え僕よりは年上に見える。
「あのー、私達は突然こんな所に呼ばれて困惑しています。詳しい話をしてくれませんか?」
その時、茶髪(染髪してそう)で高そうなイヤリングを付けた女性が国王様に詳しい話をできないかと質問する。
それに対して高そうな服装でくすんだ金髪の国王様は、この国についての話を始める。
「突然召喚してしまいすまなかった、謝罪しよう。困惑するのも無理は無い……しかし私達にも事情があるのだ。その事について話をしよう……。」
それから長々とした国王様の話は始まった。
彼曰く、この世界にはモンスターという強力で凶暴な生き物がいるらしく、この王国アルデロスでは近年そのモンスターが爆発的に増殖しているそうだ。
爆増したモンスターによって襲われ、壊滅状態に陥った村もあると言う。
それを止める為に、異世界から勇者を召喚したと、ヘイス国王様は説明した。
「異世界の勇者は、特殊なスキルを持っているという伝承がこの国で言い伝えられています。スキルとは、モンスターの存在するこの世界で人が生きていけるように天上の神々が私達にお与えくださった力の事です。」
ヘイス国王様の隣のマイサ女王様はそう説明する。
スキル?そういうのが存在する世界なのか。ゲームとかであるやつだよな?
「今からこの鑑定具によって貴方達のスキルを見させてもらいます。」
マイサ女王様はそう言って、広い部屋にちょこんと置かれた机の上に置いてあった水晶玉を手に取って、これから僕達のスキルを見ると言う。
あれがスキルを見るアイテムなのか。僕は一体どんなスキルを持ってるんだろう……なんか不安だな。
だって僕は運動はそれほど得意じゃないからモンスターと戦うのキツそうだし。
いや、スキルがあればこんな僕でもモンスターと戦えるのか?でもモンスターと戦うのはな……血とかを見る事になるのかな。
グロいのはアニメで慣れてるけど、それを自分が実践できるかと言われればそれは別問題な訳で……。
まぁそんな事考えても相手は待ってはくれず、女子大生の宮野明日美さん、中学生の如月葉月さん、社会人の那由多由奈さん、僕という順番でスキルを見る事になった。
「それではアスミ様、この鑑定具に手を触れて……」
「その前に、なんで私達は貴方達の話してる言葉が分かるんですか?」
「それは私が貴方達に使った魔術、翻訳のお陰だ。私の魔法の影響を受けた貴方達は、この世界の言葉を読み取り、聞き取る事ができるようになったという訳だ。元は海の向こうの大陸にある外国の言語を翻訳する魔術として使われていたのだが、異世界の言葉も翻訳する事ができると分かったのだ。」
「なるほど……。」
明日美さんは鑑定をする前に、僕達がこの国の人の言葉を理解できる理由をヘイス国王様から聞いてくれた。
スキルの他に魔術もあるのか……。ますます異世界らしくなってきたな。
その後改めて僕達の鑑定が始まる。
「ミヤノアスミ様のスキルは「真剣術」。」
「キサラギハヅキ様のスキルは「超魔術」。」
「ナユタユナ様のスキルは「極精霊師」。」
明日美さん、葉月さん、由奈さんのスキルを鑑定し、その名前を言うマイサ女王様。
それを聞いた周りの兵士達はざわめいている。3人が持ってるそれほど珍しく強力なものらしい。
真剣術ってのは……剣術が上手くなる的なスキルかな?超魔術は……魔術を上手く使えるとか?
極精霊術……精霊とかもいるのか。
「凄い……どの勇者も強力なスキルを持ってますね!」
「並の人間には発現しないスキルだ。」
「これでモンスター共を一掃できるな。」
「では最後に、カニキュート様のスキルを鑑定しましょう。」
「よ、よろしくお願いします!」
盛り上がる兵士達に囲まれながら、僕はついにスキル鑑定をした。そして、僕のスキルは……。
「プラスチックマスター……です。」
え……ん?プ、プラスチック……マスター?
「プラ……ってなんだそれ?」
「聞いた事無いスキルだ……。」
「俺も知らないぞ、そんなスキル。」
兵士達はさっきとは別の意味でザワついている……まさかこのスキル、使えないスキル……いわゆる「不遇スキル」ってやつじゃない!?
「貴方……どうしましょう……。」
「うーむ……こんな意味の分からないスキルを持つ者を戦場には出す訳にはいかんしな……とりあえずアスミ殿、ハヅキ殿、ユナ殿は訓練施設に連れて行って、1ヶ月の訓練の後モンスター退治に参加させる事にする。キュート殿は1ヶ月間は無料で街の宿屋に泊めてもらう、という事にしよう!」
そうして、強いスキルを得た3人は国の戦力として迎え入れられ、僕は即刻王宮を出て、街の宿屋に泊めてもらう事となる。
望まずして始まってしまった僕の異世界生活、出だしからつまずいてしまったみたいだ……。
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