映像と喧嘩

ボウガ

第1話

 ある心霊スポットへ、無名ヨウツーバーが入る。そこで取られた映像は、明らかにやらせらしく取られたものだったが、よくできたもので、爆発的に再生回数が伸びた。同行するカメラマンの友人が善い人で、口下手な彼の代わりにその映像のコメント欄にたびたび姿を現した。


 しかし、やらせというジョークもわからず、また妬みを向けたものたちが批判し、ヨウツーバーは気を病んだ。


 次に、人気になってしばらくして、同じ心霊スポットに二つ目の映像をとりにいった。そこで取られた映像は、あまりに小さな現象ばかりで人々が幻滅し、アンチや批判が増えて、彼はさらに気を病んだ。


暫くして彼が自殺する。遺書には、ヨウツーバーが夢だったという事と心霊作品への愛がつづられていたという、彼の夢は(本物の心霊映像)をとる事で、一作目は本位ではなく、世間との乖離ができていた、その乖離をうめようとやっとの思いで撮った映像が、世間から非難され、鬱になりもはや立ち直ることができないのだと語られていた。


 彼の死後、件の心霊スポットは、呪いの地とされ、さらに事件や事故が多発するようになった。


 それにもましてネットの人間たちに”呪い”とささやかれるようになった理由があった。というのも、皮肉にも彼の死後、かれの二個目の動画は評価がバク上がりしていったのだ。


 ここに同行したカメラマン、たまにブレながらも、映像の端にうつる彼の親友はその心霊スポットにいく以前に自殺していた事があきらかになり、誰も気づかないままに、心霊映像となっていたことだった。周囲の話によらず当人もどうやら、親友の死を受け入れておらず、心霊をあきらかに鮮明に映したにもかかわらず、彼の死後、すべては明らかになったのだった。


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映像と喧嘩 ボウガ @yumieimaru

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