第6話 美女勇者とチャラい勇者の合コン③
「俺の名はイルノだ! 見ての通り戦士をやっている。隣にいるゼンツの兄貴と同じパーティーだ。兄貴と言っても、血を分けた兄弟じゃないぜ。間違えんなよ! 俺達で大魔王を倒してやったぜ。まぁ、そこんとこ、よろしく!」
合コンに似つかわしくない、フル装備の鎧を着ている戦士は手を上げ、格好を付けている。チャラい勇者はウンウンと満足げに頷いている。
俺は、貴方達バカコンビですねと思ったが、その方がライバルになっても怖くないので笑顔で聞き流した。
そして、俺は女性陣の方を向く。出来る限り爽やかな笑顔を作り、優しく丁寧に話し出す。
「それでは、女性の皆さんにも自己紹介して頂きたいと思います。では、俺の右斜め前の貴方からお願い出来ますか?」
端の席に座っているポニーテールの美女は、俺に声を掛けられ恥ずかしそうに頷く。そして、彼女は周りを見回しながらゆっくりと話し出す。
「私の名前はネッズと言います。回復士をやってます。少し性格はおっとりしているので、皆さんにご迷惑掛けるかもしれませんが、温かく接して下さい」
回復士の美女は照れている。そして、うつむいている。
――――めっちゃ可愛い。一番人気の美女勇者を狙おうと考えていた俺だったが、この子もスゴく好きだと悩み始める。
この子とデートがしたい!
俺は危なく妄想モードに突入仕掛ける。今日は司会進行せねばと、慌てて我を取り戻す。そして、冷静な感じを装い、次の隣の女性に自己紹介をお願いする。
「私は、シノと言います。魔法使いです。隣のネッズと同じパーティーです。強い前線の方をパーティーに募集しています。良かったら、お願いします」
ややルックス面では劣る魔法使いの女の子が話す。
そう言えば、このギルド主宰の合コンの目的って恋人を作るのではなかったな。確か、パーティーのメンバー募集とか冒険の情報交換の為だったっけと、俺は趣旨を思い出す。
でも、男連中はそんな事考えてねぇよ、彼女が、愛が欲しいんだと思いながら、俺は狙いの美女の勇者に自己紹介を優しく頼む。
美女勇者はコクリと頷き、口を開く。
「私は勇者をやっているカナルと言います。よろしくお願いします」
あれ、何か素っ気ないなと俺は感じる。もうちょっとアピールしてもいいですよ。むしろ、貴方の事がもっと知りたいですと、また俺の妄想が膨らみ掛ける。
あとで色々質問しちゃおうと俺はムフフと思い、最後の女性に自己紹介をお願いする。
「私の名はミツーだ。戦士をやっている。横のカナルとは同じパーティーだ。私達も優秀な回復士をパーティーに募集している。色々話をしてみて良かったら、一緒に組まないか?お願いする」
容姿としては可もなく、不可もなくのレベルの女性戦士が挨拶をする。回復士だったら、俺出る幕ないよと少し残念に思いながら、美女勇者に視線を送る。
やっぱり綺麗だ……。俺の心は君の物だ……。俺は当初の目的通り、美女勇者と仲良くなる為に話し掛ける。
「カナルさんは、どの辺りで冒険をしてるんですか?」
「え、私ですか?この辺りのダンジョンですよ。でも、だいたい冒険し尽くしたので、今度はムーア大陸に挑戦しようと思ってます」
ムーア大陸……。大魔王の城がある大陸で、最強の魔物達が住む、致死率の高い危険な大陸。
この女の子、なかなかレベルが高いんだなと、俺は少し見直す。もちろんレベルとは容姿の事ではなく、戦闘におけると言う意味でだ。容姿の方のレベルは最強クラスだよと、俺はまた変な方向に思考が暴走する。
「だったら、俺達に話を聞けよ! だって俺達、大魔王を倒したパーティーだからよぉ。スゴく詳しいぜ!」
チャラい勇者、ゼンツが俺達の会話に割り込んで来る。邪魔すんじゃねぇぞと、俺はゼンツをじっと睨む。
「貴方達、本当に大魔王を倒したんですか?とても、信じられない」
カナルは疑いの目でゼンツを見ている。そいつ、嘘つきですよ、倒したの俺ですからと、俺はカナルの綺麗な顔を眺めている。
「じゃ、俺達の強さ、見せちゃおうかな?表出てみる?」
チャラい勇者は、自分の剣を取り出し立ち上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます