第4話 美女勇者とチャラい勇者の合コン①

今夜も俺は酒場"スイケン"を訪れていた。合コンと言う戦場の中で、俺は何か答えを探し出そうとしていた。


それは、ただ単に恋人を見つけるという事なのか、人間の深層心理を知りたいのか、それは自分自身よく分かっていなかった。


今日のメンバーを俺は確認する。男四名、女性四名のお決まりの人数だ。テーブルを挟んで男性側、女性側に分かれている。


今回俺はいつもの端の席ではなく、男側中央左の席に座る。実は中央の方が話に入りやすい。つまり、女の子と仲良くなりやすいのだ。


だから、合コンのベテランは中央を位置取りしてくる。俺は先輩にそう教えられたので、今日はここに座っているのだ。


脳内にあるルックス査定システム"リトルサーク"を俺は作動させる。まずは、男メンバーからの分析だ。


俺の右隣の奴、つまり端に座っている奴は魔法使いの様なローブを纏っている。性格は大人しそうな感じだ。ルックスはややイケメンのBランクという所だな。こいつ、何か出来る男の匂いがする。隣の男を自分の経験から、少し警戒しようと感じる。


俺の左隣、もう片方の中央の席の奴は、勇者の様な格好をしている。見た感じチャラそうだ。ルックスは普通ランクのCランクだ。


そして、逆側の端の男を確認する。チャラい勇者の仲間の様だ。戦士の様な鉄の鎧を来ている。この合コンのルールとは言え、飲み会にそんな重装備いらないだろと、俺は考えてしまう。ルックス査定はイマイチのDランクだ。


俺のライバルとなるのは、イケメンの魔法使いかと推測する。このチャラい勇者とその仲間は相手にならないなと、俺は余裕の笑みを浮かべる。


続いて、最重要事項の女性メンバーの確認だ。


俺の右斜め前、つまりイケメンの魔法使いの正面の子から見ていく。ポニーテールの回復士風の女の子だ。明るくて性格の良さそうな子だ。ルックス査定は、美女のBランクという所だなと、俺はフムフムと頷く。


俺の正面の女の子を次にチェックする。白のローブを着ている。魔法使いの様だ。ポニーテールの子の仲間なのか、二人で仲良く話している。評価はすまないが、あまり良くないDランクとさせて頂こう。


俺は左斜めの女の子に目を移す。勇者の様な格好をしている。髪はセミロングだ。スゴく気の強そうな感じがする。この子はかなりの美女だ。評価はAランクで決まりだ。


最後に俺は美女勇者の隣の端に座っている女性を確認する。戦士風の女の子だ。軽めの鎧を着けている。見た目評価は普通のCランクという所だ。


俺は全メンバーを確認し、今回の合コンの流れを読む。


まず、女の子の一番人気は間違いなく女性勇者であろう。二番人気、つまり対抗馬はポニーテールの回復士の子だなと予想する。後の二人は俺の中では印象は薄い。


男側の分析を続いて行う。男の一番人気は、イケメンの魔法使いであろう。俺を含め、男三人は横一線であると客観的に状況を見る。


さて、今回俺はどう動くか?誰を狙うか?そう考えながら、周りをもう一度見てみる。


やはり、狙いはAランクの女性勇者か、Bランクのポニーテールの回復士かの二者択一となる。


自分の選択に後悔があってはいけない。一番人気にモテたいというのが男の本能であろう。俺はそう思い、女性勇者を狙う方向で動こうと考える。


他のメンバーの動向が気になる。俺は再び、周りの状況を確認する。


チャラい勇者が、女性勇者に笑顔で話し掛けている。あの顔、下心丸出しだ。こいつは間違いなく、一番人気の女性勇者狙いだなと俺は確信する。


相棒の重装備の戦士が、チャラい勇者をサポートをしている様だ。なるほど、チャラい勇者が兄貴分で、重装備の戦士が弟分かとこの二人の人間関係を推測する。


俺のライバルとなる、イケメンの魔法使いはどう動く。やはり、一番人気か。俺は気になり、奴の動向を伺う。前回の合コンで、イケメンに狙いの女の子を持って行かれている。俺は苦い経験を思い出していた。


イケメンの魔法使いは、ポニーテールの女の子に話し掛けている。二人は盛り上がっている様だ。こいつの狙いは、この子か。確かに女性勇者の席は少し離れているので、話し掛けづらい。


俺はニコリと笑みを浮かべ、動き出す。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る