いけいけ勇者様22

最上司叉

第1話

そして式は滞りなく進んでいった。


「汝永遠に愛することを誓いますか?」


「はい!!」


新郎は自信満々に答えた。


とその時新婦が泣き出してしまったのだ。


『?』


皆一瞬不思議に思ったが嬉し泣きだと思っていた。


新婦が答えるまでは。


「…嫌ですわ」


『?』


「今なんと?」


「嫌ですわ!!」


『えー!!』


「今さら何を言ってるんだ!!お腹に子供だっているのに」


新郎は新婦を説得している。


「貴方が無理やりしたんじゃありませんの!!」


『!!』


皆驚いている。


「私帰りますわ!!」


「何を馬鹿なことを言っている!!子供はどうするんだ!!」


「おろしますわ!!」


何やら新郎と新婦がもめだした。


とそこへ魔王が歩いていった。


新婦へ近づきいきなり平手打ちをした。


「何するんですの!」


「いい加減にしなさい!!せっかく授かった命をなんだと思ってるの!!」


魔王が珍しく怒っている。


「好きで作った訳ではありませんわ!!」


「それでも貴女の子供でしょ!!」


「…」


魔族の女は黙ってしまった。


「すまない…君の気持ちを考えてやれなくて」


新郎は新婦に謝っている。


「…」


新婦は黙ったままだ。


皆どうなるのか見守っている。


「分かりましたわ…子供は産みます!けど結婚はしませんわ!」


『えー!!』


皆驚いている。


とそこへ新婦の父親が新婦の側へきた。


「お前の子供は私たちが育てる、お前は勘当だ!!」


「なんですって!!どうしてですの?!」


「お前はもう私たちの娘ではない!!どこへなりといってしまえ!!」


「嫌ですわ!」


「お前をこんなワガママに育ててしまった責任はあるがもう限界だ!!」


皆固唾を飲んで見守っている。


「…分かりましたわ!!出てってやりますわ!!」


「二度と顔を見せるな!」


魔族の女は魔王を睨みつけ吐き捨てた。


「何を見てるんですの!!邪魔ですわ!!」


そして結婚式は幕を閉じた。


それが魔族の女を見た最後だった。




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