遭難したら皆に裏切れたけど僕にはあの二人がいる
ぱぴぷ
第1話
「冬馬!楽しみだね!」
「そうだね!」
僕の名前は志村 冬馬 (しむら とうま)現役高校生だ
今日は待ちに待った沖縄への修学旅行!この日をどんなに待った事か
この修学旅行で由良と距離を縮めるのが目標だ、由良とは僕のクラスメイトでもあり最愛の彼女 三上 由良 (みかみ ゆら)の事だ
付き合って一年…あまり恋人らしい事はしてこなかった…だから今回こそ!絶対キスまで行ってやる!
「冬馬、頑張れよ」
「おう!」
こいつは山本 亮 (やまもと りょう)僕のオタク友達でよくアニメやゲームの話をしている、かなりの頻度で遊んでいる友達だ
「まじで今回こそキスまでいけよ!いかなかったら焼肉おごりな!」
「わかってるって」
「んー?何話してんのー」
「いや!なんでもない!」
この子が僕の最愛の彼女の由良だ、長い黒髪清楚系の美人だ…僕は彼女に一目惚れして三か月後に勇気を出して告白したら受け入れてくれた
僕は嬉しすぎて涙が出るくらい喜んだ…そこから僕は由良だけは何があっても守ると決めた
「奏くん!沖縄着いたらどこ行く!!?」
「んーまだ決めてないや」
この超絶イケメンは 九十九 奏 (つくも かなで)僕と同じサッカー部でエースだ
8歳から13歳までスペインのクラブに所属していてテレビからも取材が来るほどに期待されている選手で僕の憧れでもある、身長183cmもあり身体もフィジーカー選手並みの筋肉を持っていて学力も毎回学年一位を取るくらい優秀だ
そして何より目を惹くのはあの顔だ
髪型はクロムランスショートで泣きぼくろがあり目は少し垂れ目気味で優しい印象を醸し出すイケメンだ…この顔にあの身体…さらに文武両道、性格もめちゃくちゃ良い
僕と奏は中学からの付き合いで中二の時に日本に帰ったきて初めて出来た友達が僕だった…部活も一緒で休日はよく遊んだりしてて僕の大親友だ
「あ〜…だり」
このダルそうにしているのは 白鷺 玲也 (しらさぎ れいや)僕の幼馴染で学校…いや地区で一番のヤンキーだ
身長は188cmボディービルダー並みに筋肉の丸みがあり身体全体が太いし分厚い…部活はやってはないがアルバイトをしていてよく飯を奢ってくれたりするいい奴だ
髪型はツイストスパイラルのセンターパートで少し強面だけど顔立ちは整っておりタイプ違えど奏並みのイケメンだ、奏は右耳にピアスが7個あるけど玲也は両耳に1個ずつで意外とあまり付けてない
玲也とは1歳からの付き合いで家が向かい同士で物心つく前からよく遊んでいた…歳は同じだけどいつも僕を引っ張ってくれて兄の様な存在だった
今回の修学旅行では由良だけじゃなく皆と仲を深めて最高の思い出を作るぞ!
ガタンッ
「え?」
飛行機が激しく揺れた
ドカッ!………ガタンッ!
「がっ……」
視界が急に暗く………
ーーー
ーー
ー
「ん……んん」
「あ!冬馬くん!起きた!」
「マジで!おい、冬馬痛むとこねえか?」
目を覚ましたら奏と玲也がいた
「……ん……ここは?」
「わからねえ、俺も気付いたらここに居てよ」
「一通り見たけどここたぶん無人島だね」
「やっぱそうか……」
む…無人島!?え…やばいんじゃ…
「そういえば皆は!?」
「あそこ」
奏が指を指した場所を見ると7.8人くらいの人がいた…その中には由良の姿もあった…良かった…
「冬馬くんと僕ら合わせて11人は生存確認ができてる、他は……」
奏が言葉に詰まっていた
「他は?」
「海の方見てみ」
玲也に言われた通りに海の方を見てみた…そこには…
「オエッ…」
無数の死体があった
「たぶんだけど僕ら以外に生き残りはいないと思う」
「だな…」
うう…そんな……最高の思い出作りをしようと思ったのに…こんな……
「まあ…とりあえず救助が来るまでどーするか考えねーとな」
「今の時代ならどこに遭難しても2.3日で救助が来ると思うからそれまで頑張ろう」
「…そうだね…落ち込んでても仕方ないしね」
なんだろう…この二人が一緒ならすごい安心できる…
「あっ……冬馬…目…覚ましたんだ」
「う、うん…由良は怪我とかなかった?」
「うん…大丈夫だよ」
由良はひどく憔悴しきっていた…無理もない…あんなの見たら誰でもああなる
「よっ!生きてたか」
「山本!」
「しぶてえな」
「うるせ!」
良かった…山本も無事だった
「とりあえず今後の方針としてこの島で食べられる物を探そう」
奏がまとめてくれるみたいだ
「とりあえず運動能力が高い僕と玲也が二人連れて三人チームを作ってあまりの5人でもう1チームって感じでいこう」
「「「賛成!」」」
「私達はもちろん奏くんと一緒〜」
「うんうん!」
「はは、わかったよ 宜しくね」
さすが奏…モテモテだなー
「私は玲也の彼女だから当たり前だけど玲也の方に行くから」
学校一の美人…如月 聖奈 (きさらぎ せいな) さんは玲也と付き合っている…羨ましい…
「けーか、あんたもこっち…心配だから」
「うん!聖奈ちゃんと一緒がいい!」
学校の愛されキャラの 多田 京華 (ただ けいか) ちゃんは聖奈さんととても仲が良くいつも一緒にいる
「んじゃー決まりだな」
チーム分けが決まった
僕のチームは僕 由良 亮 本田くん そして…康二くん…
僕は康二くんが苦手だ…学校の問題児で僕も何度か殴られた事がある、不安だな……
「それじゃあ、ある程度食材とか他に使える物が集まったらまたここに集合で」
ーーー
数時間後…
「おい!遅えぞ!」
「ご、ごめん…僕体力なくて…」
「はあ…ほんと使えねー」
「マジで足手まといなんだけど」
本田くんと康二くんが僕の事を責めてきた……でもこれは反論できない…
「……………」
「なあ、由良ちゃんこんなんより俺の方がいいっしょ」
「……そうだね」
え…由良?なんで……
「へへ、だってよ…」
「………」
うう……悔しい…
「ま、いい感じで色々集まったし戻ろーぜ」
その後集合場所に集まり皆で協力して食べ物を作って食べしばらくしてから寝た
「ん……おしっこ」
人が居なさそうな場所に行き用を足していると……
「ん……んん!」
声が聞こえた…けど僕はそれが気にならないくらい眠くて寝床に戻った
次の日…また食材集めが始まった…昨日はダメダメだったから今日は沢山いいとこ見せるぞ
「おい!あそこになんか食えそうな木の実があんぞ」
「お、マジじゃん…誰行く?」
よし!ここでいい所見せよう!
「僕が行くよ」
「あっそ、んじゃ宜しくー」
僕は木登りが少し得意だ、小さい頃は玲也と木登りしてたからだ
よし…あと少し…
パキッ
え…
足元にある枝が折れて僕は木から落ちてしまった
バキッ……
「あ"あ"っ」
やばい…絶対…折れた
「はあ…やっぱお前使えねーわ」
「つか、こいつ足折れてね?」
「うわ、まじじゃん」
「もうこいつ居ても意味ねえだろ……置いてこーぜ」
え…待って…
「ほら、由良行こーぜ」
「うん」
え?なんで?僕を気にかけてくれないの?
「由良…待って…」
「おい、うるせーぞ…由良は俺の女になったから気安く話しかけんな」
「え…」
「おめえみたいな顔も女っぽくてナヨナヨしてて頼り甲斐がない男は嫌いなんだとよ」
嘘だ…
「ゆ、由良…なんで」
「ごめんね…冬馬…私康二くんと付き合うね」
「そんな……」
「ぶははは!!由良ちゃん頂いちゃいましたァーー!」
「し・か・も!!昨日の夜…由良ちゃんの処女も頂いちゃいました!」
………は…
「由良?嘘だよね?」
「……ごめんね」
「うがああああああ!!」
僕は発狂しておかしくなってしまった
涙が…止まらない……
「ぶははは!マジ笑える!お前みたいな陰キャはこういう運命なんだよ!バァーカ!」
あ…ああ
「亮……助けてよ!」
「いや…無理…さすがに今のお前助けてたら俺まで死ぬわ…ごめんな」
……亮…
「んじゃ…多数決によりお前はこれでお別れでーす!そんじゃーな!」
「…………」
四人が居なくなってしまった…
かなりの時間…ずっと泣いていた
……僕…なんのために生きてるんだろう…楽しい修学旅行だったはずなのに……こんな…最悪な……うわあああ!!
修学旅行に行けず皆死んじゃってこの絶望的な状況で骨折してさらに大好きな人を取られちゃった……はは…
もう涙が出ない……頭の中ぐちゃぐちゃだ…
僕は近くにあった杖になりそうな枝を見つけ歩きだした…
「痛っ」
足が痛む…けど進まなきゃ……
視界がぼやけてる…今どこにいるんだろう…
ガッ……ジャララ
え…足場がない………あ、落ちる……
そっか……僕死ぬんだ……誰にも見つからず孤独に…
皆に裏切られ…好きな人は奪われ…散々だったな
お父さんお母さんともう一度会いたかったな
また玲也と一緒にご飯食べに行ったりゲームしたりしたかったな
奏とサッカーの大会でもう一回優勝したかったな…優勝したあとのカラオケ大会…楽しかったな……
ごめんね…僕…もう駄目みたい…
来世がもし…あるのなら…また二人と友達になりたいな
ーーー
ーー
ー
ガシッ!
僕の手首を力強い手が掴んできた
「っっぶねえ!間に合った!!」
そこには幼馴染の玲也がいた…
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