DEMON LORD DESTROYED
無限にも等しい時を経て、数え切れないほどの攻撃を受けた有明は時間の感覚を失っていた。分かるのはサタケのライフだけだ。
-----------------------------
サタケ
17
[ ▓▓▓▓▓▓▓ ]
-----------------------------
サタケの体は痩せ細り、果てようとする重病の老人を思わせた。
有明は、そんなサタケをじっと見ている。眼差しには慈悲すらも感じられた。
「ぼくちゃん、ぼくちゃんは……すくわれたい……だれか、たすけて……」
サタケは小枝のような手を掲げ、細い棒きれを空中に生成する。手を伸ばしても棒を掴めず、前のめりに倒れた。
-----------------------------
サタケ
0
[ ]
-----------------------------
サタケの体はモンスターのように灰となり、溶けて消滅した。
「お疲れさまでした」
有明の言葉は冷淡にも思えたが、心中では死にゆくサタケの安らかな眠りを祈っていた。看取り人の心境と同じだ。
死すべき定めの者をいくら叱咤激励しようが、罵倒しようが、どうしようもない。ただ祈るしかない。安らかであれと願うしかない。
だから「お疲れさまでした」以上のことが言えない。
何もない空間、ダンジョン「
ダンジョンは大地震のように揺れ、あちこちの亀裂は音を立てて大きくなる。割れ目の奥は真っ暗で、深淵のように見えた。
「終わったのかな」
有明はほっと溜め息をつき、へたり込んで倒れ、目を閉じた。
本当に疲れたと思いながら。
コンクリートが割れるような音を立て、ダンジョンが壊れていく。天井は崩壊し、床は砕け、広がる亀裂が有明を飲み込んだ。
意識が遠のくのを感じつつ、有明は思った。
お父さんとお姉ちゃんに会いたかったなあ――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます