見えないモノは、見えないままでいい

春羽 羊馬

第1話 見えなかったモノ

 耳で聞き取った音。舌で感じた味。

 これら全ては、一般的いっぱんてきに人の眼で見ることは出来ない。しかしある突然とつぜん、それらの見えないモノが見えた場合、貴方あなたならどうしますか?

 見えたモノを調べる?それとも見えていないフリをする?

 すで手遅ておくれながら言わせて貰うが拙者せっしゃは、拙者自身せっしゃじしん好奇心こうきしんうらむよ。

 (後者こうしゃを選べば良かった。と)

 何故なぜかって?

 それは拙者こと目録もくろくが、自身の左手薬指ひだりてくすりゆびむすばれていた赤い糸を辿たどった結果、拙者のいまの前には、赤黒い血にれた1人の少女が立っていた。

 少女1人。そう少女1人なら良かったんだよ。赤黒く濡れてようがどんな状態じょうたいであれ1人なら、1対1の状況じょうきょうに出来る。しつこく言うが、そう1人ならだ。

 拙者の目の前にいるその少女の足元には、彼女と同じか?いや、それ以上に赤黒くまった何らかの生物とみられる残骸ざんがいが、いくつか転がっていた。

 そしてなぞにもその少女の左手薬指には、拙者と同じように赤い糸が結ばれていた。

 その赤い糸は、拙者と少女をつなげていた。

 

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