4章 裏カジノ姫 サーキュとの締め付けチェス
4章第1話 借金金貨200枚の裏カジノ姫
スプリング王国には未だに闇組織が存在し、違法のカジノが地下にある。
その地下で思う存分にギャンブルを楽しむ20代前半の女がいた。
その女の名前はサーキュ。ピンク色の髪色の長髪で美人だが、タンクトップにショートパンツと男らしい格好。
美しさを求めているのか、美容とギャンブルで金を使いまくり気がつけば借金200枚。
仕事をしても客や同僚と揉め、長続きせず酒浸り。
どう考えても、現実世界にしても異世界にしても社会のクズだ。
今日のサーキュは裏カジノのスロットで大負け。借金を増やす結果に。
帰り道に借金取りと思われる闇組織の商人がやってくる。現実世界で言う闇金業者、彼らは黒いローブを被ってナイフなどを持っている。彼は暗殺能力を持っている。商人であると同時に暗殺者という職業を持つ者。見つかればひとたまりもない。
しかし、サーキュは恐れない。
「おうおう、ギャンブルで大負けか? かわいそうなお嬢ちゃんだが、だからといって借りた金は返さねえとな。社会の常識だぞ」
「お金か。どれくらい返せばいい?」
「なめとんのか! 金貨200枚借りてから半年! おめえの借金利息を合わせれば金貨2000枚じゃあ!」
「バカなことを。そんな大金あるわけないじゃん」
「じゃあ体か命で払わねえとなあ」
商人は襲ってくるがサーキュは手持ちの短刀で商人の右腕を斬り落とす。
「ぎやあああ! この小娘やってくれたな!」
サーキュは容赦なく商人を短刀で斬り刻み息の根を止める。
「うざいな! あんたに返す金はない。騙されたあんたが悪いんだよ。襲ってきたら正当防衛で殺す。これ常識だあ!」
サーキュは根っからのクズだった。金を借りては返さず、取り立てに来た人を容赦なく殺す。
お金を借りて取り立てに来ても殺せば解決だと思っているのだろう。そういう奴はいずれ罰が当たって死ぬと思うが、それが中々死なない。
闇組織の中でサーキュを殺したいと思う者は多いが、この女はギャンブルもゲームもイマイチなのに戦闘は強い。だから倒せない。
金を無心したりたかるなんてことも簡単にする。
しかしサーキュの借金はなくなるどころか金貨200枚を別のところで借金している。
サーキュの性格からして返す金がなくなっても別のところから借りて返し、手に負えなくなったら殺し、また借りる。この自転車操業を繰り返していた。
そんなだから人から恨まれるし、指名手配になるわけだ。
だからといってサーキュにギャンブルと酒をやめるという選択肢はない。
あと煙草も吸っている。これは「飲む」「打つ」「吸う」のクズ人間の象徴。
おまけに人殺しで金を貯めては買収工作も行っている。それで仲間を増やして身の危険が及ぶと仲間を盾に自分だけ逃げる。これぞサーキュの独り勝ち。
こんなことだから信頼などない。しかしサーキュは気にしない。サーキュはそのような人生を楽しんでいるのだから。
そんなサーキュが商人を殺した後、安宿で寝る。サーキュはホームレスなのだ。ホームレスであっても銭湯には行く。また、寝る前に酒と煙草。また、サーキュは命を狙われている。
そのせいであまり寝ることなく安宿をすぐに抜け出している。
人生ハードな生活だが、それはサーキュがクズだから仕方がない事。
そんなサーキュはまだ昼だというのに表のカジノでスロット。夜は魔物同士のバトル。
シンプルにどっちの魔物が勝つか金をかける勝負。
かけた魔物が勝ったらかけた金の倍の金がもらえるというもの。魔物の弱さによっては10倍もありえる。
そんな賭け事をやっているうちに金はなくなる。当然のことだ。
こんな暮らしが毎日続いてはサーキュ自信も泣きたくなる。
サーキュは安宿で1人酒を飲んだ後、借金地獄で人から信用を失っている自分をせめた。
「何なのよ。どうしてこんな。私はクズなの……こんな生活はもういや……」
感情的になり人との殺し合いはよくやっている。そして冷静ではいられない。お金がない生活。借金だらけの生活というのは何とも理不尽でなんとも辛い事なのかと思う。
それもこれもサーキュの両親のせいだ。サーキュ自信は初めからクズというわけではない。サーキュの父親が闇組織の人間で、スプリング王国の当時の王であるウィングによって粛清された。
サーキュの父親が闇組織の人間だったことで民から後ろ指を刺され、母親は自殺。サーキュは孤独な人生を送った。
親戚に育てられるも仲良くなれず、サーキュは悪くなってギャンブルに手を染めては悪事を繰り返した。
違法薬物を闇組織が売っていたら手を出していたし、スプリング王国の兵士に何度も捕まって拷問を受けたこともある。
そのたびにサーキュは強くなろうと思い短刀を購入した。護身用で襲ってくるものを返り討ちにするためだ。
それをやってみれば楽しいものでサーキュはそれ以降もクズな人生を楽しんでいた。
しかし、そんな日々を繰り返していては時々自分のクズであることを悲しくも思ってきたようだ。
「どうして私は生きているの。どうして死にたくないの。どうしてこんな生活を送っているの?」
そんなことを安宿で1人、自分の心に問うていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます