3章第10話 酔いつぶれからの休み
ウィンドウとアマクサ王子のイチャイチャが続く夜。私はすっかり眠りこけた。
それからどれくらい時が経っただろうか。私が目を覚ました時には朝になっていた。
ウィンドウとアマクサ王子はお互いに全裸で抱き合ったまま寝ている。酔いつぶれて行為を行った結果疲れ果てたのだ。
夕食のビールや飯はまだ残ったまま。
そんな時にゴーケツが部屋に入ってくる。
「おや、いいお目覚めで」
「いや……そうでもないよ」
起きてみれば頭が痛いし腹も痛い。気がつけば私は全裸でティアラも被ってない。だから回復効果などない。
そんな裸姿を見られたのだからたまったものではない。
「いや! 見たの」
「いや……あの……これは」
「あっちいけ!」
私は思わずゴーケツに枕を投げつけたり空き瓶を投げつけたりした。それくらい裸を見られることは恥ずかしいことだった。
ドレスとティアラを身に着けたことで酔いはすぐに冷め、頭の痛みもなくなり魔力も回復する。
ウィンドウとアマクサ王子は起こさずに私はゴーケツのいるキッチンへ向かう。
ゴーケツは1人で食事をしていた。私はそのゴーケツに話しかける。
「前いいかしら?」
「はい、あの……レーモン様、先ほどは失礼いたしました」
「いいのだけど。だって酔っていた私が悪いんだもん」
「そうですか、ところでアマクサ兄貴はいかがなさいました」
「ウィンドウとイチャイチャして全裸でまだ寝ている。むしろ謝らなければいけないのはこっちかもしれない」
「お気になさらず。その日は思う存分楽しめるようにしましたので。それにアマクサ兄貴の困った行動は慣れております」
「そうなんだ。ゴーケツは苦労人なんだね」
いかつい見た目の男で盗賊らしい風貌だが、その性格は真面目人間。アマクサ王子もそんな真面目人間を部下に出来て幸せ者だと思う。
私は軽く牛肉のステーキを食べて朝食を済ませると、ウィンドウとアマクサ王子の悲鳴が聞こえる。
「「ぴやああああああ!?」」
察しはつくが私は2人のところへ駆けつける。
察しの通り2人は裸で抱き合っていたので驚いて離れていた。
ウィンドウは酔いもさめたか顔を赤くして涙目を浮かべる。
「ううう……どうなっているの?」
私はウィンドウに話しかける。
「どうしたのウィンドウ?」
「レーモン、私は気が付いたら裸でアマクサ王子と寝ていた」
「いや、ウィンドウ。結構アマクサ王子と私とイチャイチャしたじゃん」
「そうだっけ?」
どうやらウィンドウは覚えていないようだった。記憶が残らないタイプなのだろう。
そしてアマクサ王子も記憶が残らないタイプのようだった。
「俺は一体?」
私はアマクサ王子に近づいて話しかける。
「あの……覚えていませんか。アマクサ王子が認めてくれるなら、結婚してもいいって」
「えっ、そんなことレーモンはいったっけ?」
「言いました。忘れたのですか?」
確認のためにアマクサ王子はゴーケツに確認する。
「ゴーケツ、俺はレーモンと結婚のことを認めたか。というかレーモンはOKを出したのか?」
「はい、出しましたしアマクサ兄貴も認めてます」
「そうか」
「出会った時に結婚を申し込んだのはアマクサ兄貴です。レーモン様がOKを出したならよろしいのでは?」
「アハハ、酔っているとはいえそれなら……」
アマクサ王子がにやついた。下心が丸出しだ。とはいえ夜中は酔っているとはいえキスをしたり抱き合ったりとイチャイチャしていたわけだからなんともいえない。
今日はゆっくりと休んだ方がいいと私は思った。
夜になればアマクサ王子の酔いも冷めてきた。そこで私は提案する。
夜になる前に私はチェス盤とチェスの駒を見つけた。この国でもチェスは流行っていたようだ。
私は暇だと思っているアマクサ王子にチェスの対戦をお願いする。
「アマクサ王子、一緒にチェスはどう?」
「チェスか。この屋敷にあったんだな」
「これまでやってこなかったのですか?」
「この国が滅んでからはな。だが、昔は結構やったぞ。唯一の娯楽といえるもんだ」
この世界の人もチェスは楽しむものだった。何しろ私も転生前に何度か趣味でやったし、教会でも何度かやった。
駒の動かし方や工夫を知り尽くしどのようにしたら相手のキングの駒を取れるか、つまりチェックメイトになるかを学んでいた。
この世界では戦闘で強くなるだけではなく、強運に神業のようなことも必要だと思いゲームやギャンブルも強くなった。
この世界にもカジノはある。RPGゲームでもカジノなんてのがあってカジノで貯めたコインというものでアイテムを買えるというものがあった。
あくまでもギャンブルの話であるため、賭け事はあまりいいものではない。しかし、運や神業で勝負する敵も現れるかもしれないため、こういったゲームでの勝負事も何度かやっておきたい。私はそんな風に思っていた。
そしてその時はすぐにやってくる。
私は何度かアマクサ王子とチェスをやったが私の全勝だった。
アマクサ王子が弱いわけではなく私のチェスが強かった。相手の心を読んだチェスが出来ること。これが私の勝因だ。
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