3章第5話 アメ地区
次の日、地下室には窓がなく、日差しがない中で目覚めたため、もうどれくらい寝たのか私もウィンドウも分からない。
とりあえず私はウィンドウを起こさずに風呂に入る。そして風呂から上がる。
その時にはウィンドウも起きてた。
「起きていたんだ」
「うん」
「じゃあ私もお風呂に入る」
「そういうと思ってお湯は残しているよ」
お湯は汚れを浄化する魔法を分かっていない為、一度鉄の桶に穴をあけて抜いた。
そして穴をふさぐ風呂栓を作って穴をふさぐ。
再び水魔法で水をためて火魔法で熱を加えてお湯にする。
そんな感じで朝風呂を楽しんだ。
ウィンドウが風呂に入っている間に私は朝ごはんでウィンドウが用意したトマトを食べる。トマトはちゃんと保管していたようで私の分もあった。
風呂から出たウィンドウも風呂から出ると、朝ごはんのトマトを食べた。
「ウィンドウ、このトマト生で食べてもおいしい」
「うん、あの居酒屋のトマトは生でも絶品」
「分かる。今度は冷やしトマト食べてみたいんだよねえ」
そんな思いで今日も頑張ろうと外へ出てみたが、太陽の位置からしてもう昼だった。
よほど疲れて寝ていたのだろうと思った。もしくは暗いところで外が晴れても暗いままな場所で寝ていたため朝になったかどうか分からなくなったのが原因なのか長く睡眠してしまったようだ。
私とウィンドウはそんな気持ちで外へ出たが、やはり外はミイラやゾンビ、おまけに巨大ハエに骸骨と臭いところに生息する魔物ばかり。
結果的に言えばゾンビの魔物やハエの魔物がいるのはこの国が滅んだ原因が異臭漂う争いごとがあったせいというもの。
血の匂いに毒の沼地。ただ単に国が亡ぶだけでここまで酷くならない。
魔物に襲われた国という証拠だろう。
私とウィンドウはそんな魔物を倒しながら先へ進んでいく。
休憩しながら進んだ結果、アメ地区というメサイア国の地区に入る。
そこは魔物がほとんどおらず、私とウィンドウは普通に入っていく。
当然それを私は不思議に思う。
「ねえ、ウィンドウ。魔物がほとんどいないけどどうしてだろう?」
「さあ、私もメサイア国のことはあまり調べていなくて。でも魔物が少ないなら何か聖水とかによるものがあるんじゃないかと思う」
魔物があまりいないという謎も含め探索をしてみる私とウィンドウ。
そんな時にウィンドウは人の気配を感じた。
「あの先に人の気配がする」
「むむっ?」
気になって私も警戒した。するとそこに現れたのは上半身裸で短パンの若い男性。
私はとっさに変質者だと思った。
「ぎやああああ! 露出魔!」
ウィンドウは黙ってただドン引きした目の状態で男性を見る。男性は誤解を解こうとする。
「いや違うって。怪しくないから」
「何言ってんの。か弱い女の子の前で、裸で現れるなんてどう考えたって露出魔の変態だろうが!」
「自分でか弱いって……俺はこの国の王子だ。本当だ」
どう考えたって信じられない。裸の王様は聞いたことあってもこんな王子はさすがにない。
「そんな露出魔の王子様がいてたまるか!」
王子様に出会うことは私にとって願ったりかなったりだがこのような出会い方はない。
だからこそ男っぽいツッコミを繰り出す私なのだが、騒ぎを聞いたことで魔物が次々とやってくる。それにウィンドウが反応する。
「レーモン、魔物が」
「そんな……」
ゾンビは既に100体はいる。ショットガンで切り抜けられるかの状況。
また、私は剣か薙刀があれば無双で蹴散らせるがそんなものは今ない。
どうするかの状況で動いたのが裸の男性だった。
「ピンチのようだが、信用を得るためにやるっきゃねえな」
男性は背中に装備している剣を抜いてゾンビに立ち向かった。
私には動きは見えるがおそらく普通の人には早く見えるはずだ。
素早い剣さばきでゾンビ達を倒していき、ゾンビ達はバタバタと倒れていく。
「何体いようと弱ければ俺の敵じゃないぜ」
あっという間に100体いた魔物を撃退した。
私は彼がすごいとしかいえなかった。
「どうだ、これで信じてもらえたか?」
ウィンドウはただ真顔で頷くだけだった。私はツンデレな気分になりながらも返事する。
「まあ、いいんじゃないの? 信用はしていないけどね」
ツンデレになってしまうのはこの男性の性格からしてのもの。上半身裸の異常者を見ると信用しきれないというか仲良くなっていいのかという事。そして王子様だったら仲良くしたいという気持ちが複雑に絡み合ってツンデレな態度をとってしまうというわけだ。
だからこそ、彼から見て私はツンデレお姫様って思われた。
ちなみに彼は、ツンデレお姫様は好みのようだった。
「君、いいね。名前なんて言うの? 俺はアマクサ! この国の国王だった者の甥っ子だ」
「甥っ子……王様の親戚は王子様じゃないんじゃないの?」
「国王の子供達は既に離散してこの国で国王の血筋は俺しかいねえ。よってこの国の王子ってわけだ! わああっはははははは」
ゲラゲラと笑うおかしな王子様だったが、そういうむかつくところが嫌いになれず、むしろ好きになれる。
だからアマクサ王子に対して私はツンデレになってしまうのだろう。
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