3章第4話 地下室を個室として住む

 地下室を掃除して2人専用の個室に変えた私は綺麗に汚れを洗う魔法で洗った布団を、布を乾かす魔法で乾かした。


 洗濯魔法は学んでいたことで水魔法を研究して水洗いをし、洗濯物などの布を乾かすのは風魔法と火魔法を合成して作った。


 魔法もイメージや合成でどうにか出来るという事をこの世界で学んできたのだ。


 ただ完全に魔法で部屋を綺麗には出来ない為自力でやらなければいけないものは、自力でやった。


 そのおかげで私とウィンドウはベッドで寝込むことが出来た。


「レーモン、このお布団いいねえ」


「私が用意しただけだよ」


「それがいいの」


「それでさ、私はこれから風呂を用意しようと思うの」


「こんな場所で風呂なんて出来る?」


「魔法を駆使して出来るよ。風呂桶があれば」


「風呂桶は貴族とか王族にしかないわ。スプリング王国では温泉に一般市民でも入れるから問題ないけど」


 スプリング王国の一般市民の家に風呂はなくても、温泉に銭湯に行くような感じでいっているのなら、私が転生前にいたアパート暮らしの人間と同じ感じの生活かと思った。


 それに対してこのメサイア国は水道もなければ井戸も汚くなっているはず。


 魔物の異臭があればなおの事だろう。しかしそんなことは私には関係のない事。


 水は魔法でどうにかなる。そして風呂についても水魔法と火魔法でどうにかなる。


 私はまず地下で小さい部屋を見つける。そこはまだ掃除していないが、そこを掃除した。


「レーモン、そこで何するの?」


「風呂場を作るの」


「風呂場?」


 レーモンはまず部屋を掃除する。


使えそうな鉄の桶をウィンドウと協力して部屋にもっていく。


 女の子の力では持っていくのは辛いと思うが、それは人間の場合。猫耳の亜人であるウィンドウの怪力は人間の男並みで、重いものを持てるくらいに鍛えている私と一緒に鉄の風呂桶を持ち上げて息切れすることなく部屋にもっていった。


 部屋の換気のためにドアをカーテンにするなど工夫した。


 そして鉄の桶を掃除すると水魔法で水を入れて火魔法で水を温めた。


 これでお風呂は完成した。


「ウィンドウ。お風呂出来たよ」


「本当に出来ちゃった。こんなこと出来るなんて。魔法が使える人なんて帝国とかでも一握りなのに、ここまで使いこなせるなんて」


「いや、結構応用とか工夫とかしただけで。魔法で楽しいことしたいなって」


「そんなことで魔法学ぶって……」


 ウィンドウも呆れたものだが、私と一緒に風呂に入った。


 洗い物用になるのか石鹸があったため、私とウィンドウは洗い場にあった石鹸を使用する。


 石鹸は汚れていたため水魔法で洗って使えるようにした。


 ウィンドウは気持ちがよさそうだった。


「ふええ、こんな場所でお風呂に入れるなんて思ってなかった」


「どうかな?」


「いいと思う。でも、夢みたいなことだって」


「夢かな?」


「しばらくお風呂なんて入れないって思っていたから」


「そうだったんだ。いくらでもお風呂には入らせてあげるよ」


「楽しみだね」


 ウィンドウは猫って感じで気持ちよさそうだった。クールな感じに思えて白猫の亜人。猫っぽい性格はある。


 だからこそ風呂が好きなんだともいえるし、体を洗ってあげたらもっと喜ぶんだと思った。


「まだまだ、石鹸で体を洗ってあげるよ」


「石鹸があった」


 ウィンドウは喜んでいる感じだ。私はウィンドウの体を石鹸で洗って風呂桶のお湯で洗い流した。


 私も石鹸で体を洗った後、ウィンドウと風呂場を出て夕食を食べる。


 夕食はウィンドウが持ってきたお弁当。そのお弁当はおにぎりと卵焼き、焼きサバといった感じだ。


 私はそれらを完食して自分用の歯ブラシで歯を磨いてパジャマに着替えて寝る。


 ウィンドウも弁当を食べ終えると歯を磨いて黒いワンピース下着に着替えて寝るのだった。


 寝る時に私とウィンドウは隣同士。別々の布団で会話する。


「レーモン、今日は正直大変だった」


「それはごめんなさい」


「怒ってない。何よりもお風呂を用意してくれたり、気持ちい布団を用意してくれたんだもの。怒る方がおかしい」


「うん……」


 私は女の子に感謝されるのが嬉しかった。こんな私が感謝されるなんて中々ないこと。


 だから感謝されてうれしいはずがない。


「レーモン、私にできることない?」


「出来ることなら、ここを拠点にご飯でも探してみる?」


「ご飯よりも温泉を探すべき」


「温泉かあ」


「こんなに倒壊しているんだもの。どこにいっても穴掘り放題だし、温泉が出れば王子様が喜ぶ」


「いいアイデアだね」


 確かにウィンドウが考えている事は納得いく。


 ストーム王子は今温泉を求めている。しかも従弟であるガーゴイルが先に発見すれば経済でストーム王子が圧倒的に負けるだろう。


 そのようなことはウィンドウも望んでいないことだった。


 なんとかそんな状況を打開するために少しでも多くの温泉を手に入れることはウィンドウにとって願っている事だった。


 温泉を探すことについては私も賛成だ。なぜなら私も美容だとか疲労回復の効果を持つ温泉に興味があって入るだけでも気持ちよいからである。

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