1章第3話 成長して才能を開花する。
5歳では大人に勝つのは無理だった。しかも集団でパイナは襲ってきたのだから私はボロボロになる。
「どうしたのよ? まだまだこんなもんじゃないでしょ?」
私は必死になって気合で踏ん張るが立ち上がれない。とはいえ、私には耐久力があったのだろう。
パイナ達に疲れが見え始めたところで私はフラフラになりながらも身軽さで反撃。
パイナ達を圧倒する。
「なんなのよ。どこからこんな!」
降参したパイナ達は一目散に逃げだす。その時には夜になっていた。
帰ってきたときにお母さんは私の大怪我を見て驚く。
「どうしたのよレーモン⁉ その怪我? 何があったの?」
「お母さん……やったよ……お姉ちゃんに……勝った……」
そう言って私は意識を失った。
次に目が覚めた時、私は体が動かなかった。パイナ達にやられた時の怪我が酷かったせいだ。
誰かの喧嘩する声が聞こえる。
それは両親がパイナに対して私に暴行を振るった事や遊んでばっかのことなどの内容だ。
私はしばらく怪我で立ち上がれない生活を送ったが、お母さんの協力で本を読むことが出来た。
お母さんも勉強熱心な私を褒める。
「怪我をしても本を読むなんて偉いわねえ。勉強熱心なら将来は発明家? それとも王族に嫁ぐのかしら?」
私はお母さんに対して質問をする。
「私に畑仕事を継がせるんじゃないの?」
「そう思っていたけど、勉強熱心なら畑仕事よりも他の夢を与えたいと思う。畑は他のお姉ちゃん達の誰かに継がせるとしましょう」
「でも、お姉ちゃん達は他家に嫁いでいるんじゃ?」
「それもいつかは離縁になるわ。お家の危機とか嫌がらせで」
お母さんの話を聞いたところ、どうやら国は乱れに乱れているらしい。
魔王率いる魔物の襲来に逆賊による襲来。闇組織などといった者達があちらこちらで好き放題行っているためこの国の滅亡は時間の問題なのかもしれない。
時が経って私の怪我が治り、畑仕事に専念できた。パイナを見なくなったがそれについて私は何もお母さんには聞かなかった。
察するにパイナは両親と喧嘩して家を出て行ったってところだろう。
女の子になったから美容を求めて可愛いお姫様になりたいと思っていたが、そんなことを考える暇はないようだ。
そして5年の時が流れる。
私は10歳となり檸檬畑をはじめ、野菜畑のいくつかを任されるようになった。
私に才能があると思った両親が畑仕事を任せたのだろう。しかし、この頃になると魔物が町に現れるようになった。
魔物と言ってもスライムやアリの魔物であるキラーアントという弱い魔物だらけだった。
ネズミの魔物であるブルーマウス、お化けの魔物であるゴーストなど。
弱い魔物であふれた。
最近では子供でも戦闘を行うようになり私も武器を持って戦闘を行う。
お小遣いを節約し続けた私は武器屋で銅の剣を購入し、鎧や盾に帽子。どれも皮で出来た弱い防具。
それでも弱い魔物と戦うには十分強い装備で私は立ちはだかる魔物を次々と撃退していく。
魔物との戦いは転生前のMMORPGをやり続けたことで慣れている。
それに生き残る方法だって知っている。
魔物に攻撃されても痛みはなく、余裕で魔物達を倒し続ける。
そのおかげでお小遣いが溜まっていく。
そんな私の戦いぶりに町の人は私を褒めたたえる。
「まだこんなに小さいのに魔物相手に怯まずに戦えるなんて勇敢ね」
「レーモンちゃんは読書が好きで勉強が出来ておまけに戦闘も強いなんて。まるで勇者だ」
勇者は流石にいいすぎという感じもするが、転生前の私は勉強嫌いでもこの世界の勉強はまるでゲームのようで、私はゲーム感覚でこの世界を楽しんでいる。
戦闘していくうちに様々な魔法も覚えた。
回復魔法の初級、ヒール。火炎魔法の初級、ファイア。氷魔法の初級、フリーズ。
以上のような魔法を唱えることが戦闘経験と魔法に関する本を読んで使いこなせたのだ。
しかもこの時の私は、スライムを数えきれないくらい倒してきたためかスライムが落としていった「おいしい水」というアイテムを獲得していき、ファイアの魔法も使える。
これはつまり、風呂に入れるようになるというもの。あとは風呂釜を用意すれば問題ない。
風呂釜になるものがないかいろんな本を読んで調べたところ、ドラム缶がこの世界にあるようだ。町の情報で魔物達によって廃墟となった場所にドラム缶があるため、私はそれを持っていく。
そのあたりにも弱い魔物しかいないため、戦闘は問題なかった。ドラム缶は重いが荷車で持ち帰れば問題ない。
私はドラム缶を持って帰ると、レンガを並べてその中央に木材と草を入れる。その上にドラム缶を置いて大量のおいしい水を入れる。
後はファイアでレンガの中央に入れた木材と木を燃やせばドラム缶風呂が出来る。
簀子も作ってドラム缶風呂に入れ、ドラム缶風呂に入るための段差も作った。
あとは風呂に入るだけだ。
異世界で初めての風呂に入れて私は満足。これにお母さんは驚く。
「まさか……ドラム缶やおいしい水に魔法でお風呂つくっちゃって」
「気持ちいよ。お母さんも後で入りなよ」
「いいの? こんなの毎日入れるの?」
「またスライムを倒しまくっておいしい水を手に入れれば出来るよ」
私は風呂で美容を目指せるようになった。
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