南方戦争17
「『神命至令・雷霆神技』」
燦然と耀く雷を纏う幬雷覇天。暴虐的な力が込められたそれを、雷神はアーレスティバイレへと振り下ろし、
とぅぉぉぉぉぉ────ん
「雷神。相変わらずの戦闘狂だな。少しは話し合いでも試みようとは思わないのか?」
片目を瞑った男に、拳一つで相殺された。
「お前はお前で相変わらずだなァ。ミロクゥ」
雷神が嗤う。やっと骨のある奴が来たと。
「どういう風の吹き回しでお前が来たのかは知らねェが、あの時の借りは返させて貰うぜ?」
β最後のイベント、『最強決定戦』にて、雷神はミロクに一度敗れていた。開幕直後に放たれた範囲攻撃スキルによって、消しとばされたからだ。
だが、今回はそうはいかない。
「あんときの会場は狭かったからなァ。こうして広々とした場所でお前と戦えるとは願ってもねェ話しだ。
ああそうそう。話しで思い出したわ。話し合い?んな面倒なこと、する必要なんざねェだろ」
ドンッ!!!!
爆音をかき鳴らし、雷神がミロクへと肉薄する。
くぁぁぁぁぁぁ──────ん
「野蛮だな」
「お生憎、オレはか弱い本人格を守る為に生まれた存在だからな」
ドドドドドドド!!!!!
雷神が槍による連撃を放ち、落雷を落とす。そ一撃一撃が生半可な存在では消し炭になるであろう威力を持ったそれを、ミロクは4本の腕であしらうようにして捌いていく。
「無傷っつうのは心にくるもんだなァ!?雷太鼓、『律動』!!!!」
ドォン!!!
雷神が背負う6つの小太鼓が、一斉に鳴った。雷神の雷が急激に威力を増していく。
「『雷槍無双』『紫雷』」
バヂヂッッッッ!!!!!!
幬雷覇天へと渦巻く稲妻が、紫雷へと変わる。破滅を思わせるその一撃を、雷神はミロクへと躊躇なく放った。
くぁぁぁぁぁぁ───────ん
そした、弾く。
「スキルぐらい使えや」
雷神はそれを見越していたかの様に絶え間なくスキルによる怒涛の連撃を繰り出す。
「使って欲しいなら使うが、お前は死ぬぞ?」
若干の心配が籠ったその言葉に、雷神がキレる。
「んなら使ってみろやァァァ!!!!」
雷神の服装が変わる。シズクの性格が反映された、おとなしめだけれどどこか可愛げのある服装から、虎柄の短パンと胸当てへと。
神具、雷娘の装い
感情のボルテージの上昇につれ、自身の雷系統の攻撃の威力を上昇させる。 上限、1000%。
「滅龗雷神!援護しろ!!」
「使えと言うなら使おうか」
パンッ!!
着々と高火力の攻撃を放つ準備を整える雷神を前に、ミロクは気にも止めずに2本の腕を合掌させる。
「『
ミロクの顔が3つに増え、腕が6本へと変化する。
『阿修羅道・阿修羅』
1時間の間、自身の処理能力3倍、攻撃力10倍、6回行動を行う。
「『神命至令・雷霆神技』『神命至令・絶鎗霧雷』『神命至令・戒廃紡靁』」
滅龗雷神をHPタンクとして放たれる超高火力の連撃。その桁の外れ様は、遥か上空で放たれていながら余波だけで砂漠の砂を巻き上げ、地面に陥没をつくる程のものだった。
が、
「んまぁこれで無傷って程硬くはねェのは知ってるが、普通に生きてんのはムカつくなァ?」
ミロクは腕のうち3本と、右側の顔一つを失うも危なげなく立っていた。
「たかだかこの程度で勝ったつもりだったのなら、吾を甘く見すぎだ。知ってるとは思うが、」
ミロクが残った腕のうち一つを腕を突きだそうとしたのを見て、雷神は一気に距離をとる。
とぅぅぅぅぅ──────────ん
「吾の攻撃は
ミロクが再び合掌する。
「『阿修羅道・千手千眼観自在菩薩』。先ほどは連撃に合わせて攻撃力を上げた。が、手数を増やせばどうなるのか」
ミロクの顔が一つに戻り、ゆらりと、ミロクの背後に42の腕を持つ観音像が現れる。
「試してみようか」
一撃一撃が即死の威力を持つ。馬鹿げた連撃が、雷神へと迫って行った。
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