第11話 はじめの三人とイルマ①
「みさと!よく眠れたかしら?何かあればすぐに言ってくれなきゃだめよ?まあ、みさとはどうせよっぽどじゃないと言わないからわたくしが勝手にするわ!」
エレオノーラは今日も元気いっぱいだ。本当に公爵令嬢で後ろでニコニコしている金髪イケメン、カスパール王太子殿下の婚約者で良いんだよね?
私は早く淑女然としたエレオノーラを見て安心したい気持ちが沸いてきた。
「だ、大丈夫大丈夫。アルマさん...アルマにもマッサージしてもらったの。とっても気持ちよくて寝てしまって...。アルマに迷惑を掛けてしまったけど体が軽くなったのよ」
「アルマはメイドとしても一流だからなんでも命令していいわ!さあ、掛けてちょうだい。色々話すことがあるわ。あと...その...うぅ...謝らないと...」
私は朝食、時間的にはもう昼ご飯であったらしい食事を取ってカスパール王子殿下とエレオノーラ、そして殿下の従者であるフィリップが待っているという客間まで来ていた。
いつの間にかテーブルのそばまで移動していたアルマに椅子を引かれて着席する。
先ほどの”メイドとしても一流”という言葉から私はもしかしたらアルマはモデルの仕事を兼業でしているのかもと思った。
今のところ整ったビジュアルしか見ていないから美的感覚が狂わないようにしなければ...。
「イルマ、今日のおすすめは何かしら?今日はみさともいるからうんと美味しいのがいいわ」
「はい、お嬢様。シルヴァ領の特産品でもあるローズティーをご用意いたしました。美容にも効果があるので是非こちらを」
エレオノーラのそばで手先を宙で動かしながら優雅に答えたのはアルマと同じ褐色の肌に黒い髪、髪形はボブカットの女性だった。
アルマと違って垂れ目でほんわかした雰囲気を漂わせている。
アルマが出来るOLなら、イルマは幼稚園の先生というイメージだ。
「ん?イルマさん?ん?ってティーセットが浮いてる...」
ティーセットが浮いてそれぞれ運ばれていく。
紅茶の用意が勝手にされていくのを見ながら「魔法?手品?ここで?手品?え?いや~じゃあ、魔法?」と小さく呟いていたら、イルマはニッコリ微笑んでコクコクと頷いてくれる。
生魔法初めて...ではないか。
ここに来るとき凄まじいのを一回見てたわ。
「わたくしはイルマより凄い”魔法”を使えるわよ!」
「従者と言うか自分自身の弟子と張り合わないでください」
フィリップがそうツッコむとエレオノーラは扇子を広げて、
「今日もお口が無駄にお元気でございますこと。少しはその元気でよくはしゃぐお口を女性への誉め言葉に使えばよろしいですのに。
あ、失礼。よく女性に囲まれてはいますがなぜかそのお口は元気を無くしてしまわれるのですよね」
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